★ 農林水産省から


平成13年度食料品消費モニター 第1回定期調査結果の概要 

―デフレーション下における食料品の購買について―

総合食料局 消費生活課 宮瀬 良江




はじめに

 農林水産省では、食料品消費モニターを全国に配置し(全国の主要都市に在住
する一般消費者1,021名)、食料品の規格、品質、表示および価格動向に加え食
生活、食料消費に関するテーマについてのアンケート調査を行い、その調査結果
を食料品の品質の確保、表示の適正化、食品流通の改善、食料消費の改善等の各
種行政施策に反映させることとしている。

 平成13年7月に実施した食料品消費モニター第1回定期調査は、「デフレーシ
ョン下における食料品の購買について」をテーマに実施した。

 調査方法は、質問用紙をモニターに送付し、回答を記入後、返送してもらう方
法で、1,021名のモニターに送付し、1,020名のモニターから回答をいただいた
(回答率99.9%)。この調査結果は、11月13日に公表したものであり、今回は
本調査結果の概要を紹介する。


1年前と比べての購買状況

 1年前と比べて購入を増やしているもの、購入を控えて(減らして)いるもの
を各々上位3位まで挙げてもらい、1位に挙げられた費目を全体および年代別に
見たのが表1〜2である。

 購入を増やしているものの1位は、多い方から「教育費」19.3%(回答者1,0
20人に対する割合、以下同じ)、「食費(外食を除く)」11.6%、「教養娯楽
費」8.6%となっている。なお、「特にない」とする回答も16.1%となっている。

 一方、購入を控えて(減らして)いるものの1位は、「衣服」を挙げる人が27
.8%と最も多く、次いで「外食」18.3%、「旅行(レジャー費)」11.7%と続
いている。(表1)

表1 1年前と比べた購買状況の変化(費目別回答の比率)

 (注)回答比率は「増やしているもの」「減らしているもの」
    それぞれの1位に挙げられた回答の比率を示す

 この結果を年代別に見ると、購入を増やしているものとして「教育費」を挙げ
る年代は当然のことながら30代、40代に集中しており、それぞれ30.7%、43.6
%となっている。その他の年代では「食費(外食を除く)」が1位となっている
が、その割合は13.0%〜15.1%とそれほど多くはない。

 購入を控えて(減らして)いるものを年代別に見ると、30代以下では「外食」、
40代以上では「衣服」となっている。(表2)

表2 購買状況の変化(年代別1位の費目)



1年前と比べての食費(外食を含む)の変化

 1年前と比べて食費(外食を含む)にかける総額はどのように変化したか聞い
たところ、「増加した」と「減少した」は9.5%はと8.8%とほぼ同数に近いが、
「やや増加した」は27.1%と、「やや減少した」の21.0%を上回り、「増加した」、
「やや増加した」を合わせると、食費(外食を含む)総額が増加したとする人は
36.6%となっている。

 「変わらない」とする回答は32.6%であった。

 年代別に見ると、20代、30代は「やや増加した」とする人が最も多く、それぞ
れ、28.6%、31.2%となっており、40代、50代、60歳以上は「変わらない」が
最も多くそれぞれ30.3%、36.6%、37.9%となっている。(図3)

◇図3:1年前と比べての家庭における食費(外食を含む)変化◇


1年前と比べての食料品の価格の変化

 1年前と比べて食料品の価格はどのように変化したと思うか、それぞれの食料
品ごとに聞いたところ「変わらない」という回答も多いが、定価販売が多い調味
料を除き、どの種類の食料品についても「安くなった」、「やや安くなった」と
する回答が「高くなった」、「やや高くなった」という回答を大きく上回ってい
る。生鮮野菜、外食では「安くなった」、「やや安くなった」という回答を合わ
せると40%に達し、次いで、冷凍食品、米、弁当(中食として購入するもの)な
どが安くなったと受け止められている。

 「やや高くなった」という回答が比較的多いのは、生鮮魚介、生鮮果実でそれ
ぞれ15.7%、15.6%となっている。(図4)

◇図4:1年前と比べての食料品の価格の変化◇


食料品特価販売品の情報の入手先

 食料品特価販売品目の情報はどのようにして得ているか利用の多い順に3つま
で挙げてもらったところ、1位に挙げたものとして最も多かったものは、「チラ
シ(新聞広告を除く)」で66.6%、次いで「新聞広告」22.6%、「店舗の表示」
6.8%となっている。(表5)

表5 食料品特価販売品目の情報の入手先
(1位に挙げられたもの)


 年代別に見ても、この順に変化はないが、年齢が高くなるに従い「チラシ(新
聞広告を除く)」の比率が高くなっている。(表6)

表6 食料品特価販売品目の情報の入手先(年代別上位3区分)



よく目にする食料品の特価販売品目

 よく目にする食料品の特価販売品目の上位5品目を聞いたところ、1位に挙げ
た食料品は「卵」が最も多く49.7%、次いで「冷凍食品」8.5%、「牛乳」、
「生鮮野菜」6.2%となっている。


1年前と比べて安くなった外食の品目

 「ハンバーガー」、「寿司」、「牛丼」、「焼き肉」、「めん類」、「定食」、
「アイスクリーム」、「コーヒー」を例示し、1年前と比べて安くなったと思う
品目を上位3位まで聞いたところ、1位に挙げた品目は「ハンバーガー」が最も
多く63.1%、次いで「牛丼」11.1%、「寿司」8.3%となっている。(表7)

表7 1年前と比べて安くなった外食の品目
(1位に挙げられたもの)



食料品購入の際の情報の参考状況

 食料品の卸売価格や生産地の情報等が、マスコミ(新聞、テレビ等)報道や雑
誌などで取り上げられているが、これらの情報を普段の買い物の際の参考にして
いるか聞いたところ、どの項目の情報も70%以上の人が「参考にしている」と答
えている。

 「参考にしている」と答えた中で最も多かったのは「料理法などに関する情報」
および「栄養価・機能性などに関する情報」でいずれも79.3%に達している。次
いで「旬の情報(出回り時期等)」で77.5%となっている。(図8)

◇図8:食料品購入の際の情報の参考状況◇


国産・外国産の購入割合

 同じ種類の食料品で国産と外国産がある場合、どちらを主に購入しているか食
品の種類ごとに聞いたところ、どの食料品の種類とも60%以上の人が「国産」と
答えている。

 最も高いのは「生鮮野菜」で85.3%が国産を選ぶと答えている。

 「どちらともいえない」と回答する人が多かった食料品の種類は「生鮮果物」、
「生鮮魚介」でそれぞれ34.7%、30.9%となっている。(図9)

◇図9:国産・外国産の購入割合◇


外国産の食料品を購入する理由

 「外国産」、「どちらともいえない」と回答したモニター(600名)に外国産
のものを買う場合の一番の理由は何か聞いたところ、「価格が安い」が最も多く
45.7%、次いで「国産物にはない品種・種類がある」28.5%、「いつも出回っ
ている」12.5%となっている。


食料品を購入する際の目安(価格の安さ)

 「外国産」を購入する理由として「価格が安い」と回答したモニター(274名)
に、さらに外国産のものが、国産に比べてどの程度安ければ外国産のものを買い
ますかと聞いたところ、「3割程度」とする人が最も多く36.9%、次に「2割程
度」32.8%、「4割程度」12.4%となっている。(図10)

◇図10 食料品を購入する際の目安(価格の安さ)◇


食料品の値頃感

 最近の食料品の価格についてどのように感じているのか聞いたところ、「ほぼ
妥当な水準に近い」と回答する人が最も多く51.0%、次に「まだまだ高いと思う」
31.3%、「値下げが行き過ぎている」8.4%となっている。
 年代別に特徴を見ると、20代、30代は「まだまだ高いと思う」と回答する人が
多く、それぞれ、37.7%、36.2%、60歳以上は「ほぼ妥当な水準に近い」が多く
56.7%、40代、50代では、それぞれ10.0%、10.6%の人が「値下げが行き過ぎ
ている」と感じている。(図11)

◇図11:食料品の値頃感◇


食料品の値下げをしなくても良いと思う理由

 「ほぼ妥当な水準に近い」、「値下げが行き過ぎている」と回答したモニター
(606名)にこれ以上値下げをしなくても良いと思われる理由は何か聞いたとこ
ろ、「国内生産が停滞する」とする人が最も多く37.6%、次いで「安全性がおろ
そかになる」35.8%、「品質が低下する」24.4%となっている。「サービスが低
下する」と回答した人はいない。

 年代別に見ると、「国内生産が停滞する」と回答した人は50代、60歳以上に多
くそれぞれ、39.1%、44.5%、「安全性がおろそかになる」と回答した人は20代、
40代に多くそれぞれ、43.9%、39.2%となっている。(図12)

◇図12:食料品の値頃感◇

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