鳥取県/池岡 進
鳥取県日野郡溝口町を中心とした和牛生産者7名(代表 伊藤明氏)は、「牛 肉屋」というグループ名で、自らが生産した和牛肉をパック詰めし、販売してい る。 このグループは、平成8年「地域の人に本物の牛肉の味を知ってもらい、和牛 の存在をPRしよう」と意欲ある生産者が団結し、発足した。 県の補助事業を活用して、溝口町大内に牛肉加工処理施設を整備し、牛肉配送 用の保冷車(軽自動車)を導入した。 牛肉の販売は基本的に個人の責任であり、肉の注文からパック詰め、配送まで を行い、価格設定も個人が行う。 また「牛肉屋」の大きな特徴として、製品パックには生産者の名前やメッセー ジ、顔写真の入ったシールを貼って販売する。メッセージや写真は生産者ごとに 変えてあり、印象的なものとなっている。 販売価格は肉質、部位等により多少の差はあるものの、1キログラム当たり平 均2,000円程度と安価である。 販売される牛肉は主に黒毛和種の経産牛であり、年間20頭程度販売されるが、 かなり固定客も増え需要が供給を上回っている状態である。 特に今回のBSE(牛海綿状脳症)の発生のような時には、生産者が明確な牛肉 は消費者にとって安心感があり、非常に有効な販売戦略といえる。 「牛肉屋」の運営費は加工処理施設の維持管理費、保冷車のガソリン代等とし て出荷牛1頭につき4万円を徴収している。 牛の飼育管理方法はグループとして統一しているわけではないので、肉質には 多少ばらつきがあるのが問題点である。しかし自分で育てた牛の肉をはっきり確 認でき、その後の飼養管理を改善することで、肥育技術の向上につながっている。
【牛肉配送用保冷車】 |
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【製品パックに貼られるシール】 |