牛肉卸売価格、引き続き低下傾向
牛肉の卸売価格は、年末の手当てが終わると12月初旬の水準に戻っている(東
京、大阪、省令、図1)。
乳用種の卸売価格はBSE陽性牛が公表された9月から急激に値が下がり、12月
の平均卸売価格の乳用種去勢のB2は240円、乳用種のめすC1、C2はC1が62円
/kg、C2が91円/kgとなり、乳用種めすの卸売価格はBSEが発見される前のほぼ
1/5になった。(中央卸売市場10市場の平均、図2)。乳めすに関しては、12
月の平均枝肉重量が400kg/1頭で、C1で約25,800円、C2で36,400円になり、
ほぼ出荷諸経費の値段である。国内でのBSE陽性牛はすべて乳用の高齢牛であっ
たことから、出荷が停滞し、対策が緊急に実施されることとなっている。
同様に子牛価格もBSE公表前に比べて低下しているが、子牛に関しては、肉用
子牛生産者補給金制度があり、平成13年度の第3四半期の補給金は、黒毛和種を
除く品種区分で補給金が交付されることとなり、乳用種の平均売買価格は30,400
円であったため、補給金単価が95,640円になった。
豚肉省令卸売価格、1月は値下がり
豚肉の卸売価格は、初市の1月7日、553円/kg(東京・省令)と昨年末より
3割高で始まったが、中旬から下旬にかけて温暖な気候となったことから出荷頭
数が増加し、値を下げた。1月22日に433円/kgとなり、以降は400円台後半で
推移した。しかし、1月28日の412円/kgを底に再び値を上げ、1月の平均価格
は472円/kg(9.5%)とかなりの程度上回った。
2月上旬は、引き続き前年を上回って推移し、2月14日現在では493円/kgと
なった。これは前年の約1割高で、昨年12月の前年4割高というような状況では
ないが堅調な相場はまだ続きそうである(図3)。
米国産家きん肉等の輸入を停止
米国からの家きん肉等の輸入については米国内での鳥インフルエンザの発生か
ら、輸入一時停止、解除が行われている。
13年11月9日一時停止、22日に解除されたが、本年再び1月12日に米国ペンシ
ルベニア州で鳥インフルエンザの発生の情報を得たことから、同国における家き
んペストの清浄性が確認されるまでの間一時停止の措置がとられた。米国におけ
る本病の侵入年月日は平成13年11月12日と推定されるため、と殺日等が平成13
年11月11日以前のものについては輸入を認めるとしている。
米国からの輸入は現在中国、タイ、ブラジルに次いで4番目であり、数量的に
はさほど多くはないが、期間が長引けば影響は大きいものと考えられる。
一方、第1位の中国についてはクロピドール、スルファノキサリン等残留抗生
物質が検体から検出されており、検出された工場からの輸出中止を駐日中国大使
館に要請し、厚生労働省は今年1月13日に中国の食鳥検査体制や残留抗生物質等
調査のための係官を派遣したところである。(表)
表 輸入家きん肉等の安全性問題の状況
低温殺菌牛乳および高温短時間殺菌牛乳は少しずつ増加
厚生労働省が公表した「平成12年度衛生行政報告例」の「殺菌温度別牛乳等の
処理量」によると、牛乳全体の処理量は3,888,579kl(2.0%)と前年をわずか
に上回った。
牛乳乳製品統計では、平成12年度の牛乳生産量は3,923,874kl(1.0%)とな
っている。
「62〜65℃」(低温長時間殺菌)
11年度には136,451kl(48.2%)と前年度から大幅に増加したが、12年度は13
1,628kl(▲3.5%)と前年度をわずかに下回る。(図4)
「75℃以上」(高温短時間殺菌)
12年度は161,188kl(5.8%)と前年度をかなり上回り、シェアも4.1%と0.1
ポイント上昇した。低温長時間殺菌と合わせると全体の7〜8%を占める。
(図4)
「瞬間」(超高温殺菌、LL牛乳を含む)
12年度は3,595,763kl(2.0%)となった。引き続き牛乳全体の処理量の9割
以上を占める。(図4)
いわゆる低温殺菌牛乳の小売動向を見ると、牛乳乳製品小売動向調査(日本経
済新聞社のPOS情報サービス「NEEDS-SCAN」から作成)では、普通牛乳(低温殺
菌牛乳を除く)の販売数量(1リットル紙容器)はこの5年で28.6%減少したが、
低温殺菌牛乳は40.3%増加している(図5)。
12年度の畜産物の自給率について
農林水産省は13年12月「12年度食糧自給率レポート・食料需給表」を公表した
(畜産の情報(国内編)2002.1農林水産省から参照))。
このうち畜産物について見てみると、需要量については、鶏卵が268万トンと
前年並みであったが、牛乳乳製品が1,213万トンから1,231万トン、食肉が562万
トンから568万トンとわずかに増加した(図6)。生産量については、鶏卵が25
4万トンと前年並みとなったが、牛乳乳製品が851万トンから842万トン、食肉が
304万トンから298万トンと減少した(図7)。このため、自給率は牛乳乳製品
68%(▲2ポイント)、食肉52%(▲2ポイント)、うち牛肉33%(▲3ポイン
ト)、豚肉57%(▲2ポイント)、鶏肉64%(▲1ポイント)と減少した。鶏卵
は95%と前年同であった。(図8)
同レポートでは、需要の増加に応じた生産の増大、特に食肉については牛肉、
豚肉、鶏肉ともに、輸入品との競合度合いの大きい業務用需要について、国産品
による対応の拡大が重要であるとしている。
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