◎地域便り


香川県 ●合鴨水稲同時作に魅せられて

香川県/牛尾 忠


 香川県綾歌郡綾南町で合鴨水稲同時作に取り組む松原壽美さん(60歳)は、
稲・麦栽培の一環として、10年前より合鴨水稲同時作による無農薬・無化学肥
料栽培に取り組んでいる。現在の合鴨水稲同時作による栽培面積は50アールで
ある。

 平成9年に県内の仲間と研究会組織を設立し、現在会長として栽培の普及と
米の販売先の開拓、技術の普及等を行っている。米は付加価値米として販売し
ており、経営の安定につながっている。

 より安全な米作りを目指して、県内で、最初に取り組んだが、米価の低下に
不安を感じ、安全で価格の安定した米作りをしたいとの思いがあった。合鴨水
稲同時作に取り組んで、初めての収穫で雑草の無いことに驚き、自信を深めた。
2年目から仲間が増え、現在では、消費者も含め27名にまで増えている。

 生産された米は、「香川県特別栽培農産物表示認証制度」の無農薬・無化学
肥料栽培の認証を受けている。収量は、10アール当たり480キログラム程度と
慣行栽培に比べやや少なくなっている。

 生産された米や合鴨肉の販売は研究会やJAを通じて販売している。無農薬栽
培であるため、安心できるとして高値販売となっている。

 今後の課題は、合鴨肉の販売方法の確立である。また、ひなの購入、解体費
用、えさ代などのコストがかかることである。合鴨肉は、ほとんど会員が引き
取り、残りを合鴨米の販売促進としてイベント用等に販売している。また、付
加価値を付けるために、加工品に取り組んでいる。

 地元小学校において、合鴨水稲農家の協力を得て生活科の授業の一部として
合鴨農法による水稲栽培を行い、農薬の使用を減らすなど環境に配慮した農業
に取り組んでいる。また、地元農業経営高校等においても合鴨水稲同時作に取
り組んでもらい、仲間を増やしていきたいと考えている。
【合鴨の放飼を行う子どもたち
(香川県綾上町立西分小学校
1,2年生)】

    
【水田に放飼された合鴨
(香川県綾上町)】

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