香川県/牛尾 忠
香川県綾歌郡綾南町で合鴨水稲同時作に取り組む松原壽美さん(60歳)は、 稲・麦栽培の一環として、10年前より合鴨水稲同時作による無農薬・無化学肥 料栽培に取り組んでいる。現在の合鴨水稲同時作による栽培面積は50アールで ある。 平成9年に県内の仲間と研究会組織を設立し、現在会長として栽培の普及と 米の販売先の開拓、技術の普及等を行っている。米は付加価値米として販売し ており、経営の安定につながっている。 より安全な米作りを目指して、県内で、最初に取り組んだが、米価の低下に 不安を感じ、安全で価格の安定した米作りをしたいとの思いがあった。合鴨水 稲同時作に取り組んで、初めての収穫で雑草の無いことに驚き、自信を深めた。 2年目から仲間が増え、現在では、消費者も含め27名にまで増えている。 生産された米は、「香川県特別栽培農産物表示認証制度」の無農薬・無化学 肥料栽培の認証を受けている。収量は、10アール当たり480キログラム程度と 慣行栽培に比べやや少なくなっている。 生産された米や合鴨肉の販売は研究会やJAを通じて販売している。無農薬栽 培であるため、安心できるとして高値販売となっている。 今後の課題は、合鴨肉の販売方法の確立である。また、ひなの購入、解体費 用、えさ代などのコストがかかることである。合鴨肉は、ほとんど会員が引き 取り、残りを合鴨米の販売促進としてイベント用等に販売している。また、付 加価値を付けるために、加工品に取り組んでいる。 地元小学校において、合鴨水稲農家の協力を得て生活科の授業の一部として 合鴨農法による水稲栽培を行い、農薬の使用を減らすなど環境に配慮した農業 に取り組んでいる。また、地元農業経営高校等においても合鴨水稲同時作に取 り組んでもらい、仲間を増やしていきたいと考えている。
【合鴨の放飼を行う子どもたち (香川県綾上町立西分小学校 1,2年生)】 |
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【水田に放飼された合鴨 (香川県綾上町)】 |