トピックス

●●●国産牛肉の卸売価格が回復傾向に●●●

 牛肉の卸売価格は、回復の兆しが見えてきたようである。省令価格(東京、
大阪)を見ると、4月に入ってからは600円を上回る日も見られるようになった
(図1)。

 牛肉の需要動向をみると、POS情報(国産牛、事業団調べ)では13年10月を
底に3月までに前年比で43ポイント、家計消費量(牛肉、総務省)で27.9ポイ
ント回復している。このことから牛肉の消費が徐々に回復をしていることが分
かる(図2)。今後の需要の着実な回復と、さらなる価格の回復に期待する。

 一方、小売価格の動向についてみると、小売価格(国産、その他)は、通常
価格、特売価格ともにBSEの確認後も卸売価格の下落に比べ、価格の下落の程
度はゆるやかである。しかしながら、特売実施率は13年9月以降徐々に上昇し
ていること、量販店における牛肉の小売価格は大きくは変わらないもののタイ
ムサービス等の特売実施回数は増加しているとみられることから、小売価格も
実態上、かなり低下しているものと見られる。(図3)。
◇図1:牛肉の卸売価格(東京、大阪、省令)◇
◇図2:牛肉の需要動向◇
◇図3:国産牛肉の小売価格、特売実施率◇


●●●豚肉関税緊急措置、14年度第1〜3四半期の発動基準数量について●●●

 財務省は3月31日付け官報で豚肉等の関税の緊急措置における14年度第
1〜3四半期(14年4月〜12月)の発動基準となる輸入数量を告示した。 

 これらの発動基準数量は、過去3年における同期の輸入実績に基づいて算出
される。今回は11〜13年度の各四半期の輸入量が算出の基礎となっている。こ
の輸入量には、生鮮・冷蔵、冷凍、くず肉、ハムおよびベーコン等の加工品が
含まれ、当該期間中の平均輸入量の119%に当たる数量が発動基準数量となる
(図4)。

 14年度第1四半期は、前年同期の輸入増から、前年度から23,188トン増加の
207,038トンとなったが、一方で13年8月〜14年3月に関税緊急措置が発動され
ていたものが14年4月に解除されたことや、BSEによる代替需要から輸入増の要
因もある。

 14年度第1〜3四半期の発動基準は巻末(資料P31)のとおり。なお、第4四半
期(15年1月〜3月)の発動基準については5月末日に官報に告示される予定と
なっている。

 また、これと併せてSSG(特別セーフガード)に係る輸入基準数量も告示さ
れている。SSGは上述の緊急調整措置が四半期ごとの運用であるのに対し年度
間の運用になっている。告示される基準数量の計算には、上述の発動基準数量
の計算に使われる品目の他、生きた豚の頭数に54を乗じて換算した数量が加え
られて算出されている。
◇図4:第1四半期SG発動基準数量の算出◇


●●●ブロイラー用鶏ひな出荷羽数について●●●

 農林水産省によると13年のブロイラー用ひなの出荷羽数は6億720万羽と前年
を0.1%上回った。過去10年間の出荷羽数を見ると平成12年までは年々減少傾
向にあったが、平成13年は10月以降3ヵ月連続して前年同月を上回った結果で
ある。今年に入り1〜2月も連続して増加傾向を示した。これは牛肉の代替で鶏
肉の需要がおう盛となりこの傾向が当分続くとみたブロイラー生産者が増産を
続けていることを反映している。総務省が発表している「家計調査報告」によ
ると食料への1世帯当たりの平均消費支出は13年は連続で減少となり、肉類へ
の支出も13年9月以降の牛肉消費の大幅な低迷により特に生鮮肉の減少が目立
った。しかし、鶏肉は豚肉とともに牛肉の代替需要により、14年1月は全国1世
帯当たり14.3%増、2月は9.2%増と増加傾向が続いている。

 なお、この傾向はBSEによる代替需要による一時的なものであると考えられ
るため、農林水産省は3月5日に開催された全国ブロイラー需給調整会議におい
て計画的な導入を行うよう業界に求めた。(図5)
◇図5:ブロイラー用鶏ひな出荷羽数(過去10年間)の推移◇


●●●13年度の生乳需給の総供給量は約1,220万トン(見込み)●●●

 13年度の生乳総供給量は1,220万トンと見込まれる。内訳は生乳ベースで国内
生乳生産量約830万トン(約7割)、輸入乳製品(生乳ベース)約390万トン(約
3割)となっている。

 国内生乳生産量のうち飲用向けに約500万トン(約6割)、乳製品向けに約330
万トン(約4割)が供給される見込みである(図6)。
◇図6:生乳の需給構造の概要(平成13年度見込み)◇


●●●平成14年4〜6月期配合飼料価格、引き上げ●●●

 全農は、平成14年4〜6月期配合飼料供給価格について14年1月〜3月
価格に対し全国全畜種総平均トン当たり約500円の値上げを決定した(3/25)。
専門農協系および商系もそれぞれ引き上げた。

<最近の原料コスト動向等>

@  とうもろこしのシカゴ相場は、作付面積減少による減産から期末在庫率が
 減少する見込みであるにもかかわらず、米国の輸出見通しが下方修正された
 こと等から弱含みに推移しているが、米国内需要が依然史上最高レベルを維
 持しており、おおむね現行水準での相場展開が予測されている。

A 副原料の大豆かす価格は、米国、ブラジル、アルゼンチン産が豊作と予想
 されていることから、シカゴ相場は安定しているが、為替が円安傾向にある
 ことから強含みの見通しとなっている。

B  魚粉価格は、需給のひっ迫から上昇を見込んでいる。

C  為替レートは、円安傾向が続いているが今後も同様に推移するものと見込
 まれる。

<補てんの実施>

 配合飼料価格安定制度による通常基金補てん金は1,350円、牛飼養農家には
BSE問題による経営悪化を考慮して特例措置として1,300円/トン上乗せされる
ことになった。そのうち、800円/トンは、国の異常補てん金から交付される。
◇図7:副原料の輸入価格(CIF)◇

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