★ 農林水産省から


平成14年度食料需給見通しー牛乳・乳製品ー

総合食料局 食料政策課 佐藤 千栄子




はじめに
 農作物の短期の需給見通しについて、昨年度より従来の「農業観測」に替わり、
消費者や食品産業等の実需者側の情報の収集・分析等需要動向の分析を深め、新
たに「食料需給見通し」として作成・公表している。

 本年度は、6月26日〜27日に食料需給予測部会畜産物第1小委員会(牛肉・豚肉
および牛乳乳製品)および第2小委員会(鶏肉・鶏卵および飼料)が開催され、1
4年度の畜産物の需給等の見通しについて検討された。

 ここでは、7月10日に公表された「平成14年度畜産物の需給等の見通し」のう
ち、牛乳・乳製品の需給見通しについてその概要を紹介する。なお、最近の需給
動向や見通し等の全文については、農林水産省のホームページをご覧いただきた
い。
(http://www.maff.go.jp/sogo_shokuryo/jk/index.html)

 変動の幅


 なお、この変動の幅は特に断り書きのない限り前年度(前年産、前年同期、前
年同月等)に対するものである。


消費

最近の動向

 1人当たり消費量(供給純食料)は、飲用牛乳等は減少傾向で推移、乳製品は増
加傾向で推移し、全体では90キログラム台前半でほぼ横ばいで推移している。13
年度の1人当たりの家計購入数量は、牛乳が4.5%減、バターが3.1%減、チーズが
0.7%減となった。

14年度の見通し

 14年度の飲用牛乳等の消費量は、消費者の健康志向を背景に、はっ酵乳等の増
加が期待されるが、少子化や他の飲料との競合等により、全体ではほぼ前年度並
みになると見込まれる。

 乳製品の消費量は、脱脂粉乳およびバターについては使用する商品需要の回復
の遅れ等から減少ないし横ばいと見込まれるものの、チーズの調理食品向け等の
需要の増加が見込まれることから、全体ではわずかに増加すると見込まれる。

 この結果、14年度の牛乳・乳製品の1人当たり消費量は、ほぼ前年度並みないし
わずかに増加すると見込まれる。

 ○ 主な牛乳・乳製品の1人当たり家計購入数量

 資料:総務省「家計調査」


供給

−国内生産−

最近の動向

 13年度の生乳生産量は、北海道は飼養頭数の増加や1頭当たり乳量の向上により
1.3%増、都府県は飼養戸数の減少等により3.1%減となり、全国では1.2%減の8
31万トンとなった。

14年度の見通し

 14年度の生乳生産量は、生産者団体による自主的な計画生産の取組等からみて、
ほぼ前年度並みになると見込まれる。

 また、用途別処理量については、飲用牛乳等向け処理量は、飲用牛乳等の消費
動向から前年度並みになると見込まれる。優先的に仕向けられる飲用牛乳等向け
処理量が前年度並みと見込まれることから、乳製品向け処理量についてもほぼ前
年度並みになると見込まれる。

 ○ 生乳生産量
           (増減率)

 資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」

 ○ 飲用牛乳等の種類別生産量
          (増減率)

 資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」
  注:種類別生産量の動向は、3カ月移動平均値によるものである。
    また、12年(うるう年)2月は29日間であるため、28日換算した値で増減率
       を算出している。

 ○ 乳製品の種類別生産量
          (増減率)

 資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」
  注:生産量の動向は、3カ月移動平均値によるものであり、12年(うるう年)
       2月は29日間であるため、28日換算した値で増減率を算出している。

−輸 入−

最近の動向

 輸入量は、堅調な乳製品需要等を背景に増加傾向で推移している。13年度はEU
でのチーズの生産量が減少したことから、日本向けに輸出されていたオーストラ
リア産のナチュラルチーズがEU向けに回されたことから減少し、1.7%減の390万
トン(生乳換算)となった。

14年度の見通し

 14年度の乳製品の輸入量(生乳換算)は、乳製品の消費量がわずかに増加する
と見込まれる中、国内生産の乳製品向け処理量がほぼ前年度並みになると見込ま
れることから、チーズを中心にわずかに増加すると見込まれる。



 ○ 乳製品の輸入量(生乳換算数量)
     (増減率)




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