乳業部 乳製品課
当事業団では、加工乳・乳飲料等の生産実態を把握するために、財団法人経済 調査会に委託して、「加工乳・乳飲料等の生産実態調査」を毎年度実施している。 今回は、昨年度の調査結果(平成12年度生産実績)を紹介する。なお、調査方 法などについては、文末を参照されたい。 生産シェア 加工乳・乳飲料(図1) 加工乳では大手3社の生産シェアが50%を割っているが、色もの乳飲料と白もの 乳飲料のシェアは高い。加工乳では、農協プラント系(以下、農プラ系)とその 他の生産シェアが比較的高い。 図1 加工乳・乳飲料の生産シェア(平成12年度) (注)1 農協プラント系とは、主に酪農生産団体が出資または経営する乳業メ ーカー、その他とは、大手3社を除く民間乳業メーカーをいう。 2 乳飲料には大きく分けると牛乳をベースとして牛乳の栄養分や風味を そのままに、カルシウムや繊維、鉄、ビタミンやミネラルなどの栄養 分を強化した白い乳飲料(白もの乳飲料)と、コーヒーや果汁入りの もの(色もの乳飲料)がある。 はっ酵乳(図2) はっ酵乳全体の生産シェアでは乳業が80%を超えており、非乳業のシェアは20 %程度となっている。「ソフト」、「プレーン」、「フローズン等」では、乳業 のシェアが95%を超えているが、「ドリンク」では非乳業系のシェアが43.1%と 高い。 注:農プラ系=農協プラント系乳業会社 図2 はっ酵乳の生産シェア(平成12年度) 生クリーム等(図3) 生クリーム等全体の生産シェアでは乳業が85%を超えており、非乳業のシェア は低いが、脂肪18%未満の製品では、非乳業の生産シェアが36.1%となっている。 なお、「生クリーム等」には、「クリーム」の他に、「乳等を主要原料とする 食品」や「植物性油脂」などの製品が含まれている。 図3 生クリーム等の生産シェア(平成12年度) 成分 加工乳(図4) 「低脂肪」は、乳脂肪率が1.1%〜1.3%、無脂乳固形分率は9.3%〜9.8%に集 中している。「濃厚」は、乳脂肪率4.1〜4.3%、無脂乳固形分率8.6%〜9.0%に 集中している。「その他」にはさまざまな製品が含まれていることからバラツキ がみられる。 図4 加工乳の成分(平成12年度) 白もの乳飲料(図5) 白もの乳飲料の乳脂肪率は1.7%〜2.2%、無脂乳固形分率は8.6%〜9.3%とな っている。加工乳と比較すると、大手3社は加工乳の成分とほぼ等しい。 図5 白もの乳飲料の成分(平成12年度) 生産量(加工乳) 乳脂肪率(図6) 乳脂肪率ごとに見ると、「低脂肪(乳脂肪率1.5%未満)」の製品と、1.5%以 上2.0%未満の製品、特濃(乳脂肪率3.8%以上)の製品が大半を占めている。 なお、大手3社の低脂肪の製品生産量は、前回調査(平成11年度実績、以下同様 )と比較して大幅に減少している。 図6 乳脂肪率ごとの生産量(加工乳) 無脂乳固形分率(図7) 無脂乳固形分率は、11.0%未満の製品が大半を占めており、11.0%以上の製品 はわずかとなっている。 なお、前回調査と比較して大手3社の10.0%以上11.0%未満の製品生産量が大幅 に減少している。 図7 無脂乳固形分率ごとの生産量(加工乳) 生乳使用割合(図8) 生乳使用割合は、10%以上20%未満の製品の生産量が最も多く、その大半は大 手3社が占めている。農プラ系では20%以上30%未満の製品が、その他では90%以 上の製品の生産量が多い。 図8 生乳使用割合ごとの生産量(加工乳) 生産量(白もの乳飲料) 乳脂肪率(図9) 乳脂肪率は、3.0%以上3.5%未満の製品の生産量が多く、全生産量の3割を占め ている。農プラ系では、1.0%以上1.5%未満の製品の生産が多く、その他では3.0 %以上3.5%未満の製品が多い。 なお、前回調査と比較して、1.5%以上2.0%未満の製品生産量が大幅に減少し ている。 図9 乳脂肪率ごとの生産量(白もの乳飲料) 無脂乳固形分率(図10) 無脂乳固形分率ごとに見ると、8.0%未満の製品は少ない。生産の中心は8.0% 以上9.0%未満の製品となっている。 なお、前回調査と比較して、10.0%以上11.0%未満の製品生産量が大幅に減少 している。 図10 無脂乳固形分率ごとの生産量(白もの乳飲料) 生乳使用割合(図11) 生乳使用割合は10%以上20%未満の製品が多く、全生産量の4割強を占めてい る。 なお、生乳使用割合の記入がなかったものについては、除外して集計している。 図11 生乳使用割合ごとの生産量(白もの乳飲料) 生産量(はっ酵乳) 乳脂肪率(図12) 乳脂肪率は、3.0%以上3.5%未満と、0.5%以上1.0%未満の製品が多く生産さ れており、3.5%以上の製品の生産量は少ない。 タイプ別には、「ドリンク」の乳脂肪率が比較的低く、「プレーン」は3.0%以 上3.5%未満に集中している。 図12 乳脂肪率ごとの生産量(はっ酵乳) 無脂乳固形分率(図13) 無脂乳固形分率は、8.0%以上8.5%未満と、9.5%以上10.0%未満の製品が多く 生産されており、10.0%以上の製品の生産量は少ない。 タイプ別には、「ドリンク」の無脂乳固形分率が低く、「プレーン」は9.5%以 上10.0%未満に集中している。 図13 無脂乳固形分率ごとの生産量(はっ酵乳) 生乳使用割合(図14) 生乳使用割合は、0%以上10%未満の製品が最も多い。タイプ別には、「ドリン ク」の生乳使用割合は低く、「プレーン」は20%以上30%未満と70%以上80%未 満に集中している。 なお、生乳使用割合の記入がなかったものについては、除外して集計している。 図14 生乳使用割合ごとの生産量(はっ酵乳) 生産量(生クリーム等・乳脂肪18%以上) 乳脂肪率(図15) 乳脂肪率は、42.0%以上48.0%未満の製品が多く生産されている。 製品の大半は、「業務用」が占めている。また、「自社使用」の製品は、42.0 %以上と乳脂肪率が高い。 図15 乳脂肪率ごとの生産量 (生クリーム等・脂肪18%以上) 無脂乳固形分率(図16) 無脂乳固形分率は4.0%以上6.0%未満のものが全体の7割を超えている。 製品の大半は、「業務用」が占めている。 図16 無脂乳固形分率ごとの生産量 (生クリーム等・脂肪18%以上) 植物性脂肪率(図17) 植物性脂肪率は0%のものが全生産量の8割を超えている。0%を超える製品の生 産量は少ないが、25.0%以上30.0%未満の製品が、他の製品より多く生産されて いる。 図17 植物性脂肪率ごとの生産量 (生クリーム等・脂肪18%以上) 【調査概要】 @調査対象 調査対象は、加工乳・乳飲料等を生産している全国の165社とした。 A調査品目 調査品目は、「加工乳」「乳飲料」「はっ酵乳」「生クリーム等」とした。 このうち、「生クリーム等」には、「クリーム」のほか、「乳等を主要原料と する食品」、「植物性脂肪」でクリーム状のものを含んでいる。 B調査項目 調査項目は、アイテムごとの成分(乳脂肪率、無脂乳固形分率、植物性脂肪 率、生乳使用割合)、生産量等とした。 C調査方法 調査方法は、書面による郵送調査とし、一定期間留め置いた後、郵送により 回収して集計・分析を行った。また、必要に応じ、記入内容の確認を電話等で 行った。
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