北海道/土屋 俊亮
昨今の競馬事業はバブル崩壊後、景気低迷やレジャーの多様化などにより売上 げが軒並みダウンし、地方競馬のみならず中央競馬(JRA)でさえ厳しい経営環境 に追い込まれている。 ホッカイドウ競馬は、昭和23年の実施以来、290億円を北海道の一般会計に繰り 出してきたが、平成4年度以降は連続した赤字決算となり、ホッカイドウ競馬自身 の運営改善の取組みへの遅れなどもあり、平成13年度も約28億円の赤字を出すな ど、厳しい経営となっている。 本来、競馬事業は戦後の厳しい財政状況を打開するため、馬事畜産振興、戦災 復興財源確保、そして国民への健全な娯楽の提供といった目的で実施され、現在 に至っている。 このように財政への寄与といった目的でとらえるならばホッカイドウ競馬も他 の地方競馬同様、経営収支が不均衡な状況では存続が難しいが、一方で日高を中 心とした北海道は日本の約94パーセントを占める軽種馬生産地であり、ここで生 産される軽種馬が中央競馬を始め、全国の地方競馬に馬を供給しており、ホッカ イドウ競馬にも毎年700頭余りの2歳新馬が入ってきているといったことが背景に あるという点で、全国の地方競馬とは相違した事情を有している。 産地を抱えるホッカイドウ競馬の取り組みとして、平成14年度から競走とセリ を一体としたセリングレース&セールへの本格的実施が始まった。これは通常の 取引が庭先や市場で行われているのに対し、競馬場でレースに出走した競走馬の 能力を確認しながら所有者と購入者が納得できる取引を行うことで競走と取引が 一体となったシステムとして、14年度から本格的にスタートさせたもので、競走 馬の適正な評価に基づく取引や、新たな流通ルートの形成を目的としている。 また、競走面でも14年度は産地の牝馬の入厩促進と競走を通じた繁殖基盤の改 良促進として牝馬の重賞競走を3競走ほど新設したほか、JRA認定競走に牝馬限定 のレースを体系化した。 今後、15年度に向けては民間育成施設を活用した競馬運営制度の導入など、新 たな取り組みへ挑戦することにより馬産地北海道ならではの産地競馬へと一層の 転換を図っていく。 ○ サラ系種付牝馬の地域別・年次別飼養頭数の推移 ※ 13年度JRA認定馬の動向 ※ 14/5/20現在。その他はJRA移籍および抹消馬 平成13年度サラ2歳転出先
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【セリングレース&セールの様子(13年度は試行的に実施)】 |