神奈川県/堀 与志美
現在、わが国では、食品の売れ残りや食べ残しや食品の製造過程により排出さ れる食品廃棄物が大量に排出されている。リサイクルは主に飼料化・肥料化に向け られているが、これら食品廃棄物の10%にも満たず、大部分が焼却・埋立処分され ている。中央カンセー株式会社では、食品リサイクル法の後押しを受けて、廃棄 物処理業として廃棄物の「有効利用を創出する」を基本理念に取り組んでいる。 都市厨芥は栄養価が高い点に注目し、可能な限り飼料として家畜への利用を考 えている。 飼料原料となる都市厨芥は排出事業所にポリ容器を必要数搬入し、その容器ご と水切りし、分別、排出するよう協力を求め、毎日回収している。処理方式は発 酵乾燥方式で、処理機は注1バッチ式で灯油を熱源に加熱、注2リボンスクリュー 方式により撹拌しながら高温通風性雰囲気下で発酵・分解・乾燥を繰りかえす。生 成物の栄養成分の安定化を図るため、原料となる都市厨芥は種類別に投入量を基 準化している。また都市厨芥は水分含量が約80%と多いため、水分を50〜60%ま でに落とすために水分調整材を注3ホッパーに投入する。ホッパーに投入できる量 は1バッチ当たり約250キログラムで同時に高温発酵複合菌を投入する。処理時の 循環熱風温度は約400℃、品温は約80℃に保たれるため、ほとんどの雑菌は死滅す るが、この高温発酵複合菌はこの温度に耐え得る能力を持っている。そのため、 約3.5〜4時間という比較的短い時間で粗粉状の生成物ができ上がる。これをふる いにかけ養豚農家の飼料給与形態に合わせ、フレコンバック、もしくは10キログ ラム袋に詰め、搬出している。 平成13年に養豚農家の協力を得て肥育試験を行ったところ、配合飼料に対して 30%の試験区を設け、生体重70キログラム程度の段階から給与し、対照区と比較 したところ発育性がよく肥育期間が5日間程度短縮されたほか、し好性も良く10% くらい多く消費される傾向があった。肉質検討会でも30%区と普通豚と試食し比 較した。参加者からは「普通豚と比べて、癖がなく、さわやかな味」と高く評価さ れた。 今後は神奈川県下を始め、広く養豚農家にこの飼料を利用していただき、その 良さや意義を実感してもらいたい。飼料原料となる食品残さ物を排出する事業者 の分別排出と、飼料を利用される畜産農家等の生成飼料に対する更なる理解と認 識を頂き、安全・安心・効果を求めて食品残さ物の有効利用を基に、飼料生成に取 り組んでいくこととしている。 注)1 製品ができるまでの工程の1単位 2 らせん式 3 生成処理機の投入口
【45リットル蓋付きポリ容器】 | 【都市厨芥飼料化製品】 |