◎地域便り


神奈川県 ●廃棄物処理業者が行う食品廃棄物の飼料化

神奈川県/堀 与志美


 現在、わが国では、食品の売れ残りや食べ残しや食品の製造過程により排出さ
れる食品廃棄物が大量に排出されている。リサイクルは主に飼料化・肥料化に向け
られているが、これら食品廃棄物の10%にも満たず、大部分が焼却・埋立処分され
ている。中央カンセー株式会社では、食品リサイクル法の後押しを受けて、廃棄
物処理業として廃棄物の「有効利用を創出する」を基本理念に取り組んでいる。

 都市厨芥は栄養価が高い点に注目し、可能な限り飼料として家畜への利用を考
えている。

 飼料原料となる都市厨芥は排出事業所にポリ容器を必要数搬入し、その容器ご
と水切りし、分別、排出するよう協力を求め、毎日回収している。処理方式は発
酵乾燥方式で、処理機は注1バッチ式で灯油を熱源に加熱、注2リボンスクリュー
方式により撹拌しながら高温通風性雰囲気下で発酵・分解・乾燥を繰りかえす。生
成物の栄養成分の安定化を図るため、原料となる都市厨芥は種類別に投入量を基
準化している。また都市厨芥は水分含量が約80%と多いため、水分を50〜60%ま
でに落とすために水分調整材を注3ホッパーに投入する。ホッパーに投入できる量
は1バッチ当たり約250キログラムで同時に高温発酵複合菌を投入する。処理時の
循環熱風温度は約400℃、品温は約80℃に保たれるため、ほとんどの雑菌は死滅す
るが、この高温発酵複合菌はこの温度に耐え得る能力を持っている。そのため、
約3.5〜4時間という比較的短い時間で粗粉状の生成物ができ上がる。これをふる
いにかけ養豚農家の飼料給与形態に合わせ、フレコンバック、もしくは10キログ
ラム袋に詰め、搬出している。

 平成13年に養豚農家の協力を得て肥育試験を行ったところ、配合飼料に対して
30%の試験区を設け、生体重70キログラム程度の段階から給与し、対照区と比較
したところ発育性がよく肥育期間が5日間程度短縮されたほか、し好性も良く10%
くらい多く消費される傾向があった。肉質検討会でも30%区と普通豚と試食し比
較した。参加者からは「普通豚と比べて、癖がなく、さわやかな味」と高く評価さ
れた。

 今後は神奈川県下を始め、広く養豚農家にこの飼料を利用していただき、その
良さや意義を実感してもらいたい。飼料原料となる食品残さ物を排出する事業者
の分別排出と、飼料を利用される畜産農家等の生成飼料に対する更なる理解と認
識を頂き、安全・安心・効果を求めて食品残さ物の有効利用を基に、飼料生成に取
り組んでいくこととしている。

注)1 製品ができるまでの工程の1単位
  2 らせん式
    3 生成処理機の投入口
【45リットル蓋付きポリ容器】 【都市厨芥飼料化製品】


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