大臣官房 企画評価課
農林水産省では、平成14年4月に「食」と「農」の再生プランを公表したところ である。その中で、地球にやさしい生物エネルギー・資源の有効利用を進めるこ とになっている。 また、6月には「経済財政運営と構造改革の基本方針2002」が閣議決定され、農 林水産資源を活用したバイオマス産業の重要性が位置付けられた。このため、関 係府省の協力を得つつ、バイオマスの総合的な利活用に関する戦略(バイオマス ・ニッポン総合戦略)を策定するため、農林水産省内に宮腰大臣政務官率いるプ ロジェクトチームを設置したところである。なお、プロジェクトチームには、民 間の活力を活用するため、民間・有識者からなる「アドバイザリーグループ」を 設置し、7月中に3回の会合を開催し、バイオマス・ニッポン総合戦略骨子を公表 したところである。 なお、農林水産省ホームページにバイオマス・ニッポンのページを開設し、参 考資料やアドバイザリーグループ会合資料、議事概要を公表しておりますので詳 しくはそちらをご覧下さい(http://www.maff.go.jp/biomass/index.htm)。
バイオマスとは、生物資源(量)を表す概念で、「再生可能な、生物由来の有 機性資源で化石資源を除いたもの」の総称である。 具体的には、農林水産物や食品廃棄物、稲わら、廃材、家畜排せつ物等のこと で、エネルギーや製品(生分解性プラスチック)として利用することが可能であ る。
バイオマスをエネルギーや製品として総合的に利活用し、継続的に発展可能な 社会「バイオマス・ニッポン」を実現することが、以下の理由から求められてい る。 地球温暖化の防止に向けて 二酸化炭素(CO2)の排出源である化石資源由来のエネルギーや製品を、カーボ ンニュートラル(注)という特性を持つバイオマスで代替することにより、CO2の 発生を抑制し、地球温暖化の防止に貢献することが急務となっている。 (注) バイオマスを燃焼すること等により放出される CO2 は、その成長過程 で光合成により大気中から吸収したCO2 であることから、大気中のCO2を増加させ ないこと 循環型社会の形成に向けて 大量生産、大量消費、大量廃棄の社会から、廃棄物の発生を抑制し、限りある 資源を有効活用することにより循環型社会へと移行していくことが求められてい る。この循環型社会の形成に向けて、バイオマスは重要な役割を担うものである。 農山漁村に豊富に存在するバイオマスの利活用に向けて わが国は、温暖・多雨な気候条件のおかげで、自然の恵みを受けて成長するバ イオマスが豊富であり、その多くは農山漁村に存在している。また、家畜排せつ 物、稲わら、林地残材等農林漁業から発生するバイオマスを有効活用することに より、農林漁業の自然循環機能を維持増進し、その持続的な発展を図るとともに、 都市部と農山漁村のバイオマスの利活用を有機的に連携させることにより、都市 と農山漁村の共生・対流を促進することが期待されている。農林漁業、農山漁村 をバイオマス生産、利活用の場として再活性化することが求められている。 競争力のある新たな戦略的産業の育成に向けて バイオマスを新たにエネルギーや製品に利活用することにより、革新的な技術 ・製品の開発、ノウハウの蓄積、先駆的なビジネス・モデルの創出等が可能とな り、全く新しい環境調和型産業とそれに伴う新たな雇用の創出が期待できる。こ のバイオマス関連産業を日本発の戦略的産業として育成することにより、わが国 の産業競争力を再構築していくことが必要となっている。
この総合戦略の策定を契機として、農林水産行政を、従来の農林水産物の「生 産振興」中心から「生物系資源の持続的な活用」へと積極的に転換するところで ある。このことにより、バイオマス産業を国際競争力のある新たなわが国の戦略 的産業へと育成するとともに、農林水産業と農山漁村をバイオマス生産の場とし て再活性化できると考えており、省を挙げて積極的に取り組んでいく予定である。 関係府省と協力し、7月にバイオマス・ニッポン総合戦略骨子を公表したところ である。12月までに具体策とスケジュール等を盛り込んだ総合戦略を策定するこ ととなっているが、バイオマス利活用の促進には、民間における取組を推進する とともに、国民の皆様の理解が重要である。 今後、総合戦略の策定に当たっては、アドバイザリーグループから助言頂くと ともに、パブリックコメント(9月末まで、意見を募集中である)等を通じて、幅 広く皆様のご意見を反映させることとなっている。 参考 バイオマス・ニッポン総合戦略策定に向けて 経済財政諮問会議の指摘を踏まえ、内閣府、環境省、経済産業省等関係府省の 協力を得つつ、「バイオマス・ニッポン」への転換に向けた具体的な道筋を示す 総合戦略を年内に策定するため、プロジェクトチームを設置。 各界の専門家から構成されるアドバイザリーグループからの意見を聴取して総 合戦略を策定し、国民各層の理解と協力に基づく「バイオマス・ニッポン」の実 現を強力に推進。
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