北海道/森本 正隆
今日の携帯電話の普及は目覚ましい。営農の現場でも持ち歩きが便利で普及性 のある携帯電話を、情報を入手する端末や生産管理情報の入力機器として活用す る動きが活発になってきている。 去る、平成14年7月4日に札幌で行われたhaming(北海道農業情報研究会)研究 大会では、携帯電話を営農に活用している3事例の発表があった。ここでは畜産に 限らずその3事例を紹介する。 まず、栗山町農業情報システム(KISS)で提供される携帯電話を利用した情報 提供システムである。このシステムは通常のインターネットで提供している情報 を気象情報というリアルタイムデータに特化して、携帯電話で提供しているもの である。その内容はアメダスの実況値や農業に特化したピンポイントの農業天気 予報(町内を3地点に分割して保有するもの)、天気図やひまわり画像、レーダ画 像、レーダーアメダスなどこれからの天気を総合的に把握できる内容となってい る。 これらの情報は、生産の多い小麦の収穫や耕起、播種作業、牧草の収穫などに 活用できると期待されている。 次に、携帯電話のインターネット接続サービスを利用して、生産現場で発生し ているリアルタイムな情報を即時的に集積できるシステムに実験的に取り組んで いる事例である。この取り組みは、北海道農業研究センター畑作研究部が中心と なり、北海道芽室町の電脳農家グループ「未来農業集団」7戸が平成13年度から実 施している。 携帯電話を用いた記録例としては、農作業の開始時刻および終了時刻、病害虫 の発生やほ場位置、機械の異常、記録すべきイレギュラーな事項、作業中に浮か んだアイデアなど即時的に記録が必要な情報などである。さらに、農作業時間は メニューから簡便に選択記録出来るようになっている。 これらのリアルタイム記録とウェブカメラによるライブ画像などと組み合わせ て、消費者と生産現場をリアルタイムに結ぶことで消費者に生産現場を身近に知 ってもらい、双方向のコミュニケーションが可能となるメリットもある。 最後の事例は、畜産分野における活用で、乳牛飼養管理プログラムと携帯電話 による入出力を組み合わせた情報システムである。このシステムは北海道に本社 がある北原電牧株式会社が開発中のシステムで、授精日、妊娠鑑定日、乾乳日、 分娩日などの繁殖管理に関する個体情報の入出力が牛舎内などから携帯電話で行 うことが出来る。 これらの情報は、自宅のパソコンで専用のプログラムを用いることで集計や解 析が可能である。繁殖管理については既に運用が開始されているが、今後、さら に取り扱えるデータを増やす予定である。 現場情報リアルタイム収集システム概念図 乳牛飼養管理システムの携帯利用画面例