◎地域便り
山形県 ●いまを駆け抜ける尾花沢の牛飼いたち
山形県/古瀬 正則
「雪とスイカと花笠のまち」をキャッチフレーズに尾花沢市は、人と自然がお
りなすふれあいの里づくりを進めている。この3つのネーミングであるが、これに
はその名の通りきちんとした理由がある。
豪雪地である本市は、その雪深い風景とそこに棲む人々のあたたかな人情味が
合わさり飛騨の高山・越後の高田・出羽の尾花沢と日本三雪の地として古文書に
記されている。
また、盛夏のころ出荷される甘くて大きい尾花沢スイカは、夏スイカとしては
すばらしい味わいであり、当市特有の昼夜の寒暖差により、シャキッとした歯ざ
わりと甘さは、夏の風物詩として名実ともに全国に知られている。そして、民謡
「花笠音頭・花笠踊り」は尾花沢市が発生の地である。
尾花沢スイカに肩を並べ、もう1つの柱軸を担っているのが尾花沢牛である。B
SEによる風評被害の影響を受けながらも尾花沢の牛飼いたちの思いはいまに熱い。
昨今の共進会でも数々の賞を獲得している。
尾花沢牛は、奥羽山脈の良質な水と飼料をふんだんに与えながら、尾花沢の厳
しい冬を2回越すことによって芸術的とも言える霜降りと味わいまろやかな肉質が
作られている。雪国である風土が尾花沢牛を一級品に育んでいるといえるだろう。
尾花沢市の黒毛和種の飼養頭数は6,008頭(平成14年2月1日現在)で、1戸当た
りの飼養頭数は143.0頭となる。全国平均は27.2頭だが、これは乳用種を含んだ数
字であるため、いかに尾花沢市が和牛生産に力を入れているのかがわかる。
毎年この徳良湖畔で1,200人を対象に尾花沢牛を堪能できるイベントを開催して
いる。柔らかく甘みのある雌の黒毛和種2頭の最高級のお肉を開放感あふれる湖畔
で、しかも七輪の炭火焼きという最高のシチュエーションの中で賞味する。8月15
日に開催された「尾花沢牛肉まつり」は今年で6回目を数え、年々評価が高まり人
気を呼んでいる。これは畜産農家が主体となり、JA・行政がバックアップし尾花
沢牛の銘柄確立に向け、真夏に熱い思いを一つにする。
今や生産量、肉質ともに県内はもとより県外においてもトップクラスの評価を
得ている尾花沢牛は、雪国である尾花沢の自然が原料となり、妥協を許さない先
人達の気質とあいまって尾花沢の牛飼いたちはいまを駆け抜けている。
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【今年も盛大、「尾花沢牛肉まつり」】
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【尾花沢名物スイカと牛肉に舌鼓】
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