◎地域便り
埼玉県 ●昔ながらの放し飼い養鶏で、安全で安心なおいしい卵の生産
埼玉県/安里 誠
埼玉県秩父市の新井照久さん(42歳)は、平成13年6月に休耕田を利用して、鶏
の放し飼いによる「たまご牧場・アクアファーム秩父」をオープンさせた。
12年に一度の午歳総開帳でにぎわう、秩父札所巡りの一番寺、四方部寺近くの
小川沿いに、2カ所で面積2,700平方メートルの農場がある。その中で、合計1,40
0羽の鶏たちが元気にはね回っている。農場内には産卵用の箱以外には屋根のない
完全な屋外で、照明施設もない。昔ながらの自然な飼い方がオーナーのこだわり
だ。鶏たちはストレスが少なく元気に卵を産んでいる。
品種はボリスブラウンとイサブラウンで、120日齢で導入している。産卵率や卵
質の低下を考慮し、導入してから1年で鶏の入れ替えを行っている。また、冬季は
産卵率がかなり低下することから、計画的に2,500羽まで増羽して産卵数の確保に
努めている。飼料は、とうもろこし主体の配合飼料に、粉砕したカキ殻や数種類
の漢方薬を混ぜて与えている。さらに、ヨード等のミネラルを含んだ海草粉末を
加えることによって、卵の甘みが増している。抗生物質は一切使用していない。
また、農場が山の麓にあるため、きれいな湧き水がふんだんにあり、それを飲水
として与えている。
自然な状態で飼育されている鶏から産まれた卵は、しっかりした卵殻を持ち、
割ると黄身は鮮やかなオレンジ色をしていて、非常に弾力がある。箸で黄身を掴
めるほどだ。白身もしっかりした弾力があり、輪郭がはっきりしている。全体的
にふっくらしており鮮度は抜群だ。生で食べると、大変こくと甘みがあり、臭み
は全くない。大変おいしい卵だ。
オーナーの新井さんは、「安全で安心なおいしい卵を多くの人に食べてもらい
たい」と卵牧場を開いた。手間やコストを惜しまず、なるべく自然な状態で鶏を
飼うことにことさらこだわっている。そうして生産された卵を、「野生卵」と名
付けて販売している。農場では直売の他、卵拾いも行っている。「野生卵」の話
を聞いて、わざわざ東京から買いに来る人もいるそうだ。
また、消費者との対話から、賞味期限を生食期限として表示し、季節にかかわ
らず産卵日から14日間とし、安心して食べられるよう心がけている。食品の安全
や品質が、消費者から求められている時期だけに、なお一層価値のある卵である。
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【昔ながらの自然な平飼いがオーナーのこだわり】
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【抜群の味わい、お薦め「野生卵」】
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