トピックス



●●●英国政府BSE調査報告書の一部日本語訳の公開について●●●

 当事業団は、このほど英国政府のBSE調査報告書(The BSE Inquiry )の一部
(第1巻「調査結果と結論」、第2巻「科学」)を日本語に仮訳し、ホームページ
上で公開したのでお知らせします。この報告書は、フィリップ卿を長とする委員
会が英国におけるBSE問題について調査し、英国政府に提出したものです(2000年
10月公表)。

 原典は全16巻4,000ページに及ぶ膨大なものですが、特に参考となると考えられ
る第1巻、第2巻を仮訳しました。

 是非ご覧ください。

 なお、第14巻についても今後公開を予定しています。
  ホームページアドレス
      http://www.alic.go.jp

(参考) BSE調査報告書の内容

 第1巻 調査結果と結論 365頁(要旨含む)   第2巻 科学   257頁



●●●牛肉の卸売価格と子牛価格の推移●●●

 8月に神奈川県で5頭目のBSE牛が確認された。この影響を牛肉の卸売価格と子牛
価格に見てみる。7月夏本番を迎え、卸売価格は好調で、低位等級である2等級の
中にも前年同月比100%を超えたものがあり、8月も引き続き好調に推移した(東
京、8月は速報値)。このことから8月はBSEの影響は少なかったと言える。

 子牛価格は、卸売価格と連動しており、卸売価格と同様に子牛価格も順調に回
復を見せている(図1)。乳用牛についてはBSEが確認されたのが乳用種だったた
め、卸売価格、子牛価格ともに3月が底で、和牛に比較して回復が遅い(図2)。

 国内初のBSE発生からほぼ1年が経過しようとしているが、輸入牛肉以外はほぼ
前年並み、または回復の兆しがある。卸売価格の低迷期間中は、BSE対応肉用牛肥
育経営特別対策事業(BSEマル緊)や肉用子牛生産者補給金制度が畜産農家を支え
たことが大きい。

図1 卸売価格と子牛価格(和牛、前年同月比)

資料:農林水産省「畜産物市況状況」、農畜産業振興事業団調べ

図2 卸売価格と子牛価格(乳用種、前年同月比)

資料:農林水産省「畜産物市況状況」、農畜産業振興事業団調べ


●●●豚肉の牛肉代替需要、勢いを失い収束へ●●●

 最近の豚肉卸売価格(東京・省令)を見ると、昨年秋から続いている牛肉の代
替需要と2月からの原産地表示問題の影響から、4月以降6月までは1〜2割高で推移
していた。例年7月は、夏休みになる学校給食の休閑等により値を下げるが、今年
は大幅に値を下げ7月25日には447円/Kg(▲21.9%)と今年の最安値となり、月
平均では536円/Kg(▲4.6%)となった。

 8月に入ると夏のスタミナ源としての需要があり順調に値を上げた。さらに盆休
み前は在庫手当等により引き合いが強まり、8月12日は580円/kg(7.0%)まで値
を上げた。以後は前年同日をやや上回る相場で推移しており、8月23日には5頭目
のBSE感染牛が確認されたが国産豚肉の相場に影響は見られなかった。

 8月の全国と畜頭数は、猛暑による肥育の遅れ等もあり1,053,200頭(▲19.7%、
速報)で、前年同月よりも大幅に不足していたにもかかわらず、8月平均の卸売価
格は517円/Kg(▲0.2%)と前年同月並みの相場に戻り、かつての牛肉代替需要
の勢いは無くなってしまった。

図3 豚肉の卸売価格(東京・省令)

資料:東京食肉市場(株)
 注:省令は、極上と上の加重平均。直近月は、速報値。


●●●米国産鶏肉の輸入が不透明●●●

 農林水産省は8月6日、米国ニューヨーク州での鳥インフルエンザ発生を原因と
して米国からの家きん肉等の一時輸入停止措置を発動した。その後的確なまん延
防止措置が講じられていることから、ウエストバージニア州、バージニア州およ
びニューヨーク州を除く州からの輸入停止措置を8月9日付けで解除した。しかし、
昨年11月からの度重なる各州からの鳥インフルエンザウイルスによる輸入停止は、
根本的な早期の対策が求められる。昨年からの米国からの輸入停止措置等の一覧
を表に示す(表)。

表 米国産家きん肉等の輸入一時停止状況



●●●8月の国産鶏肉の相場について●●●

 平成14年初めの鶏肉(国産もも肉)(東京)の卸売価格は1キログラム当たり7
50円という高水準から、徐々に値を下げたものの、ゴールデンウィークに上昇し、
また、7月にかけて徐々に下落してきた。

 BSEによる代替需要に加え、14年3月の鶏肉の偽装事件や外国産鶏肉の衛生問題
もあり、国産品志向が顕著となり、例年かなり値下がりとなる8月の鶏肉相場(国
産もも肉)(東京)が、昨年を100円程度も上回って推移している。8月のもも肉
相場は600円台からの出発となり、昨年の500円台からの出発との差は大きい。

 また、今年は猛暑により育成率と増体が落ち込んでおり、7月の生産量は昨年を
0.8%下回っており、これも8月の相場を引き上げる要因となっている(図4)。

図4 8月の国産鶏肉卸売価格

資料:農林水産省「食鳥市況情報」


●●●国産ナチュラルチーズ生産量、前年度を上回る●●●

 農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課が公表した「平成13年度国産ナチュラル
チーズの種類別製造量について」によると13年度の国産ナチュラルチーズの製造
量は36,185トン(3.3%)と前年度よりやや増加した。

 統計を取り始めた昭和50年度以来、毎年千トンベースで増加してきたが、12年
度は食中毒事故の影響があり初めて前年度実績を下回ったが、13年度はほぼ11年
度の水準に戻った。

 このうち全体の7割弱を占め、主にプロセスチーズ原料となる、セミハード・ハ
ード系のゴーダ、チェダーおよびエダムの製造量は合計で24,506トン(5.7%)と
やや増加した。

 ソフト系の、ここ数年着実に増加してきたカマンベールは、4,016トン(▲5.5
%)とやや減少。独特の風味を持つブルーは26トン(▲7.2%)とかなりの程度減
少した(図5・6)。

 フレッシュ系の、クリーム、カッテージ、クワルク、モツァレラおよびマスカ
ルポーネの合計は5,677トン(▲0.6%)とほぼ前年並となった。このうち近年減
少傾向にあったクリームは667トン(▲27.0%)と大幅に減少、一方カッテージは
513トン(9.7%)、フレッシュ系の5割以上を占めるクワルクも3,299トン(4.2%
)、モツァレラは1,014トン(3.2%)マスカルポーネは184トン(3.3%)と増加
した。

 その他は1,960トン(5.8%)とやや増加した(図6)。(巻末資料P.56参照)

図5 国産ナチュラルチーズの種類別製造量(セミハード・ソフト系)


図6 国産ナチュラルチーズの種類別製造量(フレッシュ系・その他)



●●●鶏卵卸売価格、順調に前年同月を上回って推移●●●

 14年3月まで23カ月連続で前年同月を下回っていた鶏卵卸売価格(東京、M)が、
4月以降、前年同月を上回って推移している(図7)。

 生産量を見ると4月は前年同月並みであったが、5月、6月は前年同月を下回った。
採卵鶏は150日齢から産卵を開始し、180日齢で産卵のピークを迎えることから、
昨年12月以降6月までのえ付け羽数が、おおむね前年同月を下回って推移しており、
このことが一つの要因になっていると考えられる。

 また、この12月以降のえ付け羽数の減少が、今後も生産量と卸売価格に影響を
及ぼすと考えられる。それを裏付けるかのように7月の平均卸売価格は140円/Kg
(2.2%)、8月の平均卸売価格は149円/Kg(8.0%)と前年同月よりかなりの程
度値を上げ、9月5日現在でも195円/Kg(12.1%)と引き続き堅調な相場を維持し
ている。

図7 鶏卵の生産量と卸売価格(東京、M)

資料:農林水産省「鶏卵流通統計」、全農「畜産販売部情報」



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