大分県/本田 文博
大分県の西部、福岡県に隣接する日田市は、水郷と呼ばれる豊富な水資源を 活かした酒造りなどが盛んな地域である。また、農業は盆地地形の寒暖差を利 用した果樹や露地野菜栽培が盛んで、特に梨は西日本有数の産地となっている。 環境に配慮した農業を推進している日田市では、平成12年度に日田式循環型 有機農業推進方針を策定し、環境に調和した自然循環型の農業を基本に農業者、 消費者、流通関係者、行政等が一体となった推進体制の下で環境に優しい農業 の推進に取り組んでいる。 こうした中、県下最大の酪農地帯である日田市では、畜産環境問題の抜本的 な解決と良質たい肥の安定供給を目的に10〜13年度に総事業費12億1千万円をか けて市内9地区に地区たい肥センターを整備した。処理方式は、開放型攪拌発酵 方式による1次処理と堆積発酵方式による2次処理で、畜産農家での水分調整の 徹底と戻したい肥による水分調整でたい肥化の促進を図っている。当地域は古 くから日田杉の生産など林業が盛んで、オガクズ等の副資材の確保が容易なこ とから、酪農家では、フリーバーン方式の導入など飼養管理方式の改善を図り ながら、ふん尿処理方式の改善を図っている。 併せて、酪農家で組織する有限会社日田有機肥料供給センターが運営するメ インセンター(たい肥流通調整施設)を設置し、各地区堆肥センターからのた い肥を受け入れ、耕種農家の利便性に配慮した袋詰めたい肥の生産が開始され たことから、年間を通じた供給体制が整備された。 また、高齢化が進む耕種農家等のたい肥利用率向上のため、各地区たい肥セ ンターに自走式マニュアスプレッダーが導入され、たい肥散布受託組織が設立 されたことから、地域内でのたい肥流通の促進が図られることが期待されてい る。特に、これまで有機物の投入が不足していた水田へのたい肥利用の促進に 結びつけていきたいと考えている。 今後は、良質たい肥の有効活用により、有機・特別栽培農産物等を認証する ことで、地域農畜産物の高付加価値化、ブランド化で「ひたブランド」の確立 を目指していくこととしている。
河内団地たい肥センター 撹拌棟 |
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美濃団地たい肥センター 自走式撹拌機械 |