北海道/板谷 守
北海道は、乳用種を中心に年間18万頭を出荷するわが国最大の牛肉産地とな っているため、平成13年9月に発生したBSE(牛海綿状脳症)による牛肉の消費 低迷は大きな影響を受けた。 このため、道内の畜産経営の安定と振興を図るため、関係団体・機関と連携 して、安全な生産環境の確立と消費者に信頼される透明な流通を狙いとして、 牛肉のトレーサビリティの検討とモデル実証を平成13年から実施してきた。今 回、これらの成果を取りまとめ、トレーサビリティに関する消費者へのアンケ ート調査の結果とモデル販売の状況について報告する。 アンケートは、道内・道外の量販店・専門店・外食店、15店舗の協力を得て、 来店した約1,500人の消費者から回答を得、道内の大学の協力を得て分析した。 トレーサビリティに関する消費者の考え ・情報の取得方法としては、「店頭で情報を表示する」との回答が一番多か った(37.5%) ・提供を望む情報としては、「BSE検査結果」(67.7%)が一番多く、次い で「生産者の氏名・住所」(43.4%)となった。 トレーサビリティの経済的評価 ・トレーサビリティに対する消費者の支払意志額は、負担許容額として価格 の7%程度(23.2円/100g) ・現在、牛肉の購入を控えている消費者はトレーサビリティに肯定的な価値 を積極的に見い出していない。 このことからトレーサビレティの導入が消費回復につながるとは必ずしも 言えないという分析結果となった。 また、店頭での情報提供方法の一手法として、タッチパネル方式での情報提 供をモデル的に札幌市内および近郊の量販店(5店)で実施した。この方式は スライスパックに個体識別番号とこれに対応したバーコードを印字して、バー コードをタッチパネルの下部に組み込んだリーダーで読み込み、牛1頭毎の給 与飼料や治療履歴などの生産情報や、と畜情報、食肉としての流通情報を提供 するシステムとなっている。 今後、このアンケート結果を踏まえ、提供情報項目や提供方法を検討し、道 内で生産される牛肉について積極的に情報公開を目指していくこととしている。
【店頭用情報開示モニター (タッチパネル)】 |
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【生産・農場情報画面】 |