◎地域便り


北海道 ●新規就農を目指して酪農ヘルパーへ転職

北海道/片桐 紀生


 今年度も酪農ヘルパー利用組合に就労した若い男女を対象として、酪農ヘルパー
養成研修が全国各地の指定の研修施設で開始された。以前は指定の研修施設は6カ所
だったが、昨年度から十勝でも特別(地域)研修が道立畜産試験場で開催されるな
ど地域の要望に応じた研修の多様化もみられる。


 そのため、初任者研修の受講者も年々増加しており、平成12年度の117名が、13年
度には135名、14年度には155名と順調な増加となっている。


 十勝支庁管内は酪農のメッカといわれ、専任酪農ヘルパーが100名以上も働いて
いるが酪農ヘルパー要員の流動も多く、年間で20%以上のヘルパーが入れ替わって
いる。今年も特別(地域)研修が新得町の道立畜産試験場で4月21日に開講された。


 地域研修は講師が地元技術者で、技術相談しやすいこと、宿泊施設が整備されて
いること、研修経費も割安なこと、仲間と地域も同じで、距離も近いことから、派
遣した利用組合や受講の酪農ヘルパーにも地域研修は好評である。今年の受講生は
男性18名、女性4名。年齢も最低の18歳から、最高の38歳とバラエティに富んでおり
、学歴や前歴も多様。中でも、異色なのは有限会社鹿追町デーリィカンパニィーか
ら派遣された岡山県出身の猪内勝利さん(32歳)。岡山大学農学部を卒業後は全酪
連職員として技術研究所で飼料開発や支所での飼料購買の推進を10年間行ってきた
中堅職員だったが、新規就農したいと酪農ヘルパーへ転職した。転職先は酪農ヘル
パーから多くの新規就農者を輩出し、新規就農希望の酪農ヘルパーを優先的に採用
している先進的な農系ヘルパー会社の鹿追町デーリィカンパニィー(加納茂社長)
で専任ヘルパー18名が在職する。ちなみに昨年度の新規就農優良農業経営者表彰で
最優秀を受賞した小田治義さんもこの会社に酪農ヘルパーとして在職中に新規就農
先と奥さんを見つけている。猪内さんは、独身だが最低三年間は酪農ヘルパーとし
て実務経験を積み、将来は新規就農したいとの具体的な計画がある。学生時代は剣
道、社会人では山岳会で身体を鍛え、大柄な身体で寡黙な人柄だが、既に大型特殊
や削蹄師の資格も取得するなどの努力家で人工授精師の実務経験もある。
研修後は「学問的知識はあったが、酪農ヘルパーとして実際にやっていく自信がつ
いた」と語っていた。また、酪農ヘルパー全国協会の「新規就農データーベース」
へ登録して新規就農情報を入手してこれからの就農に備えるつもりだとも語った。
 
酪農ヘルパー特別(地域)研修風景   新規就農を目指す猪内勝利さん

元のページに戻る