◎地域便り


大分県 ●肉用牛1,000頭経営に向けて

大分県/農政部畜産課


 「肉用牛1,000頭経営に向けてがんばりたい」と話す桑原勝洋さん(25)は、現在大分県西国東郡真玉町で両親と弟真二さん(24)の4人で繁殖68頭・肥育牛679頭、計747頭の牛を飼養している農業後継者である。

 幼少の頃から、両親の手伝いで牛の世話をし、大分県立農業大学校卒業を契機に後継者として就農した。後継者として弟の真二さんも就農していることから、将来をにらみ増頭を進めた結果、就農当時425頭であった飼養頭数は747頭となり、今後も増頭していき、最終的には飼養頭数1,000頭を目指してがんばっている。

 桑原さんの牧場は、肥育牛を飼養するだけでなく、子牛を低コストで生産するために繁殖経営も同時に行うという繁殖肥育一貫経営への取り組みを進めており、その考え方として、次のポイントを念頭に置いて経営している。1つ目は前述した飼養規模の拡大。2つ目に、購入飼料ではコストが高くなることから飼料作付・収穫による飼料費の削減(現在の粗飼料購入はゼロ)。3つ目に、種付きの漏れをなくすため、種牛導入による生産率の向上。そして4つ目が、子牛の事故をなくすため、超早期母子分離による事故率の低下である。

 この4つのポイントと一緒に現在取り組んでいるのが、さらなるコスト削減のための自家配合の研究である。この自家配合で、出荷牛1頭当たり配合飼料に比べ4万4千円ほど飼料コストの削減になり、かなりの低コスト化につながった。当初は、配合労力の増大とともに、給餌した牛の増体が劣っていたこと、配合のやり方で生産物(自家配合飼料)が不安定であることが心配であった。昨年7月より普及センター職員の指導のもとにトウモロコシ等の穀類を増やし、カロリーを高くする等自家配合の改善に取り組んだところ、配合飼料と遜色ない結果となった。配合内容や給餌のやり方を工夫することにより、良い結果が出たことで自信が生まれたようである。

 また、課題になっていた周辺環境への取り組みについては、昨年度の県の事業でロータリー式の堆肥舎を建設し、良質な堆肥を作り、近辺の白ネギ農家等に供給するとともに、堆肥を敷き料として再利用することで、経費の削減を目指している。

 弟の真二さんと一緒に地域の後継者グループに参加し、地域内の農業者の輪を広げていくとともに、一昨年から県が主催した「豊後牛飼い塾」に参加し、県内の同じ「豊後牛生産者」との情報交換も行いながら、両親・弟とともに1,000頭経営を目指してがんばっていきたいと話してくれた。

牛舎で給餌作業をする桑原勝洋さん



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