茨城県/田中 宏和
茨城県県西地方総合事務所管内の養豚農家が組織する茨城県西養豚経営研究 会(倉持信之会長)では、「おいしい豚肉の生産」を本年の研修会テーマとし て掲げ、活動を行っている。先頃行われた研修会では、会員が生産した豚肉の 肉質分析を行い、その結果を基に肉質分析結果の読み方・生かし方に関する講 演会を開催し、併せて中ヨークシャー種豚肉の食味官能体験を行った。 肉質分析は会員の中から希望者を募り、9名の会員が生産した豚肉9検体(9 頭分)について行った。分析項目は、@水分含量%、A保水力%、B伸展率%、 C加熱損失%、D圧搾肉汁率%、E粗脂肪含量%、F破断応力kgw/cm2、G脂 肪融点℃、H脂肪酸組成の9項目で、講演会では、分析に当たられた(独)家 畜改良センター茨城牧場の稲村光洋先生から、今回の結果を既存のランドレー ス種やバークシャー種などの分析結果と比較しながら、肉質分析データの読み 方・生かし方についてのご講演いただいた。 会員の生産した豚肉の分析結果は、「保水力」に優れたもの、「粗脂肪含量」 に優れたものなど、同じ三元交配のLWDであっても飼料給与方法など生産者ご との違いを反映し、それぞれの生産者ごとに特色が出た。講師の先生は、今回 は初めて行った1頭だけの肉質分析の結果であるから、一喜一憂せず肉質分析 件数を増やし、自己生産豚の特色を把握して欲しいと話された。 講演の後、今ではほとんど見かけなくなった中ヨークシャー種の豚肉の食味 官能体験を参加者全員で行った(写真)。家畜改良センター茨城牧場によれば、 肉質分析の結果では中ヨークシャー種は、際だった特色はないものの、それぞ れの分析項目についてバランスが良いという特徴があるとのこと。今回は、中 ヨークシャー種の肉質について、参加者の舌による検証を試みた。会長生産の LWDの肉を対照として、しゃぶしゃぶと焼き肉で食べ比べた後、参加者にアン ケート用紙を配り、やわらかさ、多汁性、あぶらっぽさ、おいしさの4項目に ついて比較評価した。 参加者の官能による評価では、LWDに比較して柔らかい、多汁性があるとい う評価も出たが、中ヨークシャー種の肉にあぶらっぽさを感じる人もいて、食 べなれたLWDの方がトータル的なおいしさでは勝るという意見もあった。この あたりが官能評価の難しさかもしれないが、参加した会員にとっては、「安さ、 おいしさ、ヘルシーさなど消費者は豚肉に何を求めるのか?」といったことを 念頭に生産に当たることが重要との認識が高まった一日となった。
【肉質分析講演会風景】 |
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【中ヨークシャー種豚肉の 食味官能体験風景】 |