大分県/農政部 畜産課
大分県久住町の植木三雄さん(51歳)は東京の大学を卒業後帰農し、水稲、野 菜、椎茸と肉用牛との複合経営を行っていたが、現在は奥さんの陽子さんとの二 人三脚で肉用牛繁殖一本に絞り、雌成牛100頭を飼養するまでに規模を拡大して いる。久住の地の利を活かした放牧や採草で低コスト生産を行っているが、特に 新しい技術には敏感にアンテナを張り巡らせ、「誰かがこんな技術で成績を上げ ている」と聞くとすぐに調べ、場合によっては直接出向いて話を聞きに行き、自 らの経営に取り込んでいくチャレンジ精神が旺盛な経営者である。 町内で最も早くから水田放牧に取り組み、家に隣接した広い水田を放牧地とし て利用し始めた頃は、周囲から大変心配されていたようであるが、現在ではごく 当たり前の技術として定着しており、受精卵移植や県外産の雌牛を導入する口火 を切ったのも植木さんだった。また、平成13年度から始まった県が主催する「豊 後牛飼い塾」にも参加し、塾生会長として地域を越えたリーダーシップを発揮し ている。 その植木さんが12年から取り組んでいる新しい技術が、「肉用牛超早期母子分 離技術」。通常生まれた肉用子牛は、2〜3カ月間程度母牛に付けながら母乳で育 成させるのが一般的だが、この技術は出生直後に母子を分離飼育し、代用乳で育 てるもので、子牛の発育が良く、衛生面や管理面でも多くのメリットがあり、当 管内でも大規模農家を中心に徐々に広がりつつある。植木さんは他県の実践事例 をいち早くキャッチし、さまざまな困難や失敗にもくじけず、今では自動で哺乳 を行う「哺乳ロボット」を県下の肉用牛経営で初めて導入し、飼育成績を上げて いる。また町全体で同技術を盛り上げようと、普及センター主催の研究会への出 席を仲間にも積極的に呼びかけ、現在では30戸以上の農家が取り組むまでになっ た。 植木さんは今、成牛飼養頭数130頭以上を目標にがんばっているが、基本的に は地域全体が盛り上がってこそ自分の経営があるというスタンスであり、これか らの豊後牛増頭と地域振興の牽引役として期待されている。
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【植木 三雄 さん】 |
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【ハウス哺乳牛舎】 |
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【哺乳ロボット】 |