総合食料局消費生活課 宮瀬 良江
農林水産省では、全国の主要都市に在住する一般消費者1,021名の皆さんに食 料品消費モニターを依頼して、食料品の規格、品質、表示および価格動向、食生 活、食料消費に関するテーマについてのアンケート調査を行っている。その調査 結果は、食料品の品質の確保、表示の適正化、食品流通の改善、食料消費の改善 等のための各種行政施策に反映されている。 平成14年9月に実施された食料品消費モニター第2回定期調査は、「食肉に 関する消費者意識について」をテーマに調査を実施した。 調査方法は、質問用紙をモニターに送付し、回答を記入後、返送してもらう方 法で、1,021名のモニターに送付し、1,013名のモニターから回答を得た(回答 率99.2%)。 この調査結果は、平成15年2月17日にすでに公表しているが、今回は本調査 結果の概要を紹介する
BSEが発生してから、牛肉を購入する際にBSE発生以前より表示を注意して 見るようになったかを聞いたところ、「BSE発生以前はあまり見ていなかったが、 BSE発生以降はよく見るようになった」と回答する人が最も多く50.6%、次い で「BSE発生以前からよく見ている」39.5%、「どちらともいえない」4.9%と なっている。現在、表示を「見ている」(「BSE発生以前からよく見ている」と 「BSE発生以前はあまり見ていなかったが、BSE発生以降はよく見るようになっ た」)と回答している人は90.1%となっている。 年代別に見ると、どの年代も「BSE発生以前はあまり見ていなかったが、BSE 発生以降はよく見るようになった」を最も多く選んでおり、5割前後となってい る。「BSE発生以前からあまり見ない」は20代が最も多く1割となっている。 (図1)
牛肉を購入する際、重視している表示は何かを聞いたところ(3つ以内回答)、 「原産地」と回答する人が最も多く86.0%、次いで「販売価格」54.6%、「消費 期限および保存方法」53.3%となっている。 年代別に見ると、1位はどの年代も「原産地」と回答する人が最も多く80%以 上となっている。2位は20、30、40代は「販売価格」を選びそれぞれ68.6%、 61.0%、58.0%となっており、50代、60歳以上は「消費期限および保存方法」 を選びそれぞれ55.1%、58.6%となっている。3位を見ると20、30、40代は「消 費期限および保存方法」を選んでおり、それぞれ58.1%、46.7%、52.0%となっ ており、50代は「部位・用途」を選び48.6%、60歳以上は「販売価格」を選び 47.9%となっている(表1)。
現在の食肉表示についてどのように感じているかを聞いたところ、「十分であ る」と回答する人が最も多く47.5%、次いで「十分といえないが、これ以上は販 売者の努力に任せるべき」28.1%、「不十分であり、もっと項目を増やすべき」 14.2%となっている。 年代別に見ると、「十分である」と回答した人は60歳以上に最も多く53.5% となっており、年代が高くなるほど現在の表示に満足を感じている傾向が高くな る。 現在の食肉表示についてどのように感じているかを聞いたところ、「十分であ る」と回答する人が最も多く47.5%、次いで「十分といえないが、これ以上は販 売者の努力に任せるべき」28.1%、「不十分であり、もっと項目を増やすべき」 14.2%となっている。 年代別に見ると、「十分である」と回答した人は60歳以上に最も多く53.5% となっており、年代が高くなるほど現在の表示に満足を感じている傾向が高くな る。
企業による虚偽表示が多く報道されたが、それに対し現在どのような行動をと っているか聞いたところ、「虚偽表示報道以前は購入していたが、現在その企業 のすべての商品について全く購入しない」と回答する人が最も多く35.7%、次い で「虚偽表示報道以前は購入していたが、現在その企業の違反していた商品のみ 購入していない」21.5%、「虚偽表示報道発覚時は全く購入していなかったが、 現在は購入している」15.9%となっている。 年代別に見ると、「虚偽表示報道以前は購入していたが、現在その企業の全ての 商品について全く購入しない」は60歳以上が最も多く44.2%、「虚偽表示報道以前 は購入していたが、現在その企業が違反していた商品のみ購入しない」は40、50 代が多くそれぞれ24.8%、24.5%、「虚偽表示報道以前から、その企業の商品は 全く購入していない」は20、40代に多くそれぞれ7.0%、7.2%、「虚偽表示報 道発覚時は全く購入していなかったが、現在は購入している」は20代に多く 19.8%、「虚偽表示報道発覚時以前と同じく気にせず購入している」は20代が 多く22.1%となっている(図2)。
現在、牛の生年月日、品種、飼養地等の生産についての情報を、消費者側から 得ることの出来る仕組み(トレーサビリティシステム)が牛肉について議論され ている。この制度により生産情報が得られることをどのように考えているか聞い たところ、「生産情報を得ることは安全や安心につながるので、行うべきである」 と回答する人が最も多く74.6%、次いで「生産情報については、必要最小限わか ればよい」17.3%、「生産情報を得る必要は感じない」3.1%となっている。 年代別に見ると、どの年代も7割以上の人が「生産情報を得ることは安全や安 心につながるので、行うべきである」と回答している(図3)。
トレーサビリティシステムを行うには、情報管理と提供のためのコストが掛か ると言われているが、そのコストについてどのように考えているか聞いたところ、 「事業者、購入する消費者がそれぞれ負担すべき」と回答する人が最も多く32.2%、 次いで「事業者の責任で賄うべき」28.0%、「国や地方自治体(財源は税金等) が負担すべき」26.0%となっている。 年代別に見ると、「事業者の責任で賄うべき」は、30代、50代、60歳以上に 多くそれぞれ29.7%、29.2%、29.3%となっている。「購入する消費者も負担を するべき」は60歳以上が最も多く11.2%、「事業者、購入する消費者がそれぞ れ負担するべき」は60歳以上が最も多く39.1%、「国や地方自治体(財源は税金 等)が負担すべき」は20代が最も多く39.5%となっている。20、30代は「国や 地方自治体(財源は税金等)が負担すべき」と考えている人が多く、年代が低く なるほど「国や地方自治体が負担すべき」の傾向が高くなっている。40、50代、 60歳以上は「事業者、購入する消費者がそれぞれ負担するべき」と考えている人 が多い。
前項で「購入する消費者も負担すべき」、「事業者、購入する消費者がそれぞ れ負担するべき」と回答したモニター(407名)に、その負担が100グラム500 円の牛肉の場合、どのぐらいまで支払うことが出来るかを聞いたところ、「5% 以内(500円→525円以内)」と回答する人が最も多く71.0%、次いで「10%以内 (500円→550円以内)」25.1%、「20%以内(500円→600円以内)」2.0%とな っている。 年代別に見ると、どの年代も約7割の人が「5%以内(500円→525円以内)」 と回答している。
現在の牛肉の購入量は、BSE発生以前と比べてどのように変化したかを聞いた ところ、
「BSE発生以前よりは少ないが、BSE発生直後よりは増えている」と回答する 人が最も多く40.0%、次いで「BSE発生以前の購入量と同じになっている」24.4%、 「BSE発生直後から購入量は減り続けている」22.2%となっている。 年代別に見ると、「BSE発生以前の購入量と同じになっている」を選ぶ人は20 代が最も多く44.2%、「BSE発生直後から全く購入していない」を選ぶ人は60 歳以上が最も多く14.0%となっている(図4)。
「BSE発生直後から全く購入していない」と回答する人が最も多く22.4%、 次いで「BSE発生以前よりは少ないが、BSE発生直後よりは増えている」22.0%、 「BSE発生以前の購入量と同じになっている」20.3%となっている。 年代別に見ると、「BSE発生以前の購入量と同じになっている」を選ぶ人は国 産同様20代が最も多く38.4%となっており、年代が低くなるほど増加傾向とな っている。「BSE発生直後から全く購入していない」を選ぶ人は60歳以上が最 も多く37.2%となっており年代が高くなるほど増加傾向となっいる(図5)。
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