北海道/金光 優
北海道の酪農経営においても「生産の効率化・低コスト化」のためにさまざま な創意工夫が図られている。その1つとして「生産の分業化」が近年進展してい る。 代表的な事例が牧草収穫、ふん尿散布作業等の作業受委託である。 浜頓別町(北海道宗谷支庁管内)の共和・安別地区の酪農家は普及センターと 検討・協議を重ね昨年、育成牛の周年預託組織「ファーム開明」を設立した。 当初6戸の構成員は現在8戸となり、常時預託希望頭数も300頭を超え、地域 ニーズの高さがうかがえる。 育成部門を一手に引き受ける受託農家の奥井氏は昨年6月までは搾乳を行う酪 農家であったが、預託組織を設立後は育成専業農家に移行し、搾乳は中止した。 奥井氏は11年前に新規就農を始めたが、就農地には平坦地が少なく、山や急傾 斜が多いため牧草の収穫作業に不向きで酪農に限界を感じていた。逆に、この急 傾斜地を生かすため、「放牧を取り入れた足腰の強い育成牛づくり」に着目した。 このことは、酪農経営の効率化・低コスト化という地域酪農家ニーズと合致し、 酪農家自らが組織する周年預託事業の開始につながった。 現在は育成牛の周年預託システムにより、以下の項目の実現を目指している。 ■育成牛部門 @ 技術投資の集中化 技術レベルの高い農家への技術の集中化による良好な育成牛の安定的生産 A 資本投資の集中化 個々に育成施設や機械を整備するのでなく、装備の集中化による低コスト化 ■生乳生産部門 @ 生産工程の簡素化 良質かつ低コストでの生乳生産には数多くの項目について、高い技術レベル が求められ、これを1酪農家に求めること自体が困難な状況にあるため簡素化す る A 簡素化による技術レベルの向上 1酪農家の作業項目を減らすことにより、1つ1つの技術レベルを高める。 預託要領にも創意工夫がある。例えば、預託料金については、多くの地域は1 日○○円という期日定額制を採用しているが、これでは預託農家の努力成果が所 得に反映されないと考え、出来高定額制を預託料金に採用し、飼育日数に関係な く分娩前@@2カ月の引き渡しで定額の料金としている。 また、地域で知恵を出し合い、互いの経営を高めていく工夫と努力を再確認し ている。
【急激に増頭した 育成牛のため 新築された育成舎】 |
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【育成舎内の様子、 友達いっぱい】 |