栃木県/酪農試験場 生物工学部
栃木県酪農試験場では、平成5年・6年度に、酪農先進国であるアメリカ・カ ナダから8頭のスーパーカウを導入し、県内酪農家へ受精卵を配布することで世 界的な優良血統を広める事業を実施してきた。さらに、13・14年度にはカナダ から優良な血統を引き継いだ高能力乳用牛「21スーパーカウ」(育成牛)を9 頭導入した。「21スーパーカウ」の名称は、21世紀の本県酪農に貢献できるよ う命名された。この牛は、カナダ国内において生産能力がトップクラスの母牛に、 世界的に評価の高い種雄牛を交配して生産されたハイインデックスカウ(遺伝的 能力の高い牛)である。これらのドナー牛から受精卵を採取し、県内の酪農家に 供給し、高能力牛の子孫をいち早く増殖して酪農経営の安定に寄与することを目 的としたのが「21スーパーカウ」受精卵配布事業である。 平成6年から実施したスーパーカウ受精卵の配布個数は、8年間で約700個、 13年度までに生産された子牛の頭数は約150頭、うち約70頭の娘牛を得ている。 また、これらの娘牛のうち検定の終了した個体の平均成績は、乳量で県平均値を 約1,000キログラム上回り、乳脂率・乳タンパクすべて平均を上回る良好な成績 であった。このような優良血統牛を広く県内に普及し、乳用牛の生産能力を向上 させることで、効率的な生乳生産が可能となることが実証された。そこで、酪農 試験場では受精卵移植技術をはじめとする先端技術(PCR法による性判別技術 等)を駆使し、「21スーパーカウ」ドナー牛の増殖を行い、さらに、15年度後 半からは本格的な受精卵の生産を開始する。県内酪農家へ「21スーパーカウ」受 精卵を安定的に供給していくことで、全国第2位の生乳生産量を誇る「栃木の酪 農」を乳牛改良の側面から支援していきたいと考えている。
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