静岡県/御殿場市役所 農政課
御殿場金華豚研究会は、富士の裾野に広がる恵まれた自然環境の中で、全国で も唯一、金華豚を生産し、金華豚の銘柄化に取り組んでいる。 金華豚は中国原産の在来種で、成熟体重が100キログラムから130キログラム と小型で、頭とお尻が黒いのが特徴である。性質は温和で飼い易いとされている。 そして、金華豚の特徴として1番に上げられるのは、そのすぐれた肉質にある。 中国料理の高級食材として世界的にも有名な「金華火腿」の原料となり、また、 グルメ番組でも高級素材として紹介される機会が多い。 同研究会が金華豚を飼育するようになったのは、平成元年に静岡県中小家畜試 験場から3頭(雄1頭、雌2頭)の払い下げにより導入したのが始まりで、現在、 会長の長田忠七さん(53歳)を中心に5名の会員で、繁殖豚40頭、肥育豚約200 頭を飼育している。生産された肉豚は、すべて地元の御殿場食肉センターで解体 し、会員でもある有限会社山崎精肉店が全量買上げ、生肉および加工品として販 売している。山崎精肉店では店頭販売する他、市内の食堂、店舗、県外の業者に 提供し、さらに、同研究会として市内、県内の各種イベントに参加し、加工品等 の即売を行なう等、地域へのPRにも積極的に取り組んでいる。 最近では、金華豚の知名度も高まり、全国の業者から研究会に多数の問い合わ せが寄せられるようになり、すべての要望に対応できないのが現実で、同研究会 でも生産量の拡大が大きな課題となっていた。そこで、昨年、御殿場市役所とJA 御殿場の支援を受け、御殿場市内の旧種豚センターを改装し、金華豚専用の120 頭規模の肥育豚舎を増設した。これにより、今後の生産増に向け大きな弾みとな った。 残る課題は、優良種豚の確保である。平成元年以降、静岡県中小家畜試験場か らの払い下げを受けているものの、限られた遺伝資源の中で増頭を進めているた め、思ったほどには生産量の拡大がされていない。原産地中国からの新規導入は、 当面、困難な状況にあるため、同研究会では、国内で試験的に飼養されている個 体探しや情報収集に努めている。 いずれにしても、御殿場金華豚研究会は、国内で唯一金華豚を生産する組織と して、課題を克服しながらも、御殿場市役所、JA御殿場等の関係機関とともに会 員が一致団結し、これからも金華豚肉と加工品の銘柄化を目指していく。
【富士山の下、 黒と白の コントラストが 美しい金華豚】 |
||
【イベントの 試食販売、 生産者も 加勢して 「さあ、 やるぞ!」】 |