◎専門調査レポート
地域を元気付ける肉用牛ヘルパー活動
放送大学 京都学習センター
所長 宮崎 昭
肉用牛経営とヘルパー
「日本人は働きすぎ」と海外から指摘されたのも今は昔、サラリーマンの週
休2日制が定着した。だが、畜産の世界では、「365日牛の世話をしてこそ本当
の酪農家」などと言う人も少なくない。しかし休めないことが農家の後継者不
足や配偶者難の一因となっている可能性は否定できない。それに気付いた酪農
経営が定休型ヘルパー制度を立ち上げ始め、行政がその動きを支援し、現在、
全国に378の酪農ヘルパー組合が生まれている。
肉用牛経営においてもヘルパー導入による経営の長期的安定を求める声はあ
るものの、酪農とは作業体系が違うし、零細な経営も多いことから、ヘルパー
への取り組みは遅れがちであった。しかし、経営の担い手減少や高齢化進行に
よる生産基盤脆弱化の改善のためには、ヘルパー制度の立ち上げも必要との認
識が出始めた。行政もそれを支援しようと平成10年度から肉用牛生産基盤安定
化支援対策事業の中で、肉用牛ヘルパー組合支援の補助事業の実施に踏み切っ
た。
この事業を担当した社団法人全国肉用牛協会が13年度に「肉用牛ヘルパー組
合の概要」をまとめている。そこから、肉用牛ヘルパー組合の特徴を調べてみ
よう。
この補助事業実施団体は全国に105団体あり、そのうち101団体がこの概要書
に紹介されている。これによれば、専任のヘルパー要員がいる組合は全体の6.
9%と著しく低い。また、ヘルパーに求める仕事内容では、子牛の市場出荷時
の運搬代行が94.1%と圧倒的に多い。これには僅かながら、肥育牛の出荷代行
も含めてある。
次に多いのが日常の飼養管理の代行で、46.5%であった。続いて削蹄や除角
22.8%、飼料生産調製21.8%、登録検査や共進会などへの牛の引出し18.8%、
そして、ごく僅かとなるが乾草やたい肥運搬時の機械オペレーター3.0%とな
っていた。
肉用牛ヘルパーが子牛の出荷代行などの一時的な業務に当たっているのは経
営の担い手として高齢者や婦女子が多いためと思われる。次に多い飼養管理代
行も冠婚葬祭時や緊急事態発生時に求められている。これをみれば、肉用牛経
営ではヘルパーを利用して、1日ゆっくり休み、明日に向けてエネルギーを充
電しようとの意向はなかなか読みとれず、その点で酪農ヘルパーと違っている。
現在、わが国の肉用牛ヘルパー組合の中には、多くの互助組織的なものと、
ごく少数の定休型のものがあることから、これら組合のそれぞれについて現地
調査し、組合発展の経緯や現在の活動内容、さらに直面する課題などについて
聞き取ってみた。前者は互助組織を少し発展させ、高齢者や婦女子農家の子牛
出荷代行を行うかたわら、良質乾草生産供給を行い、頼もしがられている鹿児
島県菱刈町肉用牛ヘルパー組合青年部である。後者は専任のヘルパーを採用し、
定休型を実現している静岡県中遠肉用牛ヘルパー利用組合である。
鹿児島県菱刈町肉用牛ヘルパー組合青年部の活動
菱刈町は農業就業人口の7割弱が60歳以上と高齢化している。そのため繁殖
雌牛の日常の飼養管理は行えても、子牛をセリに出す作業が危険で負担となり、
牛飼いを断念する動きがあった。そのような状況下で中核的な肉用牛経営者3
名が昭和61年11月、子牛運搬代行を開始した。当初1地区であったが、やがて
町内全域に拡げられた。
この趣旨を良しとして参加した和牛青年部の中で、目指すことを共有できた
15名が平成4年に菱刈町肉用牛ヘルパー組合青年部を設立した。このうち1名が
たばこ栽培に専念するため13年度をもって退会した。青年部の平均年齢は46歳
である。
11年度、町内全体で出荷された子牛1,253頭のうち、青年部が取り扱ったも
のが697頭、うち青年部員の176頭を引くと、子牛運搬代行実績は521頭となる。
1人当たり年間34.7頭を運搬代行したことになる。
それに加えて3年度から7年度まで地域畜産活性化対策事業を活用し、高齢者
および婦女子農家に良質乾草供給を行い、これら農家から喜ばれ、8年度から
町単独事業でそれが継続されている。
この青年部は規約を作らず、しばりが少ない。それでもうまく運営されてい
るのは気の合う牛飼い仲間が集っているからという。彼らは青年部を集落で信
頼されるリーダーを育てる場と位置付けている。そこで会長、役員は2年ごと
の持ち回りとし、いや応なしに責任を持たせている。活動については、時の会
長のやり方に一切文句を言わないのである。青年部は新規参入を認めず、あと
何年間か頑張り抜いて解散するつもりで、そのとき新しい人々が新しい組織を
作るのが良いと考えている。そのヒントに青年部がなれるように努力を続けて
いるという。
彼らは同志的結束が固く、行政や農協の指導などは受けず、独立独歩で続け
てきた誇りを持ち、今後もその意向である。ただ、肉用牛ヘルパー等組織支援
対策事業による補助金をごく僅か受けている。13年度は10万2千円で、事業推
進会議費、傷害保険料、先進地研修に対する補助に充てている。なお、13年度
の決算を見ると、町からは52万5千円の補助が出ており、良質乾草供給事業に
ついても町から117万5千円、菱刈町肉用牛振興協議会から29万1千円の補助が
出ている。
子牛運搬代行業務は年間7回の市場開催時に行われる。対象は@高齢者(60
歳以上)で後継者のいない農家、A婦女子農家、B冠婚葬祭または緊急事態が
発生した農家、Cその他特別と青年部が認めた農家である。代行依頼がセリ2
日前までに来ると定例会が開かれ、地区ごとに運搬割当が決まる。その時、前
回の反省等も協議される。これに基づいてセリ当日朝6時頃から各地区で2トン
トラックを所有する青年部員ともう1人の部員がペアとなり、1車輌に最大5頭
の子牛を積んで、9時までに2回、市場へ運ぶ。もし荷が少ないと若い農家の子
牛を運ぶこともある。市場では体重測定し、所定のけい留場に子牛をつなぐ。
その後、セリの順番が来ると子牛を引出し、落札後それを購買者に渡して終了
する。この出役時には普通青年部員の夫人もバックアップするので楽しく仕事
をすることになる。代行利用料は現在1頭当たり7,000円である。そのうち2,00
0円がトラックを出した青年部員へ、残り5,000円が積立貯金される。これが12
月にボーナスのように青年部員に均等に支払われる。これは現金で夫人に手渡
されることになっている。例え年7回のセリに1回出られなかった場合にも、同
額を出すことで一体感を持たせている。なお、代行利用者には子牛1頭につき
町が2,000円を補助している。
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【菱刈町青年部員の牛舎では良
質乾草が給与される】
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他人の子牛を運ぶこの仕事で、初めは子牛が足を骨折したこともあったが、
ここ5、6年は事故は全く無くなった。ただ備えに1頭につき農協が100円を集め
ているという。
次に良質乾草供給事業では転作に協力した農家の転作田や水田裏を借用集積
して、青年部が大型機械を用いてイタリアンライグラスを栽培し、乾草を梱包
してほ場で引き渡している。生産量は13年度に約7,000梱包であった。多く受
取る農家は300〜400梱包もあるが、普通は飼養頭数に応じて販売している。乾
草価格は生産原価の半分と安くなっているが、残りを町が補助している。
青年部は子牛運搬代行と良質乾草供給等の活動を通して、菱刈町全体の高齢
や婦女子の農家の経営の存続と飼養頭数の維持に少なからず貢献している。そ
れが広く認められ、「青年部がないと牛飼いができない」との声が出るほどで
あり、青年部員はプライドを持ち、強いリーダーシップを発揮している。その
活動を夫人が積極的に支援し、子牛セリの日はもちろんのこと、乾草収穫日に
はフォークで地表に集め残しがないよう手伝っている。また、夫がヘルパーと
して十分に働けるように、飼養管理をよく手伝っている。
ヘルパーを始めた頃、青年部員の出荷する子牛の価格は、市場の平均値程度
であったが、今では常にトップクラスになっている。これは、セリ出荷代行業
務を通じて牛を見る目ができたためと考えられる。
生活にも大きな変化があった。青年部では毎月1回、懇親の場が設けられて
いるが、夫人が参加してカラオケ大会、飲み会、ゴルフコンペなどが開かれ、
女性のほうが楽しんでいると言われるほどである。また、青年部はさらにかあ
ちゃん感謝デーを年1回開き、奥様達の日頃の労をねぎらう目的で男性が送迎
して、料理を手づくりしているのはほほえましく、子牛運搬代行の積立金が年
末に夫人に手渡されることとともに実に明るい生活環境を菱刈町につくり出し
ていることがわかる。こうした中で、後継者が現われ、町には活気が感じられ
る。今後はヘルパー組合員の身分保証、福利厚生面の充実、運搬車等の整備な
どを改善し、和牛生産の振興に努めるため、行政などとの連携を深めることが
望まれる。
なお、この地域には3カ月齢の子牛を市場出荷までまとめて預ってくれるキ
ャトルセンターが伊佐農協によって開設されている。子牛は1日当たり約800円、
出荷まで約8万円かかるが、農協が共同出荷をしてくれ、子牛が群飼されてい
ることもあって、購買先で評判が良いという。青年部員の中には、ここに子牛
を預けることで、母牛飼養頭数を増やす人もいる。今日、高齢者の牛をいかに
地元に保留していくか、特に中核的な経営がどのように増頭するかが課題とな
っている中で、キャトルセンター利用拡大は注目される。そして、それがヘル
パーを続ける上で役立ちそうに考えられる。
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【キャトルセンターでは獣医師
が子牛に適切な処置をする】
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静岡県中遠肉用牛ヘルパー利用組合の活動
中遠地区内に点在する飼養規模が比較的大きい肉用牛経営者が良く利用する
袋井家畜市場で、毎週1回開催される肉牛(生体)市場は、そこに集まる肉牛
経営者の情報交換の場としても機能してきた。そこでいつとはなく、酪農ヘル
パーのようなものが肉用牛にもあれば、ゆとりある経営が実現できるのではな
いかと話し合われていたが、良案が見つからなかった。
そのような時、中遠農林事務所が平成10年度に前述の補助事業(肉用牛生産
基盤安定化支援対策事業)による肉用牛ヘルパー利用組合の組織化を呼びかけ
た。それに応えて20名の経営者が地域の酪農経営の指導を受けて、全国的にも
例の少ない定休型の肉用牛ヘルパー利用組合を11年3月に設立した。組合員の
平均年齢は現在、50.5歳と比較的若い。また、そこで飼養される肥育牛は現在
3,041頭、繁殖牛は183頭である。
この組合の目的は、「肉用牛農家がヘルパー制度を通じて潤いのある生活環
境作りと経営の安定的発展を図る」である。その主な活動はヘルパー制度の普
及啓蒙、ヘルパー要員の確保・出役調整、技術向上、傷害・損害保険への加入
推進などである。その多くに対し補助金が2分の1以内で出されている。組合の
事務は静岡経済連西部畜産センターがパート1名を採用して代行し、ヘルパー
は専任1名、臨時1名となっている。専任は21歳の肉用牛経営後継者で、身分は
利用組合の職員または嘱託員と位置付けられ、給与として月額約20万円の報酬
を支給されている。身分保証としては厚生年金および社会保険に加入し、作業
中の事故については民間の損害保険に加入している。しかし、それでもヘルパ
ーを職業の1つとして選択する人が出てくれば、社会的な身分保証を手厚くし
なければならないと考えられている。
ヘルパー利用組合員は賦課金として均等1戸当たり7,000円、頭数割1頭当た
り34円を拠出し、また、ヘルパー利用料金として、基本料金1戸当たり6,000円、
肥育料金1〜50頭規模1頭当たり40円、51〜100頭,30円、101〜200頭,20円、201
頭以上,10円、繁殖料金1頭当たり50円を支払うのである。1戸当たりの利用回
数は平均すれば年間16回である。
ヘルパー利用に当たっては、前月15日までに申込んでおくと、組合三役会、
事務局、ヘルパーの3者が協議して日程を決める。その優先順位は、@組合員
の事故、傷病、それに葬祭、A冠婚や祝い事、B旅行その他の行事と決めてあ
る。しかし緊急事態には優先して日程がとれることになっており、これら調整
の過程で組合員同志が理解し合い、親しくなっていったようである。
ヘルパーの作業は飼料給与が中心であるが、牛舎清掃、たい肥切返し、分娩
介助、除角、去勢等も行う。さらに労働力のない肥育経営は出荷を依頼するこ
ともあるし、農繁期には稲作、お茶の手伝いや雑用など利用時間内には何でも
やっている。飼料給与は一般に農家ごとに工夫されていて、特徴やくせがある
が、ここでは採用前に1カ月間の見習をするのに加えて、当初3カ月間は利用農
家と一緒に作業して、その概要把握に努めている。特にこの地区の肥育経営は
統一的な飼料を考案して利用しており、飼料給与の代行にはあまり問題はない
ようである。そのため伝言板で飼料や添加剤等の給与量を確かめ、また体調の
悪い牛や分娩間近の牛への注意を読んでから作業に取りかかる。その後、作業
内容と牛の状態について気付いた点を作業日誌に書き込む。
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【中遠地区のヘルパー利用組合
員からのききとり】
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ヘルパーの出役は午前、午後、各3時間で、月平均22〜23日間である。ただ
し、ヘルパーは若いことから、組合ではなるべく日曜日出役がないように配慮
している。
組合設立時に、他人に飼養管理を任すことへの抵抗感をもった組合員も、ま
もなくヘルパーへの信頼が強まり、今では安心して休日をとり、日頃できない
趣味や家族サービスの日帰り旅行、またお茶の刈取りをしている。中でも若い
後継者は他産業と同様に週休2日を望むが、せめて2週間に1回は休みたい意向
を持っており、ヘルパー利用の際には友人と計画的にレジャーに出かけている
という。
一方、20戸を回わるヘルパーは、上手に飼料を食べさせる経営者のノウハウ
を学び、それを組合全体に一般化する役目を果たしている。そのため、ヘルパ
ーは上手に飼料を給与してくれると実感されており、組合員の飼養技術の高位
平準化が進んでいる。
ヘルパー側もこの仕事を通して農業経営や農業全般について学ぶところが多
く、将来、後継者を目指す若者として良い経験であると話している。しかし、
このように信頼の厚い専任ヘルパーが、今年3月末に、3年7カ月間にわたった
この仕事をやめ、家業の肉用牛経営に参画することになった。そのため、県内
外の関係機関に声をかけて、将来、肉用牛経営後継予定の新人を探している。
組合員の結束が固いのも1つの特徴で、定例の総会以外に家族を含む組合員
相互の親睦と交流を目的とした臨時総会が毎夏開かれている。それはキャンプ
場でバーベキューを囲み、夜を徹して行われる。そこでは肉用牛経営のあり方
が論じられ、後継者問題、飼料給与技術や肉質についても話される。さらに発
展して、仲間でステーキハウスを出し、生産と消費を結び付ける夢なども語ら
れる。その場には農協の畜産担当者、経済連小笠食肉センターや飼料メーカー
等の職員が加わっているので、地域畜産の具体的発展に向けた論議が活発であ
る。
組合員全員による牛舎巡回も年1、2回行われ、1頭当たりの飼養面積、防寒・
暑熱対策、環境問題について話し合われる。また、皆が来るからというわけで
牛舎をきれいにしようとの意欲も強くなっている。夫婦同伴の研修会出席も一
般的であり、情報の共有が実現している。これらは利用組合結成があって初め
て実現したと認識されている。
13年11月に(社)全国肉用牛協会は肉用牛ヘルパー活動推進支援事業を全面
的に見直し、拡充したので、肉用牛経営で考えうる作業における多くのヘルパ
ー業務が補助対象となった。この組合としてはそれをさらに採り入れようとし
ているが、当初の計画では、14年度で一応、補助事業が終るとのことである。
もし、その継続がなければ、地区で期待されるヘルパー活動を続けることが不
可能になると考えられている。望むらくは経済連・農協等の団体職員に位置付
けられたヘルパーが利用組合で働くようになって欲しい。もちろん、後継者の
勉強の場としての活動は今の条件以上を望むことは難しいであろう。
雇用条件を改善して初めて、肉用牛経営側の需要に見合うヘルパー要員の確
保が可能になると考えられる。今後は、組合員自身も高齢者になるであろうし、
それ以外にも地区内には高齢が増え、後継者がいない経営も多いことから、こ
の制度を是非育てたいものである。
望まれるヘルパー支援の充実
今回調査した2地域はヘルパー利用のタイプが異なっていたが、ともにヘル
パー導入によって後継者が育ちやすくなっていた。また女性が元気で、働く時
も、研修などに参加する時も、夫婦同伴が一般化しており、生活に活気と明る
さが感じられた。これらは肉用牛経営の長期的安定をもたらすことであろう。
恐らく、ヘルパー組織の運営を機に組合員同志が親しくなり、また互に利用に
際してゆずり合う精神を持つ中で、さらに家族を含めた交流の良さを認識した
結果と思われる。
次にヘルパー導入を機に、両地域とも、他人の牛舎を見たり、他人の子牛を
取り扱うことを経験した。そこで組合員は牛飼いとして視野を広げ、飼養管理
面での注意深さを身に付け、自己の技術を向上させた結果、経営内容の改善を
進めてきた。
一方、個々に気付いたこととしては、まず菱川町で定休をもっと取り易くで
きないかと言う点であった。飼養規模が大きくない肉用牛繁殖経営ではいつで
も休めると言われるが、後継者はなかなかそうはいかないものである。特に独
り身では若者としての自由時間が欲しかろうし、若い家庭では子供たちと過ご
す時間を多く取りたいと思うものである。そこで、ヘルパー組合員同志で飼養
管理などの日常業務の代行をするシステムを工夫して欲しい。その場合、肉用
牛ヘルパー活動支援事業の中の飼養管理ヘルパー利用促進費の補助が定休をと
る理由で適用されることが望まれる。
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【BSE発生後も着実に肉用牛を
増頭している】
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中遠地区については近隣の組合員でない高齢などの小規模経営を支援して地
域ぐるみの肉用牛振興のため、組合が活動を広げることが望まれる。その場合、
専任のヘルパーに今以上の負担を強いることは難しいが、利用組合内には飼養
規模などの点である程度時間的余裕を見つけられる人もいそうである。その人
たちがパートタイムヘルパーのような形で活動して、適正な料金を今までのヘ
ルパー利用で得た経験から決めていくことが望まれる。
筆者は10年余り前、デンマークで、国が年間30日分のヘルパー利用を畜産経
営にすすめ、補助金を出していることを聞いた。それを活用して経営者が家族
とともに海外旅行に出かけていた。この国はノルウェーらとともに、いわゆる
スカンジナビア・デモクラシーにより福祉社会を実現している。そこでは働く
者すべてに5週間の有給休暇が保証されている。
ヘルパー利用料を国が当たり前のように出すのは、農村に住む人々と都会に
住む人々とがすべての点で同じような生活ができるようにすべきだという国民
的合意があるからである。日本も少しはそれを見習って、現行の支援事業の継
続はもとより、さらなる充実を図って欲しいものである。ながんずく、専任ヘ
ルパーが1つの職業として成立つような身分保証面での援助が盛り込まれるよ
う希望したいものである。
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