◎地域便り


北海道 ●酪農の町、別海における農業農村情報ネットワークの構築と利用

北海道/中村 保彦


 別海町は面積が13万2千ヘクタール、うち6万3千ヘクタールの草地におよそ1
1万頭の乳牛が飼われている。生乳生産は平成14年でおよそ46万トン、実に全
国の生乳生産量の5%、北海道の13%を1町で生産している。酪農家は980戸、1
戸平均470トンを生産している。

 全農家の意向調査を基に平成6年から2年間をかけ別海町酪農振興計画を樹立
し、地域農業の将来の姿と解決の方向性を示してきたが、この計画の柱の一つ
に情報化がある。

 情報化の目的は散在する関係情報をDB化し、有機的に結合することにより経
営・技術上の問題点を見つけ易くすると共に、農業経営者の意志決定のスピ−ド
を上げることおよび管理労働の軽減、経営と技術の結合によるコンサルト機能
の獲得である。

 提供情報は1)高度農業気象情報、2)酪農技術情報、3)農家経営情報、4)
関係機関・団体情報からなっている。情報センターとして別海町マルチメディ
ア館に機器をおきネットワークでつないでいるが、データの管理およびデータ
メンテナンスはデータベースを持つ町内5農協(※1)と根室生産連が行ってい
る。農家端末としてパソコン1,006台、多機能端末121台(※2)を12年3月に導
入した(※3)。システムは情報のセキュリティ確保のためイントラネットとし
ている。情報は自ら入力することなくIDとパスワードで収受し容易に加工編集
する事が出来るが、簡単な情報の交換のためにファックスネットワークの活用
も出来る。

 根室管内の酪農技術情報は根室生産連に集約されデータベース化している。
人工授精データ、生乳検査データ、乳牛検定データがいち早く農家成績として
返される。これらのデータを有機的に組み合わせることで、牛群の飼養管理上
の問題点を発見しやすくなり、個々の乳牛の状態の把握も容易になった。また、
クミカン情報を中心とした経営情報が随時各所属農協から取り出すことが出来
る。

 関係団体として12団体(※4)が構築時から参画し、情報の提供と指導相談
業務に活用している。

※1 別海、中春別、上春別、西春別、計根別
※2 ファックス機能にインターネット機能を付けた端末機器。
※3 一部計根別農協管内の中標津町在住農家を含むため町の農家戸数とは一
  致しない。
※4 町内5農協、根室生産連、根室家畜保健衛生所、根釧農業試験場、南・北
  根室地区農業改良普及センター、根室地区農業共済組合、別海町
【農業情報ネットワークの乳牛
管理プログラム内容の一部】

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