トピックス

●●●牛肉価格の推移●●●

 国内産牛肉の卸売価格は国産志向の影響で夏以降11月まで堅調に推移して
きたが、12月に入ってほぼ5カ月ぶりに全品種および全規格で値を下げた。こ
れは年末手当の確保を急ぎ過ぎたためと思われる。12月に値を下げることはBS
Eの影響を受けた13年度を除いて、今までにないパターンである。

 同時期の輸入牛肉について見ると、国産牛肉と密接な関係にある冷蔵肉は、
国産牛肉の卸売価格の上昇とともに、輸入量が増加しだし、11月には前月比23
.5%増となった。パーツごとでは、ロインを除いたすべての規格で前月を大幅
に上回った。この傾向は12月も同様に推移し、生鮮・冷蔵牛肉の輸入数量が急
激に回復している(図1)。

 輸入価格(CIF)についても、夏から徐々に回復している。国内牛肉の消費
低迷を受けて高騰した前年の同時期の前年同月比を比べると、11月には生鮮・
冷蔵、冷凍ともに前年同月を上回った(図2)。
◇図1:牛肉の輸入数量◇
◇図2:牛肉の輸入価格(CIF、前年同月比)◇


●●●増加する冷凍品豚肉輸入量●●●

 財務省の「貿易統計」によると、14年次の豚肉輸入量は、777,542トン(9.8
%)となった。14年次においては、1〜3月および8〜12月の間、豚肉関税の緊
急措置発動により関税率が引き上げられていたにもかかわらず前年より約1割
の増加であった。BSEによる牛肉の代替需要や国産豚肉の堅調な相場から輸入
品の需要は強かったと言える。

 国別ではカナダ(178,918トン、17.2%)とデンマーク(239,624トン、12.3
%)の増加が著しく(図3)、形態別では冷蔵品は205,498トン(2.5%)とわ
ずかな増加に対し冷凍品は571,326トン(12.6%)とかなり大きく増加してい
る。

 次いで、わが国における最近の豚肉供給量の推移(輸入量と国内生産量の合
計)を見ると、11年以降、国内生産量はわずかに前年を下回って推移している
が、輸入量は増加傾向にあり、全体では年々増加している(図4)。主に生鮮
肉として流通する国内生産量の減少分を輸入冷蔵品の増加分が補う形で推移し、
国内生産量と輸入冷蔵品の合計は100万トン強とほぼ一定している。14年は、1
3年9月以降の牛肉の代替需要により国産豚肉相場が堅調であったことから生産
意欲が増し、国内生産量は増加するものと思われたが意外にもさほど変化は見
られなかった(前年比▲0.5%)。BSE特需は、豚肉相場には大きな影響を与え
たが豚肉の自給率を引き上げる要因とならなかったようである。これは豚肉の
新たな需要には安価で保存性の高い輸入冷凍品で対応していることを意味し、
今後も国内での豚肉需要が強まれば輸入冷凍品が増加するものと思われる(図
5)。
◇図3:豚肉輸入量の推移◇
◇図4:豚肉供給量の推移◇
◇図5:豚肉の消費構成割合の推移◇


●●●平成14年の鶏肉需給動向●●●

 平成13年10月以降、BSE特需により、国産もも肉卸売価格(東京)が跳ね上
がり、14年9月までは前年同月を上回り、14年1月の700円台から1年を通して60
0円台を下回ることなく推移した。消費量も、14年9月までは前年を上回って推
移し、10月以降一昨年のBSEによる代替需要の異常な消費増に比べると、やや
下回るものの、例年を上回る水準で推移したため、国内生産量は、旺盛な需要
にささえられて前年を上回って推移した。原産地表示の徹底により、消費者の
国産鶏肉志向がますます進むのであれば、15年の国内生産の増も価格に影響し
ないと考えられる。鶏肉輸入量について見ると、昨年は、中国からの輸入が完
全には回復しないことと、米国からの衛生問題による輸入一時停止措置があっ
たにもかかわらず、一昨年を上回る水準で推移した。加工品の輸入量は昨年は
一昨年を大幅に上回り、21万トン強となり、輸入鶏肉製品の3割強を加工品が
占めたこととなった(図6)。
◇図6:鶏肉需給の推移◇


●●●平成14年のむね肉相場がかなり低水準●●●

 国産もも肉(東京)の卸売価格は、14年平均657円、国産むね肉(東京)は2
38円と価格差が419円まで広がった。むね肉が平成12年に次ぐ低価格であった
ことによる。むね肉は、14年初めの338円から下げ続き、12月に入ってようや
く反発をみせたものの、今年に入って、じりじりと下げ基調で推移している。
消費者は国産志向を強めているものの、もも肉に集中しており、むね肉はもも
肉の約3分の1の価格となっている。唐揚げや照焼きには、もも肉が適するよう
だが、むね肉のさっぱり感を利用した料理もたくさんあり、高齢化社会を迎え
ての、脂肪分の少ないむね肉を使ってのレシピの普及が課題である。

 むね肉を薄切りにして、しゃぶしゃぶにし、ポン酢で食べるなど、むね肉の
料理方法の多様化が望まれる(図7)。
◇図7:もも肉とむね肉の価格差◇


●●●若い世代を中心にカルシウム不足●●●

 厚生労働省が公表した「平成13年国民栄養調査結果の概要」(速報)による
と、日本人1人1日当たりのカルシウム摂取量は550ミリグラムで昨年より3ミリ
グラム増加、充足率(栄養素等摂取量/平均栄養所要量)も89%と1ポイント
増加したが、依然としてかなり大きく所要量を下回っている。

 一方、エネルギーはおおむね所要量を満たしており、カルシウム、鉄を除く
たんぱく質、ビタミン類等の栄養素の摂取量も所要量を上回っている(図8)。

 カルシウムの所要量と充足率を、年齢階級別に見ると、男女とも所要量が最
大となる10歳代後半から40歳代にかけて不足が目立ち、特に20歳代の男性では
充足率が67%、同じく20歳代の女性では73%と大きく不足している。男女とも
60歳代以上の方が充足している傾向にある(図9)。

 また、乳類の年齢階級別摂取量の対前年比では、すべての年齢層で前年度を
上回っており、特に40歳代の女性が91.7%、50歳代の男性が69.3%と大幅に増
加している(図10)。
◇図8:栄養素等の充足率(平均栄養所要量を100%とした場合)◇
◇図9:性・年齢階級別カルシウム所要量と充足率◇
◇図10:性・年齢階級別乳類摂取量対前年増加率◇


●●●鶏卵卸売価格、1月の平均価格としては過去12年の中で最安値●●●

 14年4月以降前年同月を上回って推移していた鶏卵の卸売価格が年を明けて
から低迷している。

 最近の鶏卵卸売価格(東京、M)を見ると、15年は史上2番目に安い初市価格
と言われた125円/Kgからスタートし、在庫の過剰感が薄れた1月中旬から値を
上げ始めている(図11)。しかし、順調に上伸しているものの前年に比べ値上
がり始めた時期が遅く、さらに回復ペースは緩やかであったため1月の月平均
卸売価格は、141円/Kg(▲9.0%)とかなりの程度低水準で推移した。1月の
平均卸売価格としては過去12年の中では最も安い価格となった。

 なお、1月の入荷量(東京)は、9,740トン(▲3.1%)と供給面から見たと
ころでは逆に値を上げていくような状況下ではあった。しかし、家計消費が14
年8月以降前年同月を下回っていること、年末需要期も終わり業務・加工向け
の大きな手当買いの需要もないことなどから末端消費の冷え込みが値下がりの
要因と思われる。
◇図11:鶏卵卸売価格の推移(東京・M)◇


●●●食の安全確保へ規制強化●●●

 「食の安全」を巡る問題を受けて、食品安全関連8法案が平成15年2月7日閣
議決定され、国会に提出された。閣議決定されたのは、食品安全委員会の設置
を柱とする食品安全基本法案の他7本。そのうち5本が農水省所管の法案である。

 5つの法案は次のとおりである。

1 農水省設置法改正案(食品の生産過程の安全性確保を明記、食糧庁の廃止
 に伴う局・部等の再編)

2 HACCP(危害分析重要管理点方式)法改正案

3 牛肉トレーサビリティー法案

4 食品安全基本法関連整備法案
 (肥料取締法、農薬取締法、薬事法、家畜伝染病予防法の改正)

5 飼料安全法改正案

 法律が成立すれば食品安全行政が大きく変わることが想定される。

 食の安全・安心には、消費者に食に関する情報を提供するとともに、食や農
に関する情報を消費者と共有し、食や農の大切さへの理解を深めることが、重
要なことと考える。

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