茨城県/企画情報部
独立行政法人農業技術研究機構・畜産草地研究所は平成14年度の問題別研究 会を12月5日、6日の2日間開催した。 今回の研究会の開催趣旨は、消費者を重視した農林水産政策への抜本的な改 革を目指して「食と農の再生プラン」が公表されたことを受けて、技術開発陣 営が果たすべき役割と技術的課題を明らかにし、「ブランド・ニッポン」畜産 物確立のための今後の研究開発方向を明確にするとして開催されたものである。 研究会のサブテーマは「安全・安心な畜産物の生産から消費までを考える」 として、話題提供も生産から消費にわたり豊富だった。参加者も広範囲で、農 水省、地方農政局、都道府県研究試験機関、行政関係、普及指導機関、大学、 法人、農協、民間企業等の関係者140名余りが熱心に意見を交換した。はじめ に畜産草地研究所の横内圀生所長が開会挨拶し、「食の安全と安心を確保する ための技術開発はわれわれに課せられた責務である。その技術開発の目的は高 品質、安全・安心等の消費者ニーズに沿った、日本ならではの特色を生かした 新鮮でおいしい「ブランド・ニッポン」畜産物を国民に提供することが究極の 目的である。この研究会を機に産官学が広く連携して技術開発が更に進展する ことを期待したい」と述べた。 次に畜産草地研究所、家畜生理栄養部の松本光人部長が問題別研究会での 「ブランド・ニッポン」畜産物を取り上げた経緯について説明した。食品総合 研究所の永田忠博流通安全部長は「食品の安全性確保と国際的動向」と題して、 世界的な食品の安全性確保への取り組みを報告した。つづいて、神戸大学の万 年英之氏が「牛肉の品種判別技術の開発」と題して黒毛和種とホルスタイン種 ・黒毛和種との交雑種(F1)とを識別できるDNAマーカーについての研究成果 を報告した。近年、牛肉の不当表示問題が顕在化し、交雑種牛肉が黒毛和種牛 肉として販売されている事実があり、不当表示を摘発する技術開発が早急に求 められており、万年氏は両種の特異的マーカーの検出を遺伝子30万本において 試み、品種識別バンドを20−30本得ることが出来たと報告した。畜産草地研究 所の落合研究官は「自給飼料資源を活用した畜産物の生産と今後の研究方向」 を報告した。大阪府立大学の植村興氏は「畜産物の生産段階における衛生管理 と食の安全性確保」、農林水産省消費技術センターの湯川剛一郎氏は「トレー サビリティシステム導入の背景と課題」、家畜改良センターの鈴木一男氏は 「牛のトレーサビリティシステム」、草地畜産研究所の千國幸一氏は「おいし い国産肉開発のための研究開発ーゲノム研究からのアプローチ」、京都生協の 福永晋介氏は「新産直鳥取牛(若齢牛)について」とそれぞれ報告があった。 詳細は畜産草地研究所ホームページ(http://nilgs.naro.affrc.go.jp/)参照。
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