兵庫県/出口 佳宏
近年、ハーブは生活の中でさまざまに利用されており、その有用な作用とし ては、食欲増進をはじめ、臭みを取り、香り付けの作用などが知られており、 特に最近では抗酸化作用、抗菌作用が注目されている。淡路農業技術センター では、ハーブを飼料として乳牛に給与し、ハーブの持つ有用な機能性を牛乳中 に移行させることができれば、健康食品として牛乳の消費促進につながると考 え、平成10年度より農林水産省のプロジェクト研究により、ハーブ牛乳の研究 に取り組んできた。 一口にハーブといっても、ペパーミント、レモングラス、オレガノ、クロー ブなど多種多様であり、牛たちが好んで食べる種類もあれば、嫌がる種類もあ る。また、飼料としての栽培特性、ハーブ牛乳そのものの味やのどごし、香り など、種々の試験を繰り返しながら、数あるハーブの中から有望ハーブを選定 するとともに、乳牛への給与方法、給与量、牛乳中への主要精油成分移行特性 などについて研究を行った。 この研究を機に、地元淡路島の洲本市酪農農業協同組合では、ハーブ牛乳の 製造に取り組みはじめ、2年の歳月を費やし、平成12年12月、日本で初めての ハーブ牛乳を販売するに至った。使用したハーブはペパーミントであり、完成 したハーブ牛乳はアロマテラピーをイメージし「心にやさしい牛乳」と名付け られた。また、風味を損なわないように低温殺菌処理されており、180ミリリ ットルパックにより島内の小売店をはじめ、大手デパートで販売されている。 洲本市酪農協での農家限定、個体集乳、専用貯乳、専用充填ラインなど、コス トを考えないハーブ牛乳製造への取り組みは、まさにこだわりのなせる業とい える。こういった熱意が認められ、「牛乳独特の臭いが抑えられ、今まで牛乳 が苦手だった人でもスムーズに飲める」と消費者から大変好評を得ている。 ハーブ牛乳の生産については、牛乳生産コストなどの問題は残っているが、 機能性およびパウダー化についての更なる研究が進められており、今後も健康 増進に役立つ機能性食品として成長していくことを期待しつつ、ハーブ牛乳の 安定的な生産推進を図っていきたい。
【センターで栽培試験を行って いるペパーミント】 |
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【洲本市酪農協で販売している ハーブ牛乳】 |