トピックス

●●●02年子牛市場価格の推移●●●

 当事業団の「月別肉用牛取引状況」(月報)によると、黒毛和種の子牛の取
引成立頭数が一番多い都道府県は、鹿児島県で79,977頭(雄雌合計)で(図1)、
市場別では1位鹿児島県・曽於郡中央市場21,939頭、2位宮城県・みやぎ総合家
畜市場19,952頭、3位宮崎県・都城地域家畜市場19,931頭であった。平均取引
価格が一番高い都道府県は岐阜県434千円(雄雌平均)で、市場別では1位兵庫
県・湯村家畜市場509千円、2位岐阜県・飛騨家畜流通センター438千円、3位岐
阜県・関家畜流通センター433千円、4位高知県・領北家畜市場426千円、5位兵
庫県・但馬家畜市場422千円である。

 BSE確認後、13年10月の黒毛和種の子牛の市場取引価格の全国平均は下落し
たが、その後全国ブランドの黒毛和種の生産地である兵庫県、岐阜県は、全国
に先駆けて価格が回復した(図2)。
◇図1:黒毛和種子牛取引成立頭数(2002年)◇
◇図2:黒毛和種肉用子牛平均取引価格(雄雌平均)◇


●●●15年度トリガー数量について●●●

 3月31日に財務省告示で、平成15年度第1四半期から第3四半期までの牛肉の
トリガー数量が公表された。

 これを見ると、今年度は生鮮・冷蔵牛肉、冷凍牛肉ともに各四半期ごとで14
年度のおおむね6、7割の輸入数量でトリガー数量に達する。

 最近における調査対象輸入商社の輸入数量と過去の総輸入数量(財務省「貿
易統計」)をもとに推測した3月の輸入見込数量を当てはめると、14年度の第4
四半期の冷蔵品の輸入数量は64,559トン、冷凍品は81,659トンと推計される。
この数字を基に15年度の第4四半期のトリガー数量を計算すると、冷蔵品で297
,414トン、冷凍品は326,439トンと見込まれる。14年度第4四半期のトリガー数
量と比べると15年度第4四半期は冷蔵品86.8%、冷凍品で88.5%になる。

 3月の輸入予測数量はいずれも大幅に前月を上回っているため、輸入商社のS
G回避に向けた取り組みを感じる。来月公表される3月の未通関数量が特に冷凍
品で、激減することも予想される。
 

●●●14年度平均豚肉卸売価格は、1キログラム当たり471円と高値(東京・省令)●●●

 最近の豚肉卸売価格(東京・省令)の動きを見ると、一昨年9月のBSE発生に
よる牛肉代替需要を境にこれまで季節的変動を繰り返していたパターンが大き
く乱れていることがわかる(図3)。13年10月以降堅調に推移し、産地表示問
題による国産志向もあって13年度は安定上位価格(480円/Kg)を上回る498円
/Kgとなった。14年度に入っても国産豚への需要は強く、14年度上期は安定上
位価格を上回って推移した。

 秋が近づき鍋もの需要が本格化する頃、BSE騒動も落ち着きを取り戻し、牛
肉の消費が徐々に回復するにつれ、代替需要の影響が少なくなり10月以降豚肉
の推定期末在庫がふくらんだ。1月中旬から2月初めにかけては、出荷頭数の増
加や消費の低迷等により安定基準価格(365円/Kg)を下回る日もあった。1月
の平均は、374円/Kgと大きく落ち込んだが、以後は安定価格帯内で推移して
いる。1年を通して見ると、上期が堅調であったため14年度の平均は471円/Kg
と前年に引き続き高値相場となった(図4)。

 4月第1週は在庫補充で値を上げたものの、第2週以降はと畜頭数が減少して
いるにもかかわらず弱含みとなった(図5)。15年4月1日以降は豚肉の関税緊急
措置が解除され、今後の輸入豚肉による国内相場への影響が気になるところで
ある。
◇図3:豚肉の卸売価格(東京・省令)◇
◇図4:豚肉卸売価格の推移(東京・省令)◇
◇図5:豚肉卸売価格の推移(東京・省令)◇


●●●国産鶏肉もも肉相場、さらに冷える●●●

 平成14年2月のもも肉卸売価格(東京)は1キログラム当たり690円(0.4%)
と昨年の同時期を若干上回るものの、下げ基調で推移し、3月は1キログラム当
たり644円(▲0.9%)と2月をさらに下回った。農家の出荷意欲は旺盛である
一方、この冬の厳しい寒さにより餌の食い込みが良く、1羽当たりの出荷重量
が増加しているため、出荷羽数に変動がなくても実質的に生産増となっている。
販売については、景気低迷により家計消費は金額、数量ともに昨年を下回って
おり、その下落傾向が年明け以降大きくなっている。このように需要と供給の
バランスが崩れつつあるため、堅調な値が続いた国産鶏肉のもも肉相場の下落
が懸念されている。

 一方、むね肉相場は、3月に入り安値を更新し、1キログラム当たり180円台
で推移している。190円台を割り込んだのは、1昨年の3月以来のことである。
鶏肉の需要期となる4月末のゴールデンウィークまでは国産鶏肉の相場は楽観
できない情勢である(図6)。
◇図6:国産鶏肉卸売価格の推移◇


●●●FTA(自由貿易協定)交渉、鶏肉も入るか?●●●

 協定した地域間あるいは国との間で関税の撤廃など通商上の障壁を除去して
自由な取り引きを行うためのFTAに関する交渉が鶏肉についてもタイと行われ
ている。わが国はWTOでの多角的な貿易交渉を重視していたため、FTAには消極
的であったが、昨年シンガポールとFTAを締結したことにより、他の国との交
渉も始まっている。現在の関税率は骨付きもも(冷蔵・冷凍)は8.5%、その
他のもの(冷蔵・冷凍)は11.9%となっている。タイにとっては、鶏肉の日本
向け輸出は農産物輸出の中でも重要な位置を占めており、わが国の輸入量も13
年度から中国を抜いて1位となっており、価格的には、人件費が日本の20分の1
ともいわれている中国よりは大幅に上回るもののFTA交渉による関税の撤廃に
より、わが国への輸出量の拡大をねらいたいところである。鶏肉輸入量は年々
増加してきており、国産鶏肉にとって、厳しい局面も予想される。


●●●14年度および15年度のブロイラー生産見通しについて●●●

 農林水産省生産局食肉鶏卵課は3月24日(月)に全国ブロイラー需給調整会
議を開催し、15年度出荷計画に基づく15年度の需給見通し等を報告した。需要
については、家計消費量および加工業務用ともに前年度を0.2%下回ることを
見込んでいる。供給においては、生産量が1.5%上回るものの、輸入量が7.4%
下回り全体としては、1.1%下回るとみている。しかし、この輸入量は調製品
を含んでおらず、調製品は年々増加しており、15年度も大幅に上回ると予想さ
れている。なお、3月6日に鳥インフルエンザ発生により、米国産鶏肉の輸入を
一時停止するなど、15年度も引き続き衛生問題での影響が出そうである。在庫
量は14年度をかなりの程度下回るものの、平年を上回る水準となる予想である。
BSE代替需要はなくなり、国産志向により高い国内生産が維持されているもの
の、国産鶏肉の値下がりが続いており、楽観をゆるさない情勢と関係者はみて
いる(表1)。

表1 15年度出荷計画に基づく15年度需給見通し(骨付きベース)

資料:全国ブロイラー需給調整会議資料


●●●14年度生乳ベースでの総供給量、約1,220万トン(見込み)●●●

 農林水産省生産局の「加工原料乳生産者補給金単価等算定説明資料」による
と、14年度の生乳ベースでの総供給量は1,220万トンと見込まれる。内訳は国
内生乳生産量約840万トン(約7割)、輸入乳製品(生乳ベース)約380万トン
(約3割)となっている。

 国内生乳生産量のうち飲用向けに約510万トン(約6割)、乳製品向けに約33
0万トン(約4割)が供給される見込みである(図7)。
◇図7:生乳の需給構造の概要(平成14年度見込み)◇


●●●脱脂粉乳、在庫量増への懸念●●●

 平成14年4月〜15年2月までの脱脂粉乳生産量は、16万1千トンと前年度に比
べ、1.2%の増となった。消費量は需要の低迷で落ち込んでいる。その結果、
平成15年2月末の在庫量は7万4千トン、前年同月比6.7%と、かなりの程度増加
している。

 脱脂粉乳の需要減は、次の要因が考えられる。

1 平成12年の大手乳業の食中毒事故を契機に、消費者の生乳嗜好が高まった
 ことにより、加工乳の需要が大きく減退するとともに、原材料として生乳使
 用の割合が高まっている。

2 加工乳にとどまらず、脱脂粉乳を使用してきたヨーグルトやその他の食材
 の原料が、生乳や脱脂濃縮乳等のフレッシュものにシフトしている。

 一方、生産量が減少しているバターは不足傾向にあり、在庫量も減少してい
る。

 15年度には、新たに脱脂粉乳の新規用途開拓としての事業が実施される予定
であり、その効果が期待される。
◇図8:脱脂粉乳生産量および推定期末在庫量の推移◇


●●●15年次鶏卵生産量見通しは、前年比0.5%増●●●

 農林水産省生産局食肉鶏卵課は、3月24日に全国鶏卵需給調整会議を開催、
最近の需給情勢や15年次の鶏卵生産見通し等が報告された。15年次の生産量は、
前年より0.5%増加の252万i6千トンになると見込んでいる(図9)。

 15年次における各月の鶏卵生産量を見ると、1月から5月まではほぼ前年同月並
みで推移し、6月以降はえ付け羽数の増加から前年同月をわずかに上回って推移
すると予測されている。年総計での生産量は、前年よりも1万4千トン増加するこ
ととなり、卸売価格の低迷が懸念される。

 併せて今後の計画生産のあり方について議論され、目指すべき鶏卵生産の構造
として・生産者の自主的需給管理・地域に根ざす中小規模経営の存立を掲げた。
新たな計画生産の骨子については「新たな計画生産検討委員会(仮称)」でまと
めることとし、「鶏卵の計画生産に係る当面の緊急措置」(鶏舎増設の凍結等)
については、次の全国鶏卵需給調整会議が予定されている15年9月までは継続さ
れることとなった。
◇図9:15年次鶏卵生産量の見込み◇


●●●4〜6月期配合飼料価格、引き下げ●●●

 全農は、海上運賃の上昇と為替相場が円高に向かう見通しにより、4〜6月期
配合飼料供給価格を全国全畜種総平均トン当たり約500円の値下げを決定した
(3/14)。専門農協系および商系もそれぞれ引き下げた。

<最近の原料コスト動向等>

@ とうもろこしのシカゴ相場は、米国では減産により期末在庫が減少するも
のの、中国は豊作のため輸出が活発であり、また、南米でも作柄が良好である
との見込みから、230セント/ブッシェル台で推移している。輸出を中心に需
給の低迷が続くものの農家売りが少なくなっていることから、価格は現行水準
での展開と予測している。

A 副原料の大豆かす価格は、シカゴ市場で大豆搾油量の減少、寒波による飼
料需要の増加により上昇してきている。魚粉価格は12月上旬に主産地ペルーが
禁漁になったことや中国の買い付け等から強含みに推移すると見込んでいる。
国内魚粉は需要が緩和してきており、やや弱含みに推移すると見込んでいる。

<補てんの実施>

 配合飼料価格安定制度による通常補てん金550円/トンが交付される。これ
により農家の実質負担金は、値下げ分500円と補てん金550円の計1,050円が農
家負担の軽減になるものの、1〜3月期の補てん額1,550円との差額500円となる。
この500円が農家の実質負担増となる。
◇図10:4〜6月期配合飼料価格値上げ◇


5月は「消費者月間」です

 経済社会のグローバル化、IT化の進展、ライフスタイルの多様化が進む一方、
消費者トラブルが複雑化・高度化し、その件数は年々増加しています。また、
近年の食品偽装表示事件等にみられるように、企業の不祥事が続発し、企業に
対する消費者の信頼は著しく低下しています。

 安全で安心な暮らしの実現のためには、消費者自らが良質な商品・サービス
を選択する確かな目を持つよう努力すること、事業者と消費者の信頼関係を回
復することが重要な課題となっており、それらを解決するための新たなルール
作りが必要です。

 平成15年度の消費者月間は、消費者一人ひとりが21世紀をどのように生活す
べきかを考えることを狙いとして、
「みんなで考えよう!くらしとルール」をテーマに、「消費者問題国民会議20
03」をはじめとした各種事業が行われます。

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