◎地域便り


大阪府 ●「食の安全・安心シンポジウム」
     が大阪で開催される

調査情報部


 平成15年9月25日(木)、大阪府立女性総合センターの7階ホールにて大阪府、
食の安全・安心大阪府民会議が主催する「食の安全・安心シンポジウム」が、
500名程の参加を得、開催された。

 シンポジウムは、主催者挨拶の後、ジャーナリストの平松由美氏が基調講演
し、次に大阪府内の食品団体、生産者団体、生協等による「食の安全への取組
宣言」が紹介され、最後にパネリストによるデイスカッションが行われた。

 主催者挨拶は、食の安全・安心大阪府民会議の会長で、食について関心の高
い中村桂子氏が行い、この府民会議の設立、活動状況、このシンポジウムの開
催経緯について説明され、命の大切さや食の重要性が訴えられた。

 基調講演では、平松由美氏が、「トレーサビリティを探して」と題して、ジ
ャーナリスト及び主婦の立場から、その言葉の意味、日本で導入された経緯、
小売店舗での事例報告、課題等について非常に分り易く講演した。

 次に、「食の安全の取組宣言」として、大阪府内の生産者団体、企業、生協
など10者からの具体的な食の安全対策の取組みの紹介があり、主催者側からは、
もっと多くの企業・法人が食の安全の取組宣言をしてほしい旨の要望があった。

 パネルディスカッションでは、農政ジャ−ナリストの中村靖彦氏をコーデイネ
ーターに、基調講演した平松氏、農林水産省消費・安全局長の中川坦氏、生産
者団体代表及び食品企業代表の計4人のパネラーによるデイスカッションが行わ
れた。ディスカッションに先立ち、アナライザーを使った会場の50名からのア
ンケートがその場で実施された。そのアンケートでは、@安心して買っている
か、Aトレーサビリティを知っているか、B食品の安全に対する企業の取組み
は十分か、C食品安全行政の取組みは十分か等の7つの質問がなされ、Cの回答
では、「十分」が0%、「十分でない」が77%、「どちらとも言えない」が23%
と、BSE発生以降、まだまだ行政への信頼感は回復していないという結果となっ
た。

 ディスカッションでは、これらアンケートの結果を踏まえて議論が展開され
た。まず、食品企業の代表者からは、その企業の非常に緻密な品質管理、トレ
ーサビリティの事例が紹介されるとともに、1)食品企業としては、トレーサビ
リティのために実施しているのでなく、品質管理のためにこれまで実施してき
た。2)加工食品は、製品原料を追跡しようとすると、逆鼠算のように非常に複
雑になっており、一次産品のようにはいかない。3)これに対応するためには、
個別企業だけの対応は無理であり、全ての企業が、自分の製品製造の範囲で、
トレーサビリティを実施していく必要がある。そのためには、行政が中心なっ
て積極的に推進していくべきである旨発言があった。

 生産者団体(JA堺)代表者からは、農薬と化学肥料の使用量を慣行農法の5
割以下にまで削減した農産物についての「大阪エコ農産物認証制度」の実践事
例が報告され、消費者の理解と協力を求めるとともに、減農薬・化学肥料の生
産技術がまだ確立しておらず、行政・研究機関へこの課題解決の期待が述べら
れた。

 消費・安全局長の中川氏からは、「食の安全・安心のための政策大綱」の説
明、これに伴う農林水産省の組織改変の報告と、今のアンケートを踏まえ、ま
だ組織がスタートしたばかりであり、今後努力して行きたい、また食育も必要
である旨の発言があった。また、平松氏からは、生産者、企業、行政の安全に
対する努力が消費者に伝わって来ない、もっと関係者は情報開示すべき旨の発
言があった。

 最後に中村氏から、ゼロ・リスクはないことは理解されてきたが、食の安全
・安心のためには、相互の信頼関係の再構築が必要である旨の発言があった。
食の安全・安心シンポジウム

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