表1．バターの用途別消費量（13年度推計）
酪農乳業部 乳製品課
主要乳製品の流通消費の実態は、需要者である食品製造業、食品小売業、フ ードサービス等の構造変化が著しいことも相まって不明な点が多い。このため、 （現）機構では、社団法人食品需給研究センターに委託し、これら乳製品の生 産流通消費の実態について調査を行った。このうち、主要乳製品であるバター、 脱脂粉乳について調査結果の概要を紹介することにしたい。
平成13年度における国内のバターの推定消費量を90,900トン（（現）機構 調べの推定出回り量）とし、その業種別および用途別の消費量推計を行った。 乳業メーカーのバターの推定供給量は90,900トンで、うち社内消費仕向け が19.0％、社外販売が81.0％となっている。社外販売量73,600トンのうち、 需要者に直接販売されるのは3,900トン（全体の4.3％）に過ぎず、一次卸売 が68,500トン（75.4％）を占める。なお、二次卸売を経由するのは23,30 0 トン（25.6％）となっている。一次卸とは主に大手乳業系列販社、乳製品卸、 大手食品卸である。 業種別消費量について見ると、「製菓・製パン」が26,200トン（全体の28 .9％）で最も多く、次いで「小売業」が23,300トン（25.6％）、「乳業（バ ターを生産している）」が17,300トン（19.0％）、「外食・ホテル」が8,6 00トン（9.5％）、「加工油脂」が4,100トン（4.5％）、「乳業（バターを 生産していない）・アイスクリーム」が3,400トン（3.7％）、「調理食品」 が3,200トン（3.5％）、「飲料メーカー」が1,900トン（2.1％）となって いる（図1）。 図1．バターの流通ルート（平成13年度推計）
次に、バターの推定消費量90,900トンの用途について見ると、「小売業」 が23,300トン（全体の25.6％）で最も多く、次いで「菓子・デザート類」が 15,400トン（16.9％）、「パン類」が13,100トン（14.4％）、「外食・ホ テル」が8,600トン（9.5％）、「乳飲料」が6,300トン（6.9％）、「マー ガリン類」が4,500トン（5.0％）、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が4,400トン （4.8％）、「アイスクリーム類」が3,500トン（3.9％）、「調理食品」が3 ,200トン（3.5％）、「乳等を主要原料とする食品」が2,400トン（2.6％） となっている（図2、表1）。
図2．バターの用途（平成13年度推計）
バターの業種別の用途内訳を表2に示した。
1 乳業メーカー バターを生産している乳業24社のうち、バターを社内で消費しているのは1 6社であった。主な用途は、「乳飲料」が30.7％で最も多く、次いで「はっ酵 乳」が14.4％、「乳等を主要原料とした食品」が14.1％、「アイスクリーム 類」が10.8％、以下「菓子類・デザート」7.0％、「加工乳」が6.9％、「マ ーガリン類」6.3％の順であった。なお、その他の用途が9.6％となっている が、その内訳はチーズ製品、クリーミングパウダー、コーヒークリーム等であ る。 2 アイスクリームメーカー 回答のあったアイスクリームメーカー10社のうち、バターを使用している のは7社であった。主な用途は「アイスクリーム」が多く、次いで「その他」 となっている。「その他」の内訳はフレッシュクリーム等となっている。 3 はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー 回答のあったはっ酵乳乳酸菌飲料メーカー15社のうち、バターを使用して いるのは4社であった。主な用途は、「はっ酵乳」「マーガリン」「菓子類」 「乳酸菌飲料」となっている。 4 加工油脂メーカー 回答のあった加工油脂メーカー10社のうち、バターを使用しているのは9社 であった。主な用途は「マーガリン類」「その他」で、それらの内訳はマーガ リン、ホイップクリーム等となっている。 5 製パン 回答のあった製パン業12社すべてでバターを使用していた。主な用途は「 パン類」（95.2％）となっており、食パン、バターロール等の練り込み用に 使用されている。 6 製菓 回答のあった製菓業45社のうち、バターを使用しているのは40社であった。 主な用途は「菓子類」が88.4％を占め、次いで「アイスクリーム類」となっ ている。「菓子類」の内訳はケーキ類、焼き菓子、パイ、クッキー、ビスケッ ト、サブレ、カステラ、キャンディ等となっている。 7 飲料 回答のあった飲料メーカー8社のうち、バターを使用しているのは2社であ った。用途は「その他」「飲料」で、それらの内訳は、乳飲料、缶スープとな っている。 8 調理食品 回答のあった調理食品メーカー14社のうち、バターを使用しているのは11 社であった。主な用途は「調理食品」で、内訳は、ホワイトソース、デミグラ スソース、コーンスープ、ミートソース、コロッケ、総菜等となっている。 9 外食産業 回答のあった外食産業25社のうち、バターを使用しているのは19社であっ た。主な用途は「パン類」「調理用」「菓子・デザート類」となっている。外 食では調理用からデザート、パン練り込み用、トースト用等と用途が広い。 10 ホテル 回答のあったホテル57社のうち、バターを使用しているのは55社であった。 主な用途は「調理用」が最も多く、次いで「菓子・デザート類」「パン用」と なっている。
表2．バターの業種別用途内訳
供給サイドから見たバターの今後の需要見通しは、やや増加と予測している。 クリームチーズの輸入減少の影響による代替需要増がまだみられるようである。 一方、需要者の今後の消費見通しはやや増加となっているものの、業種、企 業により差違がみられる。「増やす・やや増やす」の割合が比較的高いのはア イスクリーム、製菓、飲料、外食となっている。
平成13年度における国内の脱脂粉乳の推定消費量を170,500トン（（現） 機構調べの推定出回り量）とし、その業種別および用途別の消費量推計を行っ た。 脱脂粉乳の流通経路と業種別消費量（推計）を図3、表3に示した。乳業メ ーカー等の脱脂粉乳（（現）機構売渡しの輸入脱脂粉乳を含む）の推定供給量 は170,500トンで、うち乳業メーカーの社外販売が57.8％、社内消費仕向け が42.2％となっている。社外販売量98,600トンのうち、需要者に直接販売さ れるのは12,800トン（全体の7.5％）であり、一次卸売が85,800トン（50. 3％）となっている。また、二次卸売を経由するのは18,300トン（10.7％） となっている。一次卸売とは主に大手乳業系列販社、乳製品卸、大手食品卸で ある。
図3．脱脂粉乳の流通ルート（平成13年度推計）
表3．脱脂粉乳の業種別消費量（13年度推計）
業種別消費量について見ると、「乳業（脱脂粉乳を生産している）」が71, 900トン（全体の42.2％）で最も多く、次いで「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が2 5,800トン（15.1％）、「乳業（脱脂粉乳を生産していない）・アイスクリ ーム」が22,200トン（13.0％）、「製菓・製パン」が17,200トン（10.1％）、 「飲料メーカー」が12,000トン（7.0％）、「加工油脂」が8,800トン（5.2 ％）、「調理食品」が7,600トン（4.5％）となっている。 国産脱脂粉乳158,400トンの内訳は「乳業」が41.4％で、以下「はっ酵乳 ・乳酸菌飲料」が15.5％、「乳業・アイスクリーム」が13.0％、「製菓・製 パン」10.4％となっている。また、輸入脱脂粉乳12,100トンの内訳は「乳業」 が52.1％を占め、以下「乳業・アイスクリーム」が13.2％、「はっ酵乳・乳 酸菌飲料」が10.7％、「飲料メーカー」が9.1％となっている。
次に、脱脂粉乳の推定消費量170,500トンの用途について見ると、「はっ 酵乳・乳酸菌飲料」が58,000トン（全体の34.0％）で最も多く、次いで「乳 飲料」が32,900トン（19.3％）、「飲料」が14,500トン（8.5％）、「パ ン類」が10,400トン（6.1％）、「加工乳」が9,400トン（5.5％）、「菓子 ・デザート類」が7,700トン（4.5％）、「アイスクリーム類」が7,600トン （4.5％）、「マーガリン類」が4,600トン（2.7％）、「乳等を主要原料と する食品」が3,300トン（1.9％）となっている（図4）。 図4．脱脂粉乳の用途（平成13年度推計）
国産脱脂粉乳の内訳は「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が33.6％、「乳飲料」が2 0.1％、「飲料」が8.8％となっている。輸入脱脂粉乳の内訳は「はっ酵乳・ 乳酸菌飲料」39.7％、「アイスクリーム類」が20.7％、「乳飲料」が9.1％、 「乳等を主要原料とする食品」が9.1％となっている（表4）。
表4．脱脂粉乳の用途別消費量（13年度推計）
国産脱脂粉乳の業種別の用途内訳を表5に示した。
1 乳業メーカー 脱脂粉乳を生産している17社のうち、国産脱脂粉乳を社内消費しているの は15社であった。主な用途について見ると、「乳飲料」が38.9％で最も多く、 次いで「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が33.8％、「加工乳」が8.8％となっており、 この3つが主な用途となっている。なお、「その他」の用途は、クリーミング パウダー、加工食品等となっている。 2 アイスクリームメーカー 回答のあったアイスクリームメーカー10社のうち、8社が国産脱脂粉乳を使 用している。主な用途は「アイスクリーム類」が27.5％、「飲料」が72.4％ となっている。内訳はアイスクリーム、冷凍ケーキ、チョコレート、はっ酵乳、 飲料等となっている。 3 はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー 回答のあったはっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー15社すべてが国産脱脂粉乳を 使用している。主な用途は「はっ酵乳」が55.6％、「乳酸菌飲料」が36.9％ となっている。 4 加工油脂メーカー 回答のあった加工油脂メーカー12社のうち、10社が国産脱脂粉乳を使用し ている。主な用途は「マーガリン類」が89.9％、「その他」が8.9％となって いる。 5 製パン 回答のあった製パン業12社 のうち、10社が国産脱脂粉乳を使用している。 主な用途は「パン類」で練り混み用となっている。 6 製菓 回答のあった製菓業45社のうち、国産脱脂粉乳を使用しているのは21社で あった。主な用途は「アイスクリーム類」が62.8％、「菓子・デザート類」 が36.5％となっている。具体的な内訳はビスケット、クッキー、クラッカー、 チョコレート、食パン、アイスクリーム、カスタードクリーム等となっている。 7 飲料メーカー 回答のあった飲料メーカー8社、全社が国産脱脂粉乳を使用している。主な 用途は「飲料」である。具体的な用途は、缶コーヒー、缶入り乳飲料、清涼飲 料、紅茶飲料、缶入りスープ等となっている。 8 調理食品 回答のあった調理食品メーカー14社のうち、国産脱脂粉乳を使用している のは12社であった。主な用途は「調理食品」35.9％および「その他」45.4％ で、その内訳はコロッケ、ハンバーグ、グラタン等調理済み食品、ベビーフー ド等用途は幅広い。 表5．国産脱脂粉乳の業種別用途内訳
供給サイドから見た国産脱脂粉乳の今後の需要見通しは、やや減少と予測し ている。一方、需要者の今後の消費見通しは、おおむねやや増加と予想してい るものの、企業によって差異がみられる。特にはっ酵乳、飲料では堅調な見通 しとなっている。 供給サイドから見た輸入脱脂粉乳の今後の需要見通しは、回答企業により差 異があるがおおむね減少と予測している。一方、需要者の今後の消費見通しは、 おおむね横ばいと予想しているものの、企業によって差異がみられる。アイス クリーム、はっ酵乳、製パンではやや増加の見通しとなっている。
元のページに戻る
