★ 事業団から


平成14年度食肉消費構成実態調査の概要

食肉生産流通部


はじめに

 農畜産業振興事業団では、財団法人外食産業総合調査研究センターに委託
し、国民の食生活で大きなウエイトを占める外食産業の食肉需要動向を把握
するために、平成14年度「食肉消費構成実態調査」を実施した。


 この調査では、これまでの調査で協力が得られた外食企業、集団給食企業、
ホテル・旅館業、学校給食センター、病院給食施設、料理品小売業を中心に、
平成13年の食肉仕入状況を把握するためにアンケート調査票を5,000(飲食店
4,000、学校500、病院500)サンプル配布し、延べ回収数842(16.8%)、有
効回答数810(16.2%)を回収した。以下はその結果の概要をまとめたもので
ある。

回答サンプルの概要

回答サンプルの内訳

 回答が得られた810サンプルの業種構成は、中華料理・その他東洋料理店が
136店(うち焼肉店27店)、西洋料理店96店(うちステーキ店13店)、日本料
理店が87店(うちとんかつ店26、すきやき・しゃぶしゃぶ店9)、一般食堂78
店、そば・うどん店が57店、喫茶、お好み焼き店等が含まれるその他飲食店
が17店となっている。これにホテル・旅館48を加えると営業給食計では519店
であった(図1参照)。


 集団給食部門では、社員食堂が12、弁当給食(仕出し弁当を含む)が32、
学校給食が104、病院給食が66の計214店、料飲主体部門では、割烹・料亭が
13店、酒場・ビヤホールが38店の計51店舗、料理品小売業(持帰り弁当・惣
菜店、以下省略)が36店であった。


 なお、今年度の調査では日本料理店、西洋料理店、中華料理店・その他東
洋料理店を中心とした営業給食部門での回答数が大きく減少している。この
背景には、長引く消費不況の中で廃業する個人店舗が多かったこと、BSEの
影響から経営面での困難な状況が続き、今年度調査への協力の理解が得られ
なかったことが考えられる。
図1.回答サンプルの内訳

回答サンプルの営業概要

年間販売額と従業員数
  全体平均で見た1店舗当たりの従業員数は、平成10〜11年度調査(平成9、
10 年次)には19人以上であったが、年々小さくなり平成14年(同13年次)
には 12.4人であった(図2参照)。
図2.年間販売額と、従業員数の推移(学校・病院給食を除く)

 業種別には、弁当給食が77.7人、社員食堂が35.8人、ホテル・旅館は28.7
人と、やはり事業規模の大きな業種での従業員数が多く、その他の業種では、
病院給食が19.4人、学校給食が17.3人、日本料理店が13.7人、割烹・料亭が
12.2人、その他の業種はいずれも10人未満であった。


 1店舗当たり年間販売額は、平成10〜11年度調査(平成9、10年次状況)に
は1億5千万円を上回っていたが、従業員数と同様に年々小さくなり平成14年
度調査(同13年次)には1億1,271万円となっている。
 

 業種別では、ホテル・旅館が最も大きく(5億7,928万円)、次いで弁当給
食(4億8,837万円)、社員食堂(3億2,200万円)となっており、それ以外で
は、日本料理店が1億307万円と大きく、その他の業種はいずれも1億円と小
さいが、特に一般食堂(4,625万円)、そば・うどん店(4,057万円)、料理
品小売業(2,197万円)では5千万円以下であった。


客単価とメニュー数
 ライチタイムとディナータイムの客単価(利用者1人当たりの平均消費額)
を見ると、どちらもデフレ経済を反映し低下傾向が続いており、平成14年度
調査(同13年次)のランチタイム客単価は 1,101円、ディナータイム客単価
は2,743円となっている(図3参照)。
図3.客単価の推移

 業種別には、社員食堂、弁当給食、料理品小売業といった日常的な外食の場
として利用されることが多い業種の客単価(ランチ400〜600円、ディナー800
円以下)は低く、割烹・料亭、ホテル・旅館、西洋料理店、日本料理店等での
ディナー利用のような非日常的な利用では高い(3,500円以上)。


 また、調査対象が提供しているメニュー数(デザートを除き、シーズンメニ
ューを含み、学校給食、病院給食を含めた全体平均)は、平成10〜11年度調査
(平成9、同10年次)頃には150種類前後を品揃えしていたが、その後メニュー
の絞り込みが進み、13年度調査(12年次)には130種類、14年度調査(13年次)
になると123種類となっている。また、これらに含まれる食肉類を使用したメ
ニューを見ると、平成10年度調査(9年次)には61.7種類(全体に占める比率
43.3%)であったが、14年度調査(13年次)には39.8種類(同32.4%)となっ
ている(図4参照)。
図4.メニュー総数と食肉メニュー数の推移

食肉類の利用概要

食材率と食材に占める食肉類の比率

 平成14年度調査(13年次)における食材仕入額の比率である食材率は、32.
6%(前年度30.6%)、食材費に占める食肉類の比率は、BSEの発生による牛肉
仕入の減少から19.3%(前年度20.2%)に低下している。


 また、食材費に占める食肉加工品の比率は、全体平均で3.8%と、前年より
0.5ポイント高まった。

食肉類の仕入状況

 食肉の種類別に「仕入れた」と回答した店舗の比率を整理すると、平成10年
度調査(9年次)から12年度調査(11年次)にかけては、豚肉は一旦低下した
90%弱の水準を維持し、鶏肉は幾分低下傾向であったが、牛肉は仕入店舗比率
が高まった。その後、いずれも「仕入れた」店舗比率が下がり平成14年度調査
(13年次)にはBSEの関係から牛肉を仕入れた店舗が72.0%にまで下がっている
(図5参照)。
図5.食肉の種類別にみた「仕入れた」店舗比率の推移

  次に、店舗当たりの仕入量をみると、全体的に年間販売額の減少を反映し
て食肉類の仕入量も減少傾向を続け、平成10年度調査(9年次)には5,974キ
ログラムから14年度調査(13年次)には4,862キログラムとなっている。こ
れを種類別に見ると、牛肉の構成比は13年度調査まではウエイトを高め同年
度には34.6%となったが、14年度調査(13年次)には27.4%に落ち込んだ
(図6参照)。
図6.食肉の種類別に見た店舗当たり年間仕入量の推移

 また、牛肉、豚肉、鶏肉別に原産国別内訳を見ると、牛肉は国産32.2%(和
牛22.3%、乳用牛3.0%、交雑種3.4%、不明3.5%)、オーストラリア産30.3
%、アメリカ産27.4%で大勢を占め、アメリカ産よりもオーストラリア産のウ
エイトが高まっていることが最近の特徴といえる。なお、残りは輸入肉で原産
国不明7.8%、国産・輸入判別不明2.3%となっている(図7参照)。
図7.牛肉の原産国別内訳(%)

 豚肉は国産が最も多く63.1%、アメリカ産14.6%、デンマーク産5.2%、カ
ナダ産3.9%、輸入肉で原産国不明8.4%、国産・輸入判別不明4.7%となって
いる。このうち、輸入で原産国不明には輸入量が増加しているメキシコ産が含
まれているものと考えられる(図8参照)。
図8.豚肉の原産国別内訳(%)

 また、鶏肉も国産が52.2%を占め、ブラジル産15.1%、中国産7.7%、アメ
リカ産5.7%、タイ産4.8%、不明8.4%、国産・輸入判別不明6.1%であった
(図9参照)。
図9.鶏肉の原産国別内訳(%)

調理済食材の利用状況

 食肉類の調理済食材の使用状況は、豚肉での仕入店舗比率が高く、1食当た
り肉の使用量は60〜70グラム、1日平均の提供食数は社員食堂、学校給食、弁
当給食等の同一メニューを大量提供する業種での利用が多い関係から、いずれ
も100食以上の提供食数となっており、鶏肉調理食品では168.7食と多い(表
1参照)。

  平成13年の牛肉仕入量が、前年と比較し「増加した」か「減少した」かを国
産品と輸入品に分けて整理して見ると、国産牛肉については、全体平均では「
減少した」が45.0%とBSEの影響が深刻であったことを示す結果となった。 
輸入牛肉も、国産と同様に「減少した」が40.3%と「変化なし」(36.7 %)
を上回る結果となり、BSEの影響は輸入牛肉にも大きく影響したといえる。


  豚肉のうち国産豚肉は、「変化なし」が48.4%と最も高く、次いで「減少し
た」(22.0%)が「増加した」(20.7%)をわずか1.3ポイント上回る結果と
なり、輸入豚肉も「変化なし」が42.7%と最も高く、次いで「減少した」(2
1.8%)が「増加した」(18.8%)を3.0ポイント上回る結果となっている。


 鶏肉のうち国産鶏肉は、「変化なし」が53.3%と最も高く、次いで「増加し
た」(19.5%)が「減少した」(18.4%)をわずかに上回り、輸入鶏肉も「変
化なし」が42.3%と最も高く、次いで「増加した」(24.2%)が「減少した」
(15.4%)を上回る結果となった。

安全対策の取り組み状況

BSEへの対策の実施状況

 平成13年9月に、国内発のBSE感染牛が発見され、外食産業にも深刻な影響を
与えた。そこで、平成13年10月以降にその対策として、具体的にどのような取
り組みが行われたのかを本年度は調査した。その結果を見ると、「牛肉メニュ
ー中止、豚や鶏肉メニューを増やした」との回答が37.2%と最も多く、次いで
「食肉メニューを減らし魚介類メニューを増やした」(23.2%)、さらには
「牛肉使用禁止」したところも16.8%みられた(図10参照)。
図10.BSEへの対策の取組み内容(複数回答)(%)

食材全般の安全性対策の実施状況

 BSEを契機に、消費者の食の安全性への意識が高まってる中で、外食産業で
はどのような安全対策を講じているかについては、「添加物等の情報提出」を
求めるとの回答が35.4%、「生産履歴や流通経路の証明」の提出を求めている
が30.9%、「安全性証明」の提出を求めているが30.5%となっており、その他
には使用する食材に対する「品質基準の見直し強化」を行ったところが26.2%
みられた(図11参照)。
図11.食材の安全性確保の対策(複数回答)(%)

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