◎地域便り


奈良県 ●みて・ふれて・つくる 神野山こうのやま「めえめえ牧場」

奈良県/井久保 幸男


40頭のサフォークを放牧

 奈良県の北東端、大和高原と呼ばれる一角に美しい稜線を描く「神野山こうのやま」がある。この神野山は昭和50年に県立自然公園に指定され、つつじの名勝として知られている。園内には、総合案内所になっている森林科学館、特産の大和茶をテーマにした茶の里映山紅えいさんこう、キャンプ場、めえめえ牧場、羊毛館、木工館などの施設がある。駐車場から山頂までは徒歩約30分。山頂から広がる360度のパノラマは、村内はもとより遠くは伊賀の里を望むことができ、5月に入ると約8,000株ものつつじが咲き誇る。その中でも、特に親しまれているのが「めえめえ牧場」である。この牧場は、平成元年に完成し現在は約40頭の羊(サフォーク種)を放牧している。羊の導入のきっかけは、公園整備に伴う管理作業のうち特に園内の下草刈作業の省力化と痩せ山へのふん尿還元による地力の増強を狙ってのことである。羊の牧場は、周辺地域では珍しい施設であり、また奈良や大阪、京都からほど近く、入園無料であることから子ども連れの家族、保育園や小学校の遠足など、開園以来多くの方々が訪れている。放牧されている羊は人なつっこく、園内で販売されている「ひつじせんべい」をあげることができ、愛嬌たっぷりの姿は心を和ませてくれる。そして、この牧場に隣接する羊毛館では、牧場の羊の毛を使っての羊毛体験を気軽に行うことができる。体験コースは様々だが、短時間で行えるものとしてブローチ、ボンボン、モールの羊などがあり、時間のある方は、マフラーやフェルトの帽子などを作ってみよう。さらに糸紡ぎから織りまでをを体験したい方は、ホームスパン講習会に参加することができる。この講習会は、平成3年から地元の主婦を中心に発足した「山添紡ぎの会」が年2回実施しており、染色から糸紡ぎ、織りまでを個別指導してくれる。興味のある方はぜひ参加してみてはいかが。

 他にも木工館では、木工細工から椅子や机などの日用品まで作ることができ、園内にはキャンプ施設もあるので、のんびりと神野山で過ごせ、散策した後は映山紅でちょっと一息。喫茶サロンではお茶を使った料理を味わうことができる。大阪、名古屋方面から名阪国道を利用すればすぐ。新緑のシーズン一度足を運んでみては。

 
つつじの名勝「神野山」山頂
 
「山添紡ぎの会」の作品展示会

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