トピックス

●●●1月の牛肉輸入量、半減●●●

 財務省が2月25日に公表した貿易統計によると、1月の牛肉輸入量は、前年同月の約2分の1に当たる2万4千トンとなった。国別では、豪州産は2.7%増の2万1千トン、ニュージーランド産は前年同月の2倍に当たる2千トンとなった。

 米国でのBSE発生に伴い、平成15年12月24日から米国産牛肉の輸入が一時停止されたため、日本への牛肉輸出が可能な国は、BSEや口蹄疫などの家畜伝染病の関係により、事実上、豪州とニュージーランドに限られている。ただし、豪州では、(1)12月のクリスマス時期から年明けまでの間、閉鎖されると畜加工場が多いこと、(2)豪州からの牛肉輸入には、海路で2週間前後かかることから、豪州産牛肉の1月の輸入量は前年の同じ月に比べてわずかな増加にとどまった。

 一方、2月の牛肉輸入量は、農畜産業振興機構の推計では、約3万4千トンと前年同月の水準には達しないものの、豪州産の輸入量については、前年同月の約1.5倍に増加するものとみられている。



●●●米国産牛肉などの特定部位などの混入に関する中間報告●●●

 厚生労働省は3月9日、国内で流通する米国産牛肉等について、特定部位またはせき柱の混入に関する調査状況の中間報告を公表した。

 これによると、調査対象13万7千件(輸入届出件数)のうち、3月5日までに99%に当たる13万6千件の調査が終了した。このうち、1,084件(900トン)について、特定部位またはせき柱の混入のおそれがあることが指摘された。

 なお、これらについては、厚生労働省から既に検疫所および都道府県を通じて輸入業者に対し回収などの指示が出されている。具体的には、(1)特定部位である子牛の脳約40キログラムについては回収を、(2)せき柱混入のおそれのあるTボーンステーキ約66トン、スープ原料、牛脂および牛骨粉(1次加工品)約158トンおよびカプセルに入れられた食品等(2次加工品)約676トンについては販売を自粛するよう指導されている。


●●●10例目、11例目のBSE感染牛を確認●●●

 厚生労働省は2月22日、神奈川県でのBSEに関するスクリーニング検査で陽性となった牛について、「牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議」の委員による検討の結果、BSEであると判断されたことを明らかにした。国内で10例目となるBSE感染牛は、7才11カ月(95カ月齢)のホルスタイン種の雌牛である。

 また、農林水産省は3月9日、北海道での死亡牛のスクリーニング検査で陽性となった牛について、同日開催された「プリオン病小委員会」において、BSEであると判断されたことを公表した。感染牛は7才10カ月(94カ月齢)のホルスタイン種の雌牛である。死亡牛検査でBSE感染が確認されたのは国内で初めて、国内のBSE感染としては11例目となる。死亡牛に対するBSE検査は、15年4月から24カ月齢以上のものを対象に実施されている。BSEの発生件数の多いEUでは、食用に供する健康な牛の検査に比べて、死亡牛の検査でBSEが確認される確率が高いことが知られている。

 なお、牛肉、内臓などBSE感染牛に由来するものは、市場に流通することはない。



●●●日・メキシコFTA、大筋合意●●●

 日本、メキシコ両国政府は3月12日、日メキシコ経済連携協定(いわゆる自由貿易協定(FTA))に関して大筋で合意した。日本にとって、FTAの締結は2002年のシンガポールに続き2カ国目となる。ただし、農産品や鉱工業品を含めた包括的なFTAの締結は、初めてのこと。FTAに関しては、今後、韓国のほかタイ、マレーシア、フィリピンなど東南アジア諸国との交渉に焦点が移ることとなる。

 日・メキシコFTAの主な農産品に関する合意内容は下の表4のとおり。


●●●1月の豚肉家計消費量、前年同月を7%上回る●●●

 総務省統計局が発表した1月の家計調査によると、全国1世帯当たりの食料品に対する支出額は71,239円(1世帯当たりの平均家族3.19人)となった。

 そのうち肉類の購入費は5,780円となり、食費全体の8.1%となった。  肉類の1人当たりの消費量をみると、牛肉が165g(▲13.3%)、豚肉が435g(7.1%)、鶏肉が266g(▲6.4%)となり、前年同月に比べ豚肉の消費量がかなりの程度上回った。

 これは、米国でのBSEや国内外の鳥インフルエンザの発生により、牛肉、鶏肉の購買意欲が抑えられたことによるとみられている。2月に当機構が行った「食品についてのアンケート調査」においても、それぞれの家畜伝染病発生による食用頻度の変化は、牛肉、鶏肉とも全体の20%程度の人が「食べるのを控えた」と答えている。

 このことから、米国産牛肉の輸入停止などにより、豚肉への代替需要から消費が伸びているものと思われる。


図1 食肉の家計消費量(1人当たり)
資料:家計調査報告

●●●国内外での鳥インフルエンザの発生●●●

 わが国での高病原性鳥インフルエンザ発生と現在までの措置状況は表6のとおり。  発生農場周辺で死亡したカラスからH5N1型鳥インフルエンザウイルスが検出されたが、具体的な感染経路は未だに解明されていない。3月4日に農林水産省で開催された鳥イフルエンザに関する全国担当者会議の中でも「全国一斉消毒」の呼びかけがあったように、新たな発生を防ぐためにも、養鶏農場では、鶏舎周辺の消毒、鶏舎出入り口での靴底消毒などの日常の衛生管理の徹底を図りたい。

 消毒を実施する場合は、対象物(農場全体、鶏舎の床、壁、ケージ、飲水器、飼槽などの施設、鶏体、飲水など)にあった種類の消毒薬を選び、汚れをよく洗浄してから効果的な濃度で実施し、踏み込み槽を設置するなどして、ウイルスに汚染したふんなどを養鶏場内に持ち込まないようにすることが大切である。また、野鳥が鶏舎に侵入しないよう鶏舎にネットを張るなどの工夫も必要となっている。


海外での状況

 2月上旬以降の米国のデラウエア州をはじめ、ニュージャージー州、ペンジルバニア州で弱毒タイプの高病原性鳥インフルエンザが発生し、また、2月23日にはテキサス州において強毒タイプの高病原性インフルエンザが確認されたため、鶏肉などの輸入停止措置が講じられている。更に海外でのインフルエンザ発生は続いており、カナダのブリティッシュ・コロンビア州についても輸入停止措置が講じられている。

 一方で、タイについては、日本側が提案した加熱処理家きん肉などの家畜衛生条件が受け入れられ、2月20日に輸入再開が発表され、現地調査を行った結果、27日に該当する4施設が、輸出可能な施設として指定された。その後、3月4日に10施設、8日に8施設について追加指定があり、現在、合計22施設について指定が行われている。



●●●脱脂粉乳の利用に新たな途
        〜脱脂粉乳を利用した機能性味噌を開発〜●●●

 脱脂粉乳を原料として利用することで栄養健康機能を増進させた新しいタイプの味噌が宮崎大学や当機構などを中心とするグループにより開発された。

 このニュータイプの機能性味噌では、醸造工程で脱脂粉乳が分解、発酵されるため、通常の味噌と比べて、アミノ酸含量が多い。このほか、カルシウム含量は3倍、高血圧予防効果が期待できるアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性は4倍と、高い栄養価と新たな機能性が付与されている。

 味についても、クリーミーな風合いを持つこの味噌は、官能試験で肯定的な結果が得られており、本年早々にも商品化が予定されている。

 脱脂粉乳は、製菓、製パンのほか、加工乳や乳飲料の原料など多方面で利用される。しかし、近年、生乳100%使用の牛乳の消費が増加する中で、脱脂粉乳を使用した加工乳の消費は大幅に減少している。この結果、脱脂粉乳の在庫量が増加しており、牛乳・乳製品の国内の需給バランスを考える上で大きな問題となっている。

 既存の用途、仕向け先を侵すことなく、機能性味噌という全く新しい用途が切り開かれたことは、脱脂粉乳の消費拡大を図る上で大きな意味を持つ。

 ちなみに、味噌の年間生産量は約53万トンである。原料としては、輸入物が中心の大豆16万トン、米9万トン、麦2万トンが使用されている。この一部でも脱脂粉乳に置き換えることができれば、脱脂粉乳の新たな仕向け先が作り出されることになるとして期待が寄せられている。


図2 加工乳生産量と脱脂粉乳の期末在庫量
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」ほか
 注:15年度の生産量は16年1月までの累計、在庫量は16年1月末現在

●●●牛乳の種類別表示、4月1日から変更●●●

 牛乳の種類別表示が4月1日から変更される。主な変更点は、以下のとおり。

 今回の変更は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)が平成15年6月25日に一部改正され、平成16年4月1日から施行されることに伴うもの。ただし、6月30日までに製造、加工されたもの、または輸入された牛乳は改正前の表示にすることができる。このため、しばらくの間、改正前と改正後の表示の牛乳が共に販売される可能性がある。


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