平成13年10月、鳥取砂丘に全国初の新しい名物「砂たまご」が誕生した。この砂たまご、製造段階で砂丘の砂を使うユニークな製法で特許を出願している。この製造方法、砂丘の砂に因州和紙で包んだ卵を埋め、250℃の高温で30分程加熱する。遠赤外線効果により、水分が程よく抜け、ゆで卵に比べ味が濃厚で芋や栗のようなホクホクとした食感が特徴となっている。
「砂たまご」の誕生は、生みの親である小谷博文氏(農業:67歳)が地元福部村の鳥取砂丘を活性化したい、との強い願いから試行錯誤を重ねた結果生まれたものだ。今まで、大規模で景色を眺める以外に活用されていなかった砂丘の砂を食品加工に使うなんて、なかなか一般常識では思いつかない発想だ。
平成14年9月、一年間にわたる市場調査を経て、お客様に提供できる商品化への段階に入ったものの地域の事業者は冷やかだった。将来が約束されない新しい商品に誰も事業化を引受けてくれる者はなかった。"このままだとせっかくの商品も立ち消えてしまう"との危機感を持った小谷社長は自分で企業化することを決意。ビジネスプランを作り、地元を活性化したいと願う仲間6人(平均年齢68歳の高齢者集団)を集め、300万円の出資で有限会社ふくべむら特産品本舗を設立。地産地消に徹し、原料は、隣町の鳥取県岩美町で昔ながらの平飼い養鶏場を経営する(株)イブキが「昔たまご」(当社キャッチコピー:ミネラルたっぷり、健康満点な有精卵、味が違う、質が違う)というブランド名の鶏卵を仕入れている。販売先は、砂丘地区のお土産店と、観光客の玄関口となるJR鳥取駅のキヨスク、鳥取空港売店の地域限定販売だ。
「砂たまご」のアイディアから、わずか1年足らずの素早い動きに、多くの企業家が驚いた。加工方法も必要設備も暗中模索の手探りの状態で会社設立にこぎつけた情熱は地域社会における高齢者パワーのすごさを感じる。
現在、創業から3年目を迎え、雇用6名(パート)、無借金経営、年間2,000万円の市場規模とコミュニティビジネスの成功例として地域に根付きつつある。
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『砂たまご』
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鳥取砂丘の売店風景
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