◎地域便り


青森県 ●青森県産地鶏のブランド化確立を目指して

青森県/西藤 克己


1.青森県産地鶏「シャモロック」とは

 
  青森県産地鶏「シャモロック」左雄、右雌


 青森県が開発した地鶏であり、雄鶏「横斑シャモ」と雌鶏「速羽性横斑プリマスロック」の一代雑種である。特定JAS規格においては、地鶏の血液百分率が50%以上のものを「地鶏」と定義しているが、「シャモロック」の地鶏の血液百分率は75%となり、JAS規格基準をクリアしている。肉質はシャモの「筋束が鮮明でキメが細かく保水性が高い」という特徴と、横斑プリマスロックの味が濃く、ダシが出て、肉がおいしいという特徴を兼ね備えている。味が濃く保水性が高いので、ダシが出るとともに、焼いたり、煮たりした肉そのものがおいしい。従って煮込み、焼き肉、焼き鳥、焙り焼き、唐揚げ、炒め物など和・洋・中華風のどんな料理にも適している。

2.青森県産地鶏「シャモロック」の譲渡羽数と産地

 県では、1992年から農家などに譲渡を開始し、2004年度の譲渡羽数は約2万羽になる見込みである。主要産地は県内の十和田湖町、六戸町、五戸町、名川町、田子町、弘前市などで、各地域で2〜8戸からなる生産組合が作られ、年によって変動があるが1地域につき年間600〜4,000羽が生産されている。新しい動きとして、本年7月、月間1,000羽の出荷を目指す農事組合法人が立ち上げられた。供給先は、ラーメン店、そば屋などの飲食店、食肉卸売会社、食鳥処理業者、スーパー、観光ホテル、駅弁製造および地域物産加工業者、宮内庁御料牧場など多岐にわたっている。

3.需要拡大のキャンペーン

 
 
駅弁会社での試食会


 本年6月、大手スーパーの首都圏店舗で試食販売が行われた。もも肉100グラム当たり販売価格は400円と高価であったが、「おいしい」、「思ったより軟らかい」などの評価を得て完売した。その他、食肉卸売業者、駅弁会社などでも高い評価を得て、その結果、本年9月11日に八戸駅、青森駅、弘前駅で「シャモロック」を使った「駅長弁当」が新発売され、旅行客に好評を博している。

 需要が伸びていることから、県は県産品販売促進事業「攻めの農林水産業」の一環として、「シャモロック」の生産拡大と販売ルートの確立を図ることとした。当面の生産出荷目標を年間十万羽に設定し、ひな、種鶏の供給体制を強化するほかに、生産者向けの飼養管理マニュアルを統一、品質をそろえることとした。加工面では消費動向に合わせた新たな加工品の開発を検討し、流通・販売面では、統一したPRの推進やマーケティングリサーチの実施などで、県内外での知名度アップを目指すことにしている。

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