関東農政局 千葉農政事務所/玉川進司
牛肉トレーサビリティ法完全施行 「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」(通称牛肉トレーサビリティ法)が昨年12月の「生産段階」に続き、いよいよ本年12月1日から「流通段階」がスタートする。 これで牛肉トレーサビリティ法は完全施行となることから、本稿では、牛肉のトレーサビリティにおいて牛の個体識別データと食肉となった時の表示データを照合するシステムの調査現場を紹介する。 個体識別番号表示の信頼性を確保するための取り組み と畜場において、枝肉から照合用サンプルを採取しておく。一方、小売店などから一定の割合で採取した調査サンプルと照合用サンプルの間でDNA鑑定の照合を行い、伝達されている個体識別番号の信頼性を確保することとしている。 法施行後は調査サンプルを全国で1〜2万件採取する予定である。 1)スーパーからのサンプル採取の実際 まずはじめに調査は山ほど並んだ商品から個体識別番号やロット番号を控えることから始める。 ラベルに印字されているものは、かなり文字が小さく、長い番号を正確に読取るために、一つ一つのパックとにらめっこ状態になり、買い物客の邪魔にならないよう気を使う。 2)採取可能な個体識別番号決定 控えた番号はすぐさま電話で農政事務所の担当者に連絡し、担当者は個体識別番号(ロット表示は個体識別番号調査後)を(独)家畜改良センター(国が個体識別台帳管理を委託)にアクセスし、その番号の内容を確認するとともに、枝肉からの照合用サンプルを採取してあるものか、既に採取したものではないかなどのチェックを行い採取できる個体識別番号を決定する。 3)調査サンプルの採取(買い取り) 担当者に照会後、40〜50分すると採取可能な個体識別番号の連絡があるが実際に採取出来るのは連絡した3分の1程度あればいい方である。 また、連絡を受けて再度売場に行ってみると、採取可能な商品が既に販売されて無かったりと散々な場合もある。 専門店への周知 10月時点では、法の施行前ということもあり一部の大手スーパーなどは個体識別番号の表示を行っていたが、ほとんどの専門店では表示されていなかった。 現在は専門店への周知のかいあってか、個体識別番号の表示店舗が増え、専門店からのサンプル採取も始まっている。 最後に 今後、この業務により消費者に国産牛肉を安心して食べてもらい、国産牛肉の消費量が増え、畜産振興にも好影響をもたらすことを期待したい。
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