◎地域便り


愛媛県 ●耕畜連携で稲わらの確保

愛媛県/佐竹 康明


 愛媛県東宇和郡宇和町は、畜産も盛んであるが2,000haの水田を有する水稲主体の地域である。そんな水田地帯の一角で、比較的小規模ながらも稲わらの収集に取り組んでいる営農集団がある。

 名称は、「宇和町稲作飼料生産組合」。所轄農協担当者の積極的な仲介により隣町の肉牛肥育農家が稲わらの供給や堆肥の販売先を求めたことをきっかけに、稲作農家3戸(当初)が平成13年度に設立した。設立当初から3年間、国産粗飼料増産緊急対策事業の助成を受けて契約する肉牛肥育農家へ稲わらを供給している。

 今年度までの稲わらの収集量は、平成13年度が収集面積5haで約29t、平成14年度が15haで約80t、平成15年度が20haで約95tであり、肉牛肥育農家の需要量の増加に伴い徐々に増加する傾向にある。

 稲わらは、同組合が所有する収穫梱包機械(ヘイベーラ)2台を用いて、稲作終了後の8月から翌年1月頃まで、天候と時間の合間を見ながら収集・梱包し、保管場所へ持ち込む。

ヘイベーラーを使った稲わら梱包

 契約する肉牛肥育農家7戸は2町にまたがり、車で片道約30分をかけて保管場所から稲わらを持ち帰る。家畜への給与は、3月頃まで続き、嗜好性も良好である。利用農家の評判は、外国産稲わらの入荷が不安定な時期も重なったため、嗜好性のよい国産稲わらが計画どおり購入できるので「好評」である。ただし、契約する肉牛肥育農家のほとんどが比較的大経営規模であるため、数量の確保や運搬労力の軽減という課題も残っている。

 また、稲作農家は、肉牛肥育農家の需要量も増加しているため収集面積を拡大したいと考えているが、収集労力の軽減と保管場所の確保等、耕畜双方で解決しなければならない問題もまだまだ抱えている。

 一方、畜産農家の堆肥は、組合構成員の1農家が3〜4haの水田に利用し、土づくりと化成肥料の減肥等、また、小規模ながらも稲わらと堆肥の資源循環を実践している。

 この組合は、現在1戸の新たな稲作農家を加えて4戸となり助成事業が終了しても稲作農家と畜産農家の連携のもと、引き続き飼料用の稲わら収集に取り組んで行きたいと言っている。また、効率的な収集作業が可能な機械の導入や保管場所の確保等、肉牛肥育農家と話合う場を持ちながら、これらの課題解決に取り組み、国産稲わらの供給を実践していくこととしている。



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