トピックス

●●●米国でのBSE発生に伴い、米国産牛肉等の輸入を停止●●●

 米国ワシントン州においてホルスタイン種の牛1頭が牛海綿状脳症(BSE)に感染している疑いがあるとの米国政府の発表を受けて、日本政府は12月24日、米国産牛肉等の輸入を停止した。対象品目は、米国からの牛、めん羊・山羊およびそれら動物由来の肉製品等(肉、臓器およびそれらを原料とした加工品等)である(米国でのBSE発生後の経緯については、「今月の話題」を参照)。

 日本の牛肉消費量(14年度推定出回り量)のうち、輸入物は約6割を占め、米国産だけでも消費量全体の4分の1以上を占めている。

 一方、牛肉輸出量の多い上位10カ国のうち、米国以外で日本へ牛肉を輸出できる可能性のある国をみると、BSEや口蹄疫などの家畜疾病の関係から豪州、ニュージーランドの2カ国のみとなっている。

図1 牛肉消費量の内訳(平成14年度)
注1:数量は部分肉ベース
注2:輸入品の国別推定出回り量は輸入シェアから推計したもの

表1 世界の牛肉主要輸出国(2002年)

資料:米国農務省「World Markets and Trade」
注1:数量は部分肉ベース
注2:■は日本への輸出可能国


●●●輸入牛肉の卸売価格が高騰●●●

 米国でのBSE発生に伴い、国内の輸入牛肉の卸売価格が高騰している。農畜産業振興機構が大手卸売業者を対象に調査した1月5日から9日の仲間相場を見ると、主に牛丼などの業務用に使われる米国産冷凍ショートプレートは、キロ当たり963円(安値)から1,120円(高値)となった。安値と高値の単純平均について、米国のBSE発生前の昨年12月第3週と比較すると、約66.3%の大幅な上昇となっている。

 一方、BSE未発生国の豪州産をみると、冷蔵フルセット(グラスフェッド:牧草肥育)は59.7%上昇したものの、ハンバーガーなどの加工用に使われる冷凍カウミート(CL85:赤身率85%)は14.5%の上昇にとどまった。

 なお、農林水産省は、米国産牛肉の一時輸入停止に伴う牛肉などの価格動向について、機構の卸売価格調査および農林水産省の小売価格の緊急調査などの情報提供を行い、不当な便乗値上げなどの防止を図っていくこととしている。

※注:機構が公表した卸売価格のうち、1月5日から9日の価格は、取引が極めて限定的であることから、通常の相場とは異なるものとしてみる必要がある。

図2 輸入牛肉の大手卸売業者の仲間相場

注1:大手卸売業者を対象に調査した当該週の主要取引の安値と高値の単純平均
注2:消費税を含まない


●●●豚肉の国内卸売価格回復する●●●

 11月中旬、豚肉卸売価格は、15年度安定基準価格の365円を下回る340円台にまで落ち込んだが、当機構による調整保管(市場等による買上げ保管)が実施された11月25日以降、本格的な冬の到来とともに需要も増え始め、省令価格は、12月に入ると400円台にまで回復した。

 さらに、12月末、年末年始の休暇日数が、通常より長かったこと、米国でのBSE発生報道等により、市場では、通常にない強い引き合いが殺到し相場は、600円台にまで高騰したまま年越しとなった。

 新年初週の省令価格は、515円となったが、今後の出荷予測頭数は、1月1,369千頭(▲2%)、2月1,281千頭(▲1%)とわずかに下回ると見込まれていることから、価格は落ち着きを取り戻すと推察される。

 一方、8月以降国産品の価格低迷が続いたことなどにより、年末需要期にもかかわらず11月の輸入量は、50,498トンと前年同月を22.1%と大幅に下回った。

図3 豚肉の卸売価格の推移(10月〜直近)

資料:農水省「食肉流通統計」、東京食肉市場 注:直近値は速報値である。


●●●79年ぶり国内で高病原性鳥インフルエンザが発生●●●

 平成15年12月には、隣国である韓国で鳥インフルエンザが確認され、輸入停止措置がとられたところであるが、農林水産省は、1月12日、山口県内の採卵鶏農場で高病原性鳥インフルエンザが発生したと発表した。

 これまで、香港、中国、米国、ドイツ、韓国等世界各地で発生しているが、日本では、1925年以来発生は確認されていなかった。

 この防疫措置として、発生農場への立入制限、卵の出荷自粛、鶏舎の消毒等が既に実施されており、また、発生農場を中心とした半径30km以内の区域での家きん、病原体を広げるおそれのある物品等を対象とし、移動の制限等の措置をとることとしている。

 なお、鶏卵、鶏肉を食べることにより、インフルエンザウイルスが人に感染することは世界的にも報告されていない。


●●●鶏肉輸入量の動向●●●

 海外での鳥インフルエンザの発生が最近の鶏肉輸入に大きな影響を与えている。

 平成12年度まで輸入量のシェアが第1位であった中国は、平成13年6月以降鳥インフルエンザが頻発し、一部地域に輸入停止措置がとられるなど輸入量が抑制されたため、平成14年度は前年の約7割程度に止まっており、さらに平成15年度に入ってもブラジルに輸出量の首位を譲っている。

 しかしながら、中国は、焼き鳥、唐揚げなど味付けや調理方法を日本のニーズに合わせた鶏肉調製品の輸入量を毎年大幅に増やしており、14年度実績は141.9千トンとなった。なお、14年度の鶏肉と鶏肉調製品を合計した輸入量は715.3千トンとなっている。

 また、輸入量のシェアは少ないものの骨付き冷凍品を主体とした米国産も平成13年11月に発生した家きんぺストの影響で輸入停止措置がとられたため、平成14年度は49.6千トンと前年より3割程度減少している。

 このことにより、鶏肉の輸入先は、中国、米国に変わって、タイ、ブラジルが台頭してきている。また、鶏肉の輸入量は、ここ1、2年は減少傾向となる一方、鶏肉調製品が増加している。

図4 鶏肉の国別輸入量の推移

資料:財務省「貿易統計」

図5 鶏肉調製品の国別輸入量の推移

資料:財務省「貿易統計」

図6 鶏肉類(鶏肉+鶏肉調製品)の輸入量の推移
 

●●●調査から見た白もの牛乳類の飲用量の増減●●●

 (社)全国牛乳普及協会が15年12月に公表した調査結果(全国の13歳以上6千人を対象)によると、この1年間の白もの牛乳類(普通の牛乳のほか低脂肪乳、カルシウムなどを加えた機能強化牛乳を含む)の飲用量について、全体の14.6%が「飲む量が増えた」と答えた。「変わらない」と回答した人は、64.8%、「飲む量が減った」は9.2%、「もともと飲まない」は9.8%となっている。

 性別・年齢別にみると、男女とも若い世代ほど「飲む量が増えた」と答えた人が多くなる傾向にある。特に男子中学生では、35.5%が「飲む量が増えた」と回答している。

 飲む量が増えた理由としては、「カルシウムをとるため」、「健康に良いと思って」などの栄養・健康に関する項目が上位を占めている。

 一方、過去の同様な調査との比較では、「飲む量が増えた」と回答した人の割合は、2000年調査と比較して4.9ポイント、97年調査からは14.6ポイント減少している。

図7 白もの牛乳類の飲用量の増減について

資料:(社)全国牛乳普及協会「2003牛乳・乳製品の消費動向に関する調査」


●●●「日本鶏卵生産者協会」設立される●●●

 鶏卵の自給率は、96%(食料自給率は40%:カロリーベース)、国民1人当たりの鶏卵の供給量は16.8kg(280個)となった。(14年度概算)

 鶏卵は、安価で調理しやすく、良質なタンパク質を豊富に含んだ食品であるが、養鶏産業は、近年の卸売価格の下落など厳しい状況に置かれている。このような中、疾病対策や従来、行政が主導となっていた「計画生産」を生産者が主体的判断によって行う生産への移行など大きな課題を克服するため(社)日本養鶏協会の傘下に「日本鶏卵生産者協会」が設立される。

 「日本鶏卵生産者協会」は、経営規模の大小にかかわらず鶏卵生産者に参加を呼びかけており今後の消費の維持・拡大等に取り組んでいく意向である。

 一方、国は、生産者の経営診断の参考となる鶏卵需給に関する状況分析と動向予測を行うため「生産ガイドラインの作成」の基となる調査が行う予定である。


●●●1〜3月期配合飼料価格、引き上げ●●●

 全農は12月19日、1〜3月期の配合飼料供給価格を全国全畜種総平均トン当たり約1,800円値上げすることを公表した。この値上げは、トウモロコシや大豆油かす、海上運賃が前期に比べ値上がりすると見込まれていることなどによるものである。特に価格が顕著に上昇している大豆油かすの配合割合が高い鶏・豚用飼料を中心に、平均値上げ額を上回る改定になるとしている。

 全農の動きに追随し、専門農協系および商系もそれぞれほぼ同額の引き上げを公表している。

<最近の原料コスト動向等>

(1)とうもろこしのシカゴ相場は、米国産トウモロコシの史上最高の豊作が確定したものの、旺盛な内需と堅調な輸出により、総需要量が史上最高水準にあることに加えて、中国産トウモロコシの輸出規制に関する懸念から、引き続き強含みの相場展開が続くと予想されている。

(2)副原料の大豆かす価格は、8月以降、米国産地での悪天候(高温・乾燥)により新穀大豆生産量の大幅減との見通しから、シカゴ市場では7年ぶりの高値相場となっている。

(3)海上運賃は、中国向け鉄鋼原料の荷動きが継続して拡大している中で、新造船竣工量が少ないことから、船腹需要がひっ迫している。加えて、中国の大豆輸入数量の増加見通しなどにより、船腹需要がさらにひっ迫することが予想されている。

<補てんの実施>

 配合飼料価格安定制度による通常補てん金1,650円/トンが交付される。

図8 副原料の輸入価格(CIF)

資料:財務省「貿易統計」

 


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