はじめに
平成15年12月10日、コンテチーズ(1)生産者委員会(2)(Comite
Interprofessionnel du Comte)の広報担当オーレリア・シミエ嬢が日本のチーズ市場調査のために来日した。平成16年4月から3年間にわたって行われるイタリアとフランスの特産品のプロモーションに先駆けての事前調査とのことであった。今回のプロモーションでは、「パルミジャーノ・レジャーノ」、生ハムで名高い「パルマハム」、そしてフランスのPDO(3)チーズのうちで一番生産量の多い「コンテチーズ」に重点を置きたいということであった。
そこで日本のチーズ市場をいくつか案内したところ、フランスに帰国してから日本のチーズ市場の印象を便りで知らせてきた。以下、本人の承諾を得たのでその概要を紹介する。
注: |
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(1)コンテチーズ
フランスのジュラ地域で作られるチーズ。風味が良く加熱するととろけることで有名な山のチーズの代表。牛の品種:モンベリアルド種
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(2)コンテチーズ生産者委員会
Comite Interprofessional de Comte
ア 2つの役割
(1) コンテチーズの産地ジュラ地方は収入を得るには難しい山岳地帯で、生産者が永続的に安心してチーズ生産で生活できるように、この地域の保護と地域開発に貢献することにより経済活動を支援すること
(2) 周囲の環境条件を整備することや伝統的な製法を継承するといった、ジュラ地方独自の文化を継承すること
イ 組織の概要
1963年6月11日の法令により設立され、「広報委員会」、「情報委員会」、「経済的委員会」、「技術的委員会」4委員会より構成されている。これら4委員会は他組織の委員会メンバーが自由に参加できるシステムである。
(3)PDO :1992年に欧州連合で地域の伝統的な産品の品質が原産地の土地柄に起因する場合に、その土地の原産であることを特定する表示を認める地理的表示(GI:Geographical
Indications)制度が確立。その中の1つとしてPDO(Protect Designation of Origin:原産地呼称保護、フランス語ではAOP:Appellationdorigine
Proregee)制度がある。限られた地理的領域において、その土地の風土を生かし、伝統的手法で生産、加工、仕上げの全てが行われるという厳密な基準をクリアした食品にのみ適応される。
終わりに
4月22日、23日に「3つの熟成ヨーロッパ」というタイトルで、東京と大阪でパルミジャーノ・レジャーノ協会、パルマハム協会とコンテ・チーズ生産者協会、欧州連合、フランス、イタリア両政府によるプローモーションが行われた。そのときに来日した方々が異口同音に述べていたことは、日本文化に対する興味を持つフランス人が現在とても多いということであった。特に「寿司」「刺し身」「すきやき」「焼き鳥」といった日本の伝統食がはやっているらしい。今回来日したオーレリア・シミエ嬢も日本の食文化を堪能したという。チーズのプロフェッショナルからお褒めいただいた日本のチーズがフランス市場に出回る日が待ち遠しい。
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