北海道/城石 賢一
現在、アメリカでのBSE発生や鳥インフルエンザの発生など、消費者の食品に対する安全への意識は高まり、提供する生産者、製造者、販売者にもこれまで以上の信頼が求められている。 特に「日本の食料基地」と呼ばれる北海道十勝の生産・加工物に対する消費者の期待は質・量ともに大きく、基幹産業である農畜産物に支えられ発展した十勝は、今以上に安心・安全な食料を消費地に提供していく使命がある。そのような中、平成11年、(財)十勝圏振興機構により「十勝ブランド検討委員会」(委員長:三上正幸帯広畜産大学教授)が発足し、生産者、加工業者、消費者そして学識経験者で構成される委員会で「十勝ブランド」について検討が始まった。良質で個性的な生産物ばかりでなく、良質で個性的な十勝の生活文化や環境景観を含めた「十勝ブランド」の価値を確立していくための調査・研究、そして実現に向けての流通・管理・宣伝などの方策を検討してきたところである。 約5年余り検討を重ね、第一弾としてナチュラルチーズのブランド認証基準を策定してきた。その基準は(1)十勝産の生乳を使用している。(安心)、(2)北海道立十勝圏地域食品加工技術センターがHACCPの考え方をチーズの製法に取り入れて策定した「衛生管理マニュアル」に基づいて製造記録、清掃記録、商品カルテなどが整備されている。(安全)、(3)官能評価を受けて基準をクリアしている。(美味しい)などが柱となっており、今注目されている食品のトレーサビリティを既に導入している。 策定当初は基準をクリアできるチーズ工房が少なかったが、北海道立十勝圏地域食品加工技術センター研究員の熱心な指導や工房間での研修を重ね、品質的にもすばらしいものであるとともに各チーズ工房の個性をアピールできるものとなった。そして、平成16年3月に第1回の認証委員会が開催され、モデル事業として5工房13品目のナチュラルチーズが認証されたところである。 今後は、市場調査や物産展などでのPR、さらには9月に日本で初めて開催される世界ラリー選手権大会(会場:十勝地方)でのPRなどを行いながら今後予定している豆腐や納豆などのブランド作りを検討していきたいと考えている。 さまざまなリスクや困難を伴う十勝ブランドですが、日本の食料基地としての使命を果たしていくためにも「安心・安全・美味しい」十勝ブランドを国内外に向けて積極的にアピールしていき、日本を代表するブランドにしていきたい。
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