九州農政局生産経営流通部では、このたび稲発酵粗飼料(WCS=ホール・クロップ・サイレージ)について、九州各地での取組事例を分析した冊子「九州における稲発酵粗飼料生産利用の推進方策」を取りまとめ、九州各県および関係指導機関に配布した。当冊子は、九州各県担当者、学識経験者などで構成する九州地域飼料増産研究会が検討・作成した。冊子の取りまとめ方法は、各県の御協力を頂き、普及した25事例と普及しなかった16事例を収集し、「普及した要因」、「普及しなかった要因」をそれぞれ分析し、推進方策として取りまとめた。
各事例より抽出した要因を簡単に紹介すると、「普及した要因」として多く挙がったのは、(1)「補助事業による後押し」であった。このほか、(2)「関係機関・団体の熱心な普及推進」、「展示ほの設置、研修会開催、試験栽培」などの普及推進活動を行なったこと、(3)「自給飼料や稲わら確保の意識の定着」、「畜産農家が自給飼料生産に意欲的」、「集落営農で耕畜連携の意識が高い」などの農家の意識が高かったこと、(4)「ロールベーラ、ベールラッパの収穫調製機械化体系」が整備されていたこと、(5)「既存の水田や施設・機械がそのまま使える」、「栽培技術が食用米と同様」などで取組みやすかったこと、(6)「ブロックローテーション、集団転作で新たな転作作物として位置付け」、(7)「土地集積・団地化で効率化」、(8)「コントラクター利用で大幅な労力軽減」などが普及の大きな要因として挙げられた。
一方、「普及しなかった要因」として多く挙がったのは、(1)「収穫調製機械体系が整備されていなかった」であり、機械化体系の整備が稲発酵粗飼料の普及に必要不可欠である言える。このほか、(2)「他の飼料作物の方が栄養収量が高く、作業体系が組みやすい」、「すでに転作作物が確立」などあえて取組む必要性がなかったこと、(3)「少数派の畜産農家は大豆の作付けを余儀なくされている」、「個人的な取組みは現地確認作業などが煩雑化」など畜産農家が取り組みたくても取り組めなかったこと、(4)「雑草の繁茂が激しい」、「期待した収量が確保出来ない」、「通常の飼料作物と比較し栽培が難しく面倒」などの技術的課題により農家の納得を得られなかったことなどであった。
これらの要因などを取りまとめた推進方策、事例については、より一層の普及推進に活用して頂くため、九州農政局ホームページに掲載している。
九州農政局ホームページ:「農業政策関係」:「畜産の振興」
http://www.kyushu.maff.go.jp/seiryuu/chikusan/chikusan_top.htm
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