◎地域便り


兵庫県 ●酪農におけるコーヒー皮の敷き料
       およびたい肥副資材としての利用

兵庫県/高田 修、篠倉 和己



 「コーヒー皮が酪農分野で使えないか」と、コーヒー製造工場より話が持ち込まれた。コーヒー豆を焙煎する過程で、皮が粉状に剥がれてくるそうである。多くの工場は、これの処理に困っており、産業廃棄物として処理業者に処理を委託しているようである。大きな工場では、燃料などに加工するための施設を設置し、有効利用している所もあるらしい。

 コーヒー皮は、形状が粉状でよく乾燥しており、吸水性も良いので、乳牛のふん尿処理に適した材質だと思われた。牛舎の中では、牛のベッド(牛床という)上に敷き料が必要で、多くはオガクズを利用している。また、ふんをたい肥化処理するに当たって、水分調整材が必要である。乳牛のふんは含水分が85%以上と高いため、ふんを良好に発酵させるためには、水分を70%以下に調整するとともに発酵を促進させるもの(副資材という)が必要であるが、適当な副資材が無く、苦慮しているのが現状である。

 そこで、牛床の敷き料やたい肥の副資材としての利用試験に取り組み、以下のような良好な成績が得られた。

1.20gのコーヒー皮とオガクズの保水量を比較した。オガクズの保水量は100mlであったが、コーヒー皮は120mlであり、コーヒー皮の方が保水性に優れていた。

2.子牛育成室で、コーヒー皮とオガクズを50%ずつ混合したものを約10cmの厚さで床に敷き、オガクズのみの場合と比較した。餌場の床上30cmの部位で2〜4日目にアンモニア濃度を測定した結果、コーヒー皮を使用した区の方がアンモニア濃度が低かった。

3.たい肥発酵試験では、副資材にコーヒー皮を用いた区の方がオガクズを用いた区よりも発酵温度や有機物消失率が高く、発酵促進効果が高かった。

4.以上から、コーヒー皮は敷き料やたい肥副資材に適していると思われた。使用上の注意点としては、コーヒー皮のみで使用した場合は、粉じんの発生や、ふんが部分的に小さな団子状にかたまるなど、物理性に問題がみられたが、オガクズとの混合使用でほぼ解決できた。

 この結果を得て、現在、酪農家において実証試験に取り組み、普及性を検討している。

 
コーヒー皮
 
たい肥発酵ハウス



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