◎地域便り


千葉県 ●FOODEX JAPAN 2004(国際食品・飲料展)

調査情報部


地場産業を集めた自治体ブース
 2004年アジア最大級の国際食品・飲料の展示会が3月9日〜12日の4日間、千葉市の幕張メッセで開催され、熱気で盛り上がる最終日に訪れる機会を得たのでその様子を報告する。

 今年のメインテーマは「"食"の楽しさ新発見−世界から日本から−」と銘打って、世界74の国と地域、国内外2466団体の参加で行われていた。入場と同時に、聞き慣れない外国の言葉が飛び交う喧噪と会場案内図の海外ゾーン占有面積の大きさ(全体の6割を占める)から、まさに現在の日本の食料供給実態を会場全体に映し出しているかのようであった。

 来場者、出展者のほとんどが、国を超えての直接交流と新規商品、新規販路確立のための商談の機会を得るためにやってきているため、商品を見る人々の目は真剣であった。

国内ゾーン

 現在、相次いで発生しているBSEや鳥インフルエンザを背景に畜産物に注目が集まっているようで、自治体の鮮やかなロゴを掲げたブースや地場産業を集めた市や町単位での共同ブース内では、ジャージー牛乳、ナチュラルチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、ハム、プリン、カステラ、温泉卵などの試食・販売の新製品が目についた。

 出展ブースの看板には、「国産」「天然素材」「安全・安心」「自然」といったキーワードが目立ち、中でも、前述の2つの伝染病発生のために需要が伸びている豚肉の消費拡大に向け、新たな豚肉加工品、中食向け新メニュー、新製品としての豚丼、トンカツ、豚の唐揚げなどが目新しかった。

集中展示のコーナー

 また、今年の集中展示の1つである「惣菜・中食コーナー」では、最近の女性の社会進出率の高まりから、手際よく炊事をこなすための惣菜材料や中食食材の紹介、半加工食品の生産の伸び、市場の成長背景、社会構造の変化、商品開発、売り場開発などの展示パネルを見ることができた。

 「健康食品のコーナー」では、より体に良いものを提供・消費する傾向を背景に「特定保健用食品」「機能性食品」であるカスピ海ヨーグルト、お茶、にんじんジュースなどが紹介されていた。

 さらに興味を深かった出展は、現在、政策的にも取り組まれている食品の表示問題を取り上げた(財)食品流通構造改善機構の出展ブースで、主婦に扮した女性とオペレーターが賞味期限、品質保持期限、JAS表示、トレーサビリティーなどの解説を、来場者を巻き込んだ賑やかなクイズ形式で行っており、知識を広めることに力を置いた展示であった。

海外ゾーン

骨付きハムはディスプレイ・
試食にも効果的(スペインブース)
 
豚肉の売り込みに熱心な中南米ブース
 
米国ブースの黒豚の展示・販売

 全会場の6割を占める海外ゾーンでは、中国、タイ、韓国などの東・東南アジアの活気あるブースやイタリアブースの大きさが目立った。

 ヨーロッパのブースでは、フランス、ベルギーなどの国旗に色を合わせた美しいブース作りと、骨付きハムとワインのディスプレイが目を引き、ブースの内部では試食販売とともに、熱心な商談が行われていた。

 国内ゾーンと同様に、日本とのFTA交渉のまっ最中であったメキシコをはじめとした北・南米のブースも、豚肉の売り込みが多いように思われた。各ブースとも見やすい場所に大きなTVモニターを設置し、自国の食肉の安全性と品質の高さをアピールするため、広大な草地で健やかに育つ母子豚やゆとりある農夫の作業映像が繰り返し放映されており、各国の豚肉の衛生的で良質なイメージを発信していた。

 特に、BSE渦中でもある米国のブースには、USMEF(米国食肉輸出連合会)が米国産牛肉の検査体制を詳細に説明したパネルをかなりの広さで展示しており、来場者に米国産牛肉の安全性をPRしていたのが印象的であった。

 入場者数は4日間の合計で10万人を上回る大盛況であった。

 これからの食品の輸入生産・流通・消費の動向を探る上でも大変参考となる展示会であった。

(次回の開催は、2005年3月8日(火)〜11(金)の予定)


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