◎地域便り


広島県 ●ヤギ草刈り隊 〜庄原実業高等学校ボランティア活動〜

広島県/坂上 紀子


 
  ヤギは草刈りのじゃまになるツタ類も好んで食べる
 
 
  飼料代もかからず、休耕田もきれいになるので一石二鳥


 農地の管理に苦労している高齢者農家を支援しようと、広島県立庄原実業校高等学校(梶原督三校長)の生徒が「ヤギ草刈り隊」をつくり、学校で飼っているヤギを農地の除草に貸し出している。同校では、乳や肉の加工も含め、ヤギの多角的活用に取り組んでおり、中山間地域の田畑の保全や地場産品開発などの可能性を探っている。

 小柄で扱いやすいうえ、青草のみで飼育できるヤギに着目。今春から学校で飼育されている15頭のヤギを対象に、一日から数週間の期間で無償貸し出しを始めた。ヤギは身軽で斜面にも入り込むため草刈りの労力軽減につながる。また、青草のなかでも草刈りで特に機械に絡まり、じゃまになるツタ類も好んでたべることから大変有効である。青草を食べることで、飼料代もかからないので、飼う側と利用する側双方にとってまさに一石二鳥の取り組みだ。

 「ヤギ草刈り隊」は、部員15人で構成。これまでに依頼のあった市内の農家にヤギと一緒に赴き、ヤギをロープにつないで休耕田や草地に放し草を食べさせ、隊員達が仕上げの作業を草刈り機で行ってきた。「高齢で草刈り機を使うのが大変なので助かる」、「きれいになるのでありがたい」などと利用者にも好評である。

 隊長の生物生産学科2年生加藤康博君(17)は「ヤギの利用価値が見直されるきっかけになれば」と意気込んでいる。

 また、8頭がメスで、うち5頭が乳用種の「日本ザーネン種」。現在、2頭から搾乳でき、一日当たり搾乳量は3リットル。搾乳機も導入して本格的な搾乳に備えている。ヨーグルトなど乳製品の開発に取り組む予定だ。


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