鳥取県/畜産試験場 酪農・飼料研究室
鳥取県畜産試験場に平成17年3月に新築された牛舎は、自動搾乳システム(搾乳ロボット)と自動除ふん装置(バーンスクレーパー)を整備した「近未来型牛舎」であり、酪農家を中心に各関係機関や一般消費者からも注目を集めている。
搾乳ロボットはスウェーデン製で、バーンスクレーパーも同国製のものを整備している。搾乳牛は20頭の一群管理体制(フリーストール)で、給餌方式はTMRおよびフィードステーションを採用している。現在は低濃度TMRを調製し連動スタンチョンで自由採食させ、個体ごとの乳量に応じた濃厚飼料をフィードステーションで供給しているが、今後の研究課題の一つとして、TMRの濃度水準を調整してデータをとり、最適な飼養管理方式を探ることとしている。 バーンスクレーパーは1日に6回タイマーで稼働し、バーンクリーナーへ落とし込まれたふん尿はパイプを通じて別棟のたい肥舎へ自動搬送されており、除ふん作業の省力化も図られている。 搾乳ロボット導入当初は、機械による牛の事故や乳房炎の多発、繁殖成績への影響などが心配されたが、現段階では牛体に関する事故は無く、体細胞数も1ミリリットル当り10万個程度で推移している。繁殖性については、つなぎ飼いの頃と比較して発情兆候が明瞭になり、種付け状況は大幅に改善された。 今回整備した近未来型酪農牛舎は、システム導入希望農家に対する実証展示施設としても大きな役割を担っており、ロボットが稼働を始めてからは県内外の酪農家や各関係機関が視察研修で来場している。 酪農家の立場としてはシステムの導入経費と年間の必要経費が採算に合うかどうかが最も気になる部分だが、パーラー方式と違い、搾乳頭数の上限が60頭までであり、償還期間の延長につながるところに若干の不安を感じているようである。 また、6月20日には一般消費者47名が、生涯学習の一環として酪農と肉用牛の基本と現状について勉強するため、試験場を訪れた。一般消費者から見た搾乳ロボットは非常に衛生的で、また、牛が自らの意志で搾乳されることに対して大きな関心を寄せていた。一般消費者は、「安心・安全な畜産物」を農家に生産してもらいたいと強く考えているため、衛生的かつストレスの少ない自由意志でのロボット搾乳は好印象だったようで、農家への普及を望む声も聞かれた勉強会であった。
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