(有)塚原牧場は茨城県猿島郡境町で「梅山豚(メイシャントン)」肉と加工品の販売を行っている。
梅山豚は、日中友好のプレゼントとして「パンダ」に続いて中国から贈られた豚で、世界一の多産系豚として遺伝資源的に大変重要な豚である。日本では、原種豚は約100頭と見られており、うち80頭を塚原牧場が保有している。
平成元年に塚原弘会長が中国から民間ベースで♂2頭 ♀10頭の輸入に成功した。当時は「21世紀の地球を救う豚」としてNHKの番組に取り上げられ各方面で試験飼育が開始された。現在でも梅山豚DNAの中の多産遺伝子を特定し生産効率の向上に活用する研究が(独)畜産草地研究所で行われている。また、平成14年から(独)家畜改良センターより梅山豚を導入し独自系統との交配から近親計数をコントロールし現在の種豚数を維持している。
肉豚生産用は、梅山雌豚60頭にデュロックを止め雄としてMD(Mは梅山豚♀、Dはデュロック♂のF1)を生産し、年間出荷頭数は約800頭である。種豚育種用は、20頭の梅山豚系統豚による交配を行い年間50頭の梅山育成豚を生産している。育成されなかった年間150頭の梅山豚原種豚は肉豚として特別販売されている。
出荷生体重は110キログラム、日齢240日が平均的な姿であり、生産効率は極めて悪い。
飼料は、関係会社(株)ACT21が製造している独自飼料を給与している。特徴は、食品副産物原料で植物性成分100%であり、飼料中に抗生物質・抗菌剤・駆虫剤などの添加は一切無い。コーンと大豆かすを給与しないため肉質は極めてあっさりしており、香りも良く霜降りが非常に多い最高級豚肉として有名料理人からの引き合いが多く生産過小気味である。
離乳後は、離乳舎を経ておがくず子豚舎、最終仕上げは林間放牧という方式で、ストレスなくじっくり育てるのが特徴である。
と畜は市営と畜場で行い、枝肉カット段階で自社社員立ち会いのもとで独自格付が行われ、(1)一般家庭(2)百貨店などの小売(3)料理店(4)加工用に分別される。
販売はすべて独自で行い、(1)一般家庭向販売は「梅山豚倶楽部」という会員制販売で全国に600名、(2)小売りは有名百貨店に期間限定・数量限定の形態で直接卸の方式で、(3)料理店は和洋中その他のバランスを取りながら内臓肉や骨まで直接販売、(4)加工品は自社に調理師を抱え独自開発したレシピにて委託製造を行い、百貨店から通販まで幅広く販売を行っている。
以上、飼料の製造−梅山豚の生産−梅山豚肉と加工品の開発販売と幅広い分野を自社で行い付加価値を高めているのが特徴である。
今後は、農業の株式会社化という規制緩和の流れの中で日本的な農業の近代化を目指した組織に改組し、規模拡大と付加価値の追求を継続的に行っていく方針である。
日本に100頭の梅山豚種豚♀
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林間放牧牧場
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