◎地域便り


宮崎県 ●粗飼料をしっかり食い込んだ子牛づくり

宮崎県/黒木 邦彦


 宮崎県の南西部に位置する北諸県地域は、都城市を中心に三股町・山之口町・高城町・山田町・高崎町の1市5町で構成されており、繁殖牛28,000頭を擁し、年間約22,000頭の子牛がセリ市に上場されている。

 当地域では、平成13年からJA都城が中心となり、濃厚飼料を制限し、乾草をしっかり食い込んだ子牛を揃えようと、「粗飼料多給運動」に取り組んでおり、県内外の購買者から導入直後の飼料の食い込みが良いと好評を得ている。

 この取り組みでは、子牛のフレーム(骨格)づくりと過肥を避けることに重点が置かれており、繁殖農家は子牛セリ上場1週間前までに、給与した飼料(粗飼料・濃厚飼料など)の名前や数量を記録した書類をJA担当者に提出するとともに、子牛セリ当日は、技術員(JA、普及センター)により、ボディーコンディション(栄養度)のチェックと、胸囲・腹囲の測定が行われる。これらの結果から、一定基準を満たしたものだけが「マニュアル子牛」に認定され、額章を付けてセリに上場される。合格率は、平成14年から16年の平均で53.4%となっており、厳しい選定が行われている。

 また、認定されなかった牛についても「マニュアル子牛参加牛」と明記された黄色い荷札を付けてセリに上場される。

 このような厳しい選定基準をパスした子牛の市場価格は、平成16年の成績では、雌が60万5千円、去勢で51万6千円と、同市場の平均と比較して雌で17万3千円、去勢で3万3千円高値で取引されている。

 また、マニュアル子牛の肥育成績は、マニュアル子牛の枝肉成績(H14年1月〜H15年12月子牛セリ市出荷分)と宮崎県経済連取扱枝肉成績(H16年4月〜H17年3月枝肉出荷分)とを比較した場合、それぞれ枝肉重量で444.7キログラムと412.7キログラム、ロース芯面積で56.9平方センチメートルと53.1平方センチメートル、BMS(脂肪交雑)で5.2と4.7という結果となっており、マニュアル子牛が良好な肥育成績を示している。

 このように、JA都城が主導して始まった地域全体の取り組みは、子牛生産農家、肥育農家ともに大きなメリットを生み、今後も着実に広がるものと期待されている。
※その他詳しい選定条件

 1給与する粗飼料と濃厚飼料を計量し、飼養管理基準表に沿って飼養管理した子牛    
  ○セリ市出荷前の粗飼料摂食量
   ・乾草(イタリアン、オーツヘイ、稲ワラ)
     雌:3.5キログラム/日 以上
    去勢:4.0キログラム/日 以上
   ・ロールラップサイレージ(イタリアン)
     雌:6.0キログラム/日 以上  
    去勢:7.0キログラム/日 以上
 2セリ市初日で、300日齢未満とする。
 3ボディーコンディション(栄養度)は、「6」以下のものとする。
 4セリ市当日に、胸囲・腹囲などを測定し、一定基準を満たした子牛


セリ当日、ボディーコンディション、
胸囲、腹囲をチェックする

乾草をしっかり食い込み
体格も腹も基準を満たした印

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