◎地域便り


栃木県 ●牛削蹄師の熟練した技を競う全国大会の開催

社団法人 日本装蹄師会


 10月18日(月)、栃木県西那須野町にある、ホウライ株式会社の千本松牧場を会場に、農林水産祭参加行事である第47回全国牛削蹄競技大会が開催された。

 主催は、牛削蹄師や装蹄師の認定、装削蹄の普及などを行っている(社)日本装蹄師会で、千本松牧場では、今回がちょうど10回目の開催であった。

 当日は、開会式の後、9時30分から競技が開始された。参加選手は、8月から9月にかけて、5地区(北海道、東北、関東・甲信越、中国・四国、九州)で開催された予選大会を勝ち抜いてきた24名の認定牛削蹄師たちである。年齢は、26〜47歳、平均36歳である。

 競技は、2種目あり、最初は、牛2頭を用いて、各々の牛に最も適した削蹄方針を判断する能力を競う、牛削蹄判断競技が行われた。この種目は、全員が同じ牛の立ち方、歩き方や蹄をみて、1頭当たり30分以内に、判断事項を用紙に記述するものである。牛は偶蹄であるので、内蹄と外蹄の削蹄バランスに注意しなくてはならない。

 次いで、肢を保定する枠場や道具を用いずに削蹄を行い、その仕上がり状態の良否を競う、1人1頭の牛を用いた、牛削蹄競技が行われた。この種目の制限時間は40分であるが、途中でやめるわけにもいかないので、時間を超過しても最後まで作業を完成させなければならない。ただし、時間超過は減点となる。牛は、日頃から肢を上げる習慣が無いので、肢を上手に保定することが作業の大きなポイントになる。

 審査は、6名の審査委員が当たり(委員長東京大学小川教授)、成績は翌日に発表された。総合成績の優勝者、北海道牛削蹄師会の阿部さん(45)には農林水産省農林水産大臣賞が、第2位、同じく北海道牛削蹄師会の久津間さん(33)には農林水産省生産局長賞が授与された。なお、種目別競技では、牛削蹄判断競技で久津間さんが、牛削蹄競技では、阿部さんがそれぞれ優勝した。

 また、この大会では、競技のほかに、(1)前回総合成績最優秀者の栃木県削蹄師会石賀さんによる特別演技、(2)日本装蹄師会の調査研究成果、「削蹄は牛の生産性に貢献するが、蹄病が存在すると効果が低下、また、蹄を適切な形状に整えなければ、効果は半減」について、岩手大学の岡田助教授による特別講演があった。

 認定牛削蹄師の熟練した技に接するとともに、牛の体を支えている蹄の管理の大切さを改めて認識させられた大会であった。

 
各々の牛に最も適した削蹄方法を判断する牛削蹄判断競技
枠場などを使わず牛を促定する牛削蹄競技

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